第三十二話 再び学校へ
連続投稿です
戦闘訓練を開始してから数週間、迅からチャットが来た。
「松本さんが魔族に拐われた。その魔族はお前に会いたがっているようだからできるだけ早く来てくれ。」
松本さんが魔族に拐われただと。しかも俺に会うために松本さんを巻き込んだのか。
「わかった、すぐ行く。」
そしてすぐに神様へチャットを送る。
「松本さんを拐った魔族に関して知っていることを教えてくれ。」
「魔族の将軍の1人で武闘派として有名なシュルドという男だ。見た目は40くらいだが年齢は5000歳くらいだね。今は君たちの学校の近くに館を構えて住んでいるようだよ。あまりにも周りとマッチしていないからすぐに分かるよ。配下に10の精鋭を揃えている。部下たちについては君でも普通に倒せるだろうね。あぁそうだ、九郎君によろしく伝えといてくれ。」
有用な情報だ。とても助かる。どのくらいの間北風の騎士団から離れるのかは分からないので団長に報告しに行く。
「瀬田団長、数日留守にしたいと思うのでご報告をしにきました。」
「そうか、何の用で留守にするんだ。」
「実は友人が魔族に捕まえられているようでその魔族は俺に会いたいとのことなんです。」
「なるほど。と、いうことは自然にパーティーメンバーである冷泉もいなくなるわけだな。冷泉の副団長の座はあくまで実力を表すもので俺の補佐とかではないからいいんだが。」
北風の騎士団には常にパーティーメンバーは一緒に行動しなくてはならないというルールがある。
「ありがとうございます。では早速行ってきます。」
にぃなさんと遥に声をかけてすぐに行くことにする。
「九郎、悪いが俺の学校まで飛んでくれるか。できるだけ急いでほしい。」
「承知しました。」
「そういえば神がお前によろしくと言っていたが知り合いか?」
「ええ、彼とは殺し合いを少々。」
「殺し合いだと・・・。お前すごいんだな。」
「ちょっとまって、普通に神様と話してるお兄ちゃんもすごいと思うの。」
「あー、フレンドだからなー。」
「にゃんすけ君って神様がフレンドなの?!すごいなぁ。さすがだねぇ。」
そういえばこれってレアなんだろうな。
「まぁちょっと餞別にね。」
「餞別にって・・・やっぱすごいなぁ。向こうにつくまで私は眠っとくからぁ。九郎君安全運転でお願いね。」
「承知しました。」
空の旅は快適・・・と思いきや紀伊山地のあたりでワイバーンの群れが現れた。
「飛行中なので私はあまり戦闘できないので頑張ってくださいね。」
「今までどうやって空中で戦ってたんだろ。」
とは、遥の言葉。
「あなた方を振り落としてもよいならば簡単に殺せるのですがねぇ。」
「あー、俺たちでやるわ。まだ死にたくないもん。」
そう言って俺は学生服から笑えない冗談に装備を変える。ワイバーンの鳴き声よりやかましいのはどうなんだ。
「あーもー、さっきからギャーギャーうるさいよ!」
「冴凪さん、うるさいのはあいつらだから。やっちゃって。」
「そだね~。」
それから6秒後・・・煉獄がワイバーンの群れを襲う。鳴き声のやかましさが増えた。そしてワイバーンたちはブレスを放ってくる。
「冥府の門・開、闇の衣、死刑宣告」
「ホームランスイング」
ブレスごとワイバーンたちの命を狩る。
「おー、さすがはお兄ちゃん廃火力。」
「鬼畜だねー。私の多重起動と大差ないんじゃないかな。」
「俺のは1回限りですからね。」
お、レベル上がってるな。スキルもゲットしている。黒明燐火というスキルだ。火の範囲攻撃らしい。
ちなみに紀伊山地を越えるときにワイバーンが出てくるのは知っていた。ここを通りすぎればもう空中に脅威はない。あとは着くまでゆっくりしとこうか。