第二十五話 北風の騎士団
あれから4日間俺たちはレベル上げに集中した。その結果遥のレベルは30になり魔剣士に、俺のレベルは39になった。
そんな俺たちの前にある男が現れた。
「『北風の騎士団』というところの団長をしている瀬田次郎という者だ。ぜひ君を我々の騎士団の第三席として迎え入れたいと思ってこうして会いに来た。」
「確か第三席というと現在三羽烏の皆さんがいる地位で団長、副団長に次ぐ地位...ですよね。」
「あぁ、そうだな。3人とも君を第三席に迎え入れることには同意してくれている。」
俺は入ってもいいかなと思っている。少しだけ問題はあるが。
「そこに俺の妹がいるわけですが、入団させてもらうことはできますか?」
「それは決まりだからな、入団試験を受けてもらうことにはなるが。」
確か北風の騎士団は大きなビルを所有していてそこに全員で住んでいると聞いたことがある。そこに住めれば2人とも居場所には困らないってわけだ。
「そこの青年はいいのかい?」
「あぁ、あれは俺の仲間になったモンスターですよ。だから当然俺が入団するなら付いてくることになりますね。」
そういえば説明するの忘れてたなぁと思いつつ説明する。
「なるほど、あれがモンスターだと言われると信じ難い話だがな。」
「たまにこういう風に変化できるやつもいるみたいですね。基本的にそういうやつらは変化なんてしないらしいんですので人間の中にモンスターがまぎれこむなんてないと思いますよ。」
「そこを少し不安に思ったのだが尋ねる前に答えられてしまったな。で、どうだ。我々の第三席として入団してもらえるか。」
少し考えてから俺は答える。
「いえ、それはお断りします。ですが普通に入団させていただけるなら是非そうしたいです。」
「第三席ではなく普通に入団するというのか。」
「いきなり第三席なんかで入団したら少なからず反感は買うでしょう。地位が欲しいと思えばそこから努力します。」
「では入団試験を受けてもらうことになる。」
入団試験か、どんな感じなんだろうな。
「春川、出てきていいぞ。」
「へーい。お、それが竜狩りの大魔王ですかー。噂だと黒服だって聞いてたんですがね。黒い鎧ですね。なんともいえない奇抜なデザインだ。」
そういえば黒服ってことで知られてたな。
「実はそれは破損しましてね。今はこれを使ってるんです。」
「破損したのか。なるほどねー。」
「修復はしなかったのか?」
「実はあれ初期装備なんですよね。」
初期装備はなぜか修復技能が使えないのだ。
「へぇー。それでずっと使ってたなんてさぞいい効果なんだろうね。」
「ですね。守備力2倍なんて壊れすぎですよ。」
「おい、雑談はそこまでにしてそろそろ行くぞ。君たちも準備があればそれを済ませてから出発しよう。」
出発?北風の騎士団の本部はは東京にあるって話だったな。
「特に準備なんてないんですが・・・どうやって来たんですか?」
「それはこの俺が説明するね~。この俺春川学は三羽烏の一員でね、その職業は放浪者。」
あー、掲示板の放浪者もこの人かな。
「ワープですね。掲示板ってよく使ってます?」
「ああ、雑談スレによくいるね。多分君の思ってる放浪者が俺だよ。じゃあ行こうか。」
あの人がこんなすごいギルドの第三席だとはな。おっと、パーティー申請が送られてきた。すぐにOKする。
「はい『ワープ』っと」
一瞬で周りの風景が変わった。気分悪い。
「早速で悪いが本部に着くまで敵と少し戦わないといけないようだな。」
との瀬田さんの言う通り周りにはモンスターがうじゃうじゃいた。
「わざわざ戦うまでもないでしょう。」
「悪魔払い」
うわ、敵がいなくなった。
「これは神官が覚えるスキルだねー。このレベルのやつらを消せるとは聞いてないけど。どう思う、団長?」
「これは心強いな。悪魔払いは自分よりかなり弱い敵を強制的に消すスキルだがあいつらを消せたということはかなりの実力だろう。」
「九郎のレベルは120ですよ。俺なんかよりよっぽど強いです。祢宜ですけどね。」
「俺よりも強そうだな。」
「団長はなんとかしていい勝負してくれそうだわ。」
やっぱり九郎は規格外なんだなーなんて思った。