第三話 パーティー結成
レベルが23になり武器も手に入れた。しかしやはり俺1人では無理があるんじゃないかとも思う。理由は簡単、ヒーラーがいないということだ。今はまだ余裕で戦うことができていても回復アイテムを使いつつ戦うことができない敵が出てくるのかもしれない。
ヒーラーはどのパーティーも欲しがるもので俺の知る限りもう残っていないはずだ。俺はあまりダメージを受けないからサブヒーラーとかでも十分なんだけどいたりするのかね。
「レベル23ってはやいなぁ。さっきの隕石のおかげか?」
話しかけてきたのは花田である。俺が話せる数少ない同級生だ。
「うん、そうだなー。1時間ぶっぱなしてたらもうこれだぞー。でもゴブリン倒してもあんまり経験値入らないんだよなぁ。レベル差のせいらしいんだけど。」
「レベル上がるとそういう風になるのなー。他の場所だとレベル高い敵もいるらしいんだけどな。」
んー、あまり遠出はしたくないんだよな。あくまで現在は、だけど。
「いやー、パーティー組んでないからなかなか遠くまではいけないんだよね。」
「ん?他クラスだと余ってるやついるみたいだよ。松本さんとか・・・松本さんだな。」
「いやそれ松本さんしかいないじゃねーか。それと何であの人が余ってるんだよ。いくらでも組みたい人なんているんじゃないのか。」
松本さんは生徒会長だ。性格も良く何でもできる文武両道ってやつだ。俺とは違い社交性もあるし・・・何で余るんだろうな。
「いや~、それがな3組は割と生存することを重視してるみたいでスキルを聞いて決めてるみたいなんだよね。その結果松本さんでさえも余ってしまったってことなんだ。」
「うちと比べて現実的でいいねぇ。」
「あれ、じゃあ組む気なし?アキってゲーマーだしそういうの重視しそうだもんな。」
「どんなスキルや武器でも活用法はあるよ。ってことで誘ってみようかと思う。俺みたいな全体的に微妙な人間とは組みたくないかもしれんが。」
「なぜそう卑屈になる。まぁ頑張れよ。」
そういうわけで俺は2組と4組の間の廊下を行ったり来たりしている。さすが俺、こういうところでヘタレだ。
「あっれれ~、アキト君もしかして緊張してたりする?恋する男の子みたいだね。」
「残念、『たり』は2回以上重ねなきゃいけないんだよ。」
「現代語としてはありじゃないかい?」
「俺が何したいかもわかってるんだろ?あと何でまだここに。」
「もちろん分かってるさ。後の質問の答えはこの学校に興味があるからと答えておこう。」
「神様って意外とお気楽なんだな。んじゃ言ってくるわ。」
ちなみに敬語ではなくなっているがこれは敬語を使う必要はないと判断したからだ。
「失礼します。」
うおぅ、視線がこっちに!
「あのぉ、松本さんいます?」
少し時間が経ってから松本さんが出てきた。
「えーっと何の用ですか?石田くん・・・だよね。」
「あれ、俺のこと知ってたんだ?用ってのはさ、俺とパーティー組んでほしいんだよね。松本さんがよければだけど。」
「も、もちろんいいよ。でも私のスキルってあんまり役に立たないんだよ?」
「実際どういうスキルなのか教えてくれると嬉しいな。」
「まず私の職業は吟遊詩人。レベルはまだ1です。スキルは奇跡のアリア、パーティー全員に攻撃する度にhpが回復する効果を与えるらしいの。あとは小鹿のマーチ、移動速度があがるスキル。最後に癒しのうた、これはパーティー全員のhpを回復する歌。小鹿のマーチだけ試したけど発動までに結構時間がかかったしあまり役にたたないと思うんだけど。」
「いやー、俺はスピード求めてるわけではないしそれで十分だよ。これから種類も増えて補助役として優秀になっていくだろうしね。ちなみに武器は何を使ってるの?」
「弓を持ってるんだけど矢は有限だからあまり使えないんだよね・・・。」
「まぁ攻撃は俺がするから補助お願いします。回復とか全然できなかったから助かるよ。」
「じゃあ明日からよろしくねっ♪」