第三十話 神様たちの雑談
閑話でもよかったんですが結構ストーリーに関係ある話もしているのでメインのお話として数えてます。ちなみにここでの話は主人公たちは一切知りません。
真っ白な何もない世界に彼らは立っていた。彼はこう言った。
「まぁ何もないところで話すっていうのも何かアレだし机とか出すよ。」
パチン!と指をならすとテーブルとイスが3つ現れた。テーブルの上には紅茶と茶請けがのっている。
「ありがとうございます主よ。」
「感謝いたします。」
揃いの鎧を着た2人の女性たちが言った。「彼」とは神であり2人の女性は彼に仕える天使だ。
「暇だから君たちを呼んで雑談でもしようかなって思ったんだけど。どう思う?彼らのこと。」
「全体的に言うと成長が予想よりも早いですね。彼らがこの現実離れした状況にすぐに適応していることに驚きを隠せないですね。」
銀髪ツインテールの天使が応える。
「うん、元々そういう文化があるからね。異世界とか、非日常とかへの憧れは強いんじゃない?」
「それはありますねー。そういえば主が特定の人物を優遇しすぎなんじゃないかとかー、誰か言ってましたねー。」
少しおっとりとしていそうな金髪の天使が応えた。
「うんうんうん、アキト君のことかな。」
「彼しかいないでしょう。なぜギロチンブレード零式なんてものが彼の手に渡るようにしたのか。」
「彼は面白そうじゃないか。大魔王なんて用意はしたけど適正がある者は現れないだろうと思っていたんだよ。それがまさか高校生に適正を持つものがいるなんてね。しかも彼の戦闘センスはかなりのものだよ。」
「そうですかねー。私にはまだまだに見えますけどぉ。」
「まだまだ粗削りだけど絶対に強くなるんだよ。あんな使いにくい武器を使いこなしているということがすごいんだよ。僕でもあんなものは使いたくないね。」
「まさか変人の主でさえそんなことをおっしゃるとは。本当に使いにくい武器なんですね。」
「リリィ、君は結構ひどいことを言うんだね。僕は神様なんだよ?」
「まさかとは思いますけどー、元大魔王を彼のもとに寄越したのは主ではないですよね。」
「セレンまで何を言ってるんだい。確かにアキト君に彼が仕えているのは僕も嬉しいけど僕はそんなことさせてないよ。」
秋人に仕えている九郎とは元大魔王だった。それを神が倒しその際に弱体化していたのだ。
「本当にあれは運がいいというだけなのですね。実力であれを仕えさせるとは・・・主の見込みも正しいのかもしれませんね。」
神が紅茶を一口含んでから口を開く。
「そうなんだよ、彼がこれからどんな風になっていくのか予想もできない。でも絶対にかなりの強さになるとは確信できる。だから楽しみなんだよ。」
「それはそうとー、アキト君にあいつが接触したってまずくないですかー?」
「あぁ、あいつだね。接触なんてものじゃなくて体の一部が消し飛ぶくらいの戦闘・・・暴行を働いたらしいね。許せないよ。あいつが干渉してきたということはまず普通の解決は無理だろう。」
あいつというのは聖華女学院で秋人が戦った魔族に憑依していた者のことだ。それが誰なのか神、リリィ、セレンの3人は知っている。それがどれだけ危険な存在なのかも。
「主が直接戦うのは無理でしょうし私が・・・。」
「いや無理。リリィにどうにかできるわけがないよ。あいつは僕と違って純粋な戦闘タイプなんだよ。僕ですら勝てるかどうか怪しいね。期待できるのはアキト君かな。」
「主はそこまでアキト君に期待してんですかぁ?」
「だってさ、彼には魔法の類は効かないんだよ?酸欠対策はいずれしてくれるだろう。もしかしたら・・・て思うじゃない?僕が手を貸せばどうにかできるくらいには強くなってくれるかもしれない。」
「他にも勇者や放浪者など期待できる人材は揃ってますし。」
「あれー、もうちょっと軽い感じでアキト君に関する話でもと思っていたんだがねぇ。」
「そうですねー。今度はアキト君のパーティーの話なんてしてみたいですね。」
「それはいいね。ハーレムが出来上がりつつあるんじゃないかとも思うんだ。」
「妹と年上ロリと生徒会長ですよー。見込みがあるのは松本さんくらいですかねー。」
「最後だけ軽い感じになったね。」
※リリィ→ちょっと堅い口調のほう。セレン→ユルい口調のほう。