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最初から最強ライフ  作者: 幽夢
入団編
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第三十三話 魔族討伐 side 佐々木正義

アクセス数累計1万・・・ありがとうございます!

 佐々木正義は自分がどうするべきか考えていた。石田秋人に会いたいという魔族が現れ人質として松本が連れていかれたのだ。そもそも秋人さえいれば松本が拐われるなんてことにはならなかった。と、いうことは松本が拐われる原因を作ったのは佐々木だということになる。


では、なぜ佐々木は秋人を追い出したのかというとその理由は秋人の読み通り実力で自分をどうにかできる存在を消したいという考えがあったからだ。それだけではなく石田秋人は佐々木の憧れである「あの」松本美月とパーティーを組んでいて松本は常に秋人の傍らにいる。それがどうにも我慢できなかった。だからこそ彼は1つの結論にたどり着いた。


「よし、松本先輩を助けに行こう。」


自身のパーティーメンバーとともに松本の救出に向かう。そこでとある上級生に話しかけられた。その上級生とは花田迅だった。


「お前がどうにかできる相手だと思っているのか。素直にアキが来るまで待ってたほうがいいと思うぞ。」


「絶対に倒すのでご心配には及びませんよ。」


正直なところ不安もあった。が、それを取り去る意味でもはっきりと口に出して否定した。


正門を出て少々歩くと洋館が見えてきた。そこにあの魔族が住んでいるはずだ。立派な門には鍵はかかっておらず普通に入ることができた。


場所は移って洋館の中。シュルドと10人の部下が広間に集まっていた。


「シュルド様、人間たちが来たようですが格好を見るに竜狩りではないようです。」


「だが装備が変わっているということもあるしな。人質に来てもらえ。」


そう言って松本を呼んだ。


「あれが竜狩りか?」


「いえ、あれは石田君ではないです。」


「ではどのようにいたしましょうか。」


「うむ、せっかく来たのだ。それなりの覚悟と自信はあるのだろう。俺の最期の相手にふさわしいかもしれない。まずはお前たちが試してきてくれるか。」


挑戦してくるものの相手はする。シュルドはそういう男だった。しかし今は死に場所を探しているのでそれにふさわしい者以外とは戦いたくなかった。


「わかりました。我々が相手して参ります。殺しはしないということでよろしいですね。」


「もちろんだ。」


昔からシュルドは無益な殺生はしない主義だった。今回もそのルールは守るつもりでいた。


再び場所は佐々木のもとへ戻る。目の前には10の魔族。そこには松本を拐ったあの魔族はいなかった。彼の部下といったところだろうと考えていた。


「我が将の館へようこそ。まずは我々が相手させていただきます。」


「俺は早く先輩を助けたいんだが。みんな下がっててくれるか。1対1でやりたい。」


「10連戦は疲れると思いますよ。」


「そのためのヒーラーなんでね。」


そう言い終わると佐々木は距離を詰める。職業は闘将、バトルマスターの二次職だ。武器は片手剣の二刀流。


「鎌鼬」


2振りの刀から敵を切り裂く風の刃が放たれる。敵の魔族はそれを避け槍による攻撃を繰り出す。


槍の使い手に剣士が勝つには3倍の実力が必要だとも言われる。変幻自在の槍の突きをかわしつつ攻撃をする余裕なんて普通はない。しかも相手は歴戦の猛者なのだ佐々木は劣勢だった。


後ろに跳んで距離を取る。


「暴風」


敵を吹き飛ばす暴風が刀から飛び出す。二刀流だから攻撃は2段階になる。これは槍で防げるようなものでもなく回避できるほどの速さでもない。


荒れ狂う風に押された魔族に追い打ちをかける。


「烈風」


鎌鼬よりも荒々しい風の刃だ。これも回避出来ずに鮮血が散る。


「なかなかの腕前のようだな。だがここで私が負けるわけにはいかんのだ!」


その言葉とともに魔族の持っている槍が白く光輝く。そして突然その槍を放る。


「っ!」


まさか槍を投げてくるなんて考えていなかった佐々木は避けることが出来ず太ももに食らってしまった。


「武器を手離すなんて負けようとしてるようなものだ。」


槍を投げ捨て再び距離を詰めようとする・・・が、飛んでくるはずのないものに阻まれる。さっきの槍だ。


「どういうことだ。さっきそこにあったはずなのに・・・。」


槍を投げ捨てた方を向くもそこに槍はない。当然だ。なぜなら


「この槍には魔法がかかっていてな、どこにあっても持ち主のもとに戻ってくるのだ。」


そう、その槍の特性のせいで近寄ることすら許されないのだ。ヒットと同時に再び放たれる槍を相手にしながらどうやって近付けばいいのか、普通は無理だ。


それでもなお敵を倒そうとする佐々木、そこに容赦なく次々と槍が放たれる。どうすればこいつを倒せるのか、それを可能とする方法はあるのだろうか、冷静になり、それをひたすらに考える。自分のスキルと現状を照らし合わせた結果たった1つの解にたどり着く。


「月に叢雲」


月に叢雲は超高速の移動術だ。あまりの速さにその姿が霞むように見える。つまり佐々木の作戦は槍が自分に当たる前に距離を詰めて倒せばいいという作戦とも言えないものだった。普段は使うことのないこのスキルをすっかり失念していたのだ。


「花に風」


痛烈な突きだ。当たると同時に花びらが舞い散る。二刀流の特性により追加のもう1撃。この2撃により敵は戦闘不能になった。月に叢雲、花に風というのは名月の夜には雲がかかってせっかくの月が見えず、満開の花には風が吹いて花を散らしたりすることから、良いことにはとかく邪魔が入りやすく、思うようにはいかないということを表す。つまりは敵の良い流れを断ち切り自分の流れへと変える形勢逆転の奥義。月に叢雲と花に風は別々のスキルだがコンボとして使用することで威力が上がる。もちろんどちらも単体で使っても強い。


「ヒールを頼む。」


「うん、わかった。」


「それにしてもあいつを倒すとは・・・ヤルネ。次は俺が相手だ。」


次の魔族は長剣使いだったがカウンタースキル向かい風を使って勝利。さらにその次の魔術師風の魔族も開幕から月に叢雲、花に風のコンボを使用してそのまま勝利を迎えた。が、次の武闘家のような魔族に惜敗してしまう。


「お前はとても強いが我が主と戦うにはふさわしくないということだ。命まで奪う気はない、帰れ。」


「くそ、まだ帰るわけにはいかない!絶対に松本先輩を連れて帰るんだ!!」


「そうか、その気持ちは素晴らしいがそれに見合う力はないな。どうしても帰らぬというのならここでわしが殺してやろう。」


「おいおい、シュルド様からとめられてるだろ。」


と、仲間の1人が言うがそれを無視して腕を振り上げる。これを食らうと死ぬということがわかったのか佐々木のパーティーメンバーは庇おうとするが明らかに間に合わない。


もう終わりかと思ったその時、光り輝く剣が魔族の手刀を受け止めていた。光魔剣シャイニングスライサー、迅の武器だった。

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