第三十六話 元カノ
新章突入です!ここでは結構色々起こります。
シュルドの館から松本さんを連れ出した俺たちは北風の騎士団の本部に向かった。本当は迅と少しくらい話したかったんだがどうしてもやりたいことがあったそうだ。
「松本さん、ここが北風の騎士団の本部だよ。」
「わぁ、大きなビルだね~。」
「団長の瀬田さんの所有物なんだってさ。すごいよね。」
「こんな大きなビル持ってるなんてお金持ちなんだね。」
「なんでも大企業の幹部だったらしいんだよ。家も元々金持ちらしいんだけど。」
本部に来るまでの間話した結果松本さんも北風の騎士団に入りたいということだった。そういうわけで早速にぃなさんに入団試験をしてもらうことになる。
なんというか俺より見事に合格してた。にぃなさんの魔法の間を縫って矢を撃ち見事に的中させる。途中からスキルで姿を消し一方的に攻撃する。最終的にインフェルノハウルでやられてたけど。あの魔法は強すぎる。範囲も威力も凶悪だ。
松本さんの入団が決まったので俺たちが松本さんの案内をすることになる。俺のときってどこに何があるとかそんな細かく聞いてないと思う。ぶっ倒れてたからか。
「次は食堂ね。ここのご飯はおいしいよ。」
俺はそこで見知った顔を見つけた。長く伸ばした髪は一見黒のようだがよく見ると少し茶色がかっていて体つきはメリハリがあってスタイルがよいと言われる部類に入るだろう。その顔立ちはクールという言葉がよく似合うほど凛々しい。間違いないあれは間宮澪だ。思わず目が釘付けになってしまった。澪は中学3年のときに東京に引っ越したはずだ。
おっと、目があった。
「あれー、あっくん?久しぶりだね!最近よく聞いてた期待のルーキーってあっくんのこと?」
「期待のルーキーかどうかは知らんが確かに俺は最近入団したな。」
「隣にいるのは遥ちゃんだね。それに冷泉副団長も。隣の娘は新しい彼女?」
そういえばあの頃はまだ父さんも遥も一緒に暮らしてたんだな。父さんは単身赴任、遥は学校の寮にいたのでか家族全員ばらばらだったんだ。母さんは数年前に亡くなった。
「かっ、かかかのじょ?!」
「あー、まだってことかぁ。」
「にゃんすけ君、新しい彼女ってことはもしかしてそこの間宮澪ちゃんは君の元カノだったの?」
うわぁ、痛いところを突くなぁ。
「ま、まぁそうですね。」
「ラブラブだったよねー。澪さんとお兄ちゃん。」
端から見たら普通のカップルだったかもな。
「ラブラブだったって言われると照れるねー。」
「いや、ヤンデレのお前が言うか。」
「え、澪ちゃんヤンデレなのかぁ。私の妹にしてあげようかと思ったのにぃ。」
あんたの発言はおかしいぞ、にぃなさん。
「まぁこの話はまたいつかにして松本さんの案内続行しようぜ。あ、こちらが俺のパーティーメンバーの松本美月さん。で、こっちが間宮澪。」
「はじめまして松本美月です。よろしくお願いします。」
「間宮澪です。コミュ障のあっくんと仲良くしてくれて嬉しいよ。これからも仲良くしてあげてね。」
コミュ障は余計だろ。なんで自己紹介で俺を小馬鹿にするんだよ。
「えーっとね、じゃあ続きいくけど一番のおすすめはやっぱり日替わりメニューかな。あれは絶対間違いないから。他のももちろん全部おいしいけど飽きがこないのがいいよ。」
「やっぱり日替わり系はおいしいよね。私もメイドのレベル50くらいになったんだよね。だから私も料理かなりできるんだ。」
「おおっ、それは楽しみだね。そうだ、俺のサブ職業どうなってるんだろ。」
「歩く災厄だよね。」
「うん。って・・・なんだこれは!!」
「どうしたのお兄ちゃん?」
「サブ職業が2つ。歩く災厄レベル32と吸血鬼1。最近動きにくいと思ったらこれのせいか。」
「吸血鬼?あー・・・なるほどね。」
「何か知ってるんだな。説明してもらおうか。お前が関係してるとしか思えんしな。」