第二十三話 妹
さっきのやつは何だったんだろう。あの口ぶりだと本来の体じゃないようだった。体・・・とか言ってて思い出したが俺の体がすごいことになってる。右手左足が消えてさらに骨も5,6本折れている。
「オールヒール」
九郎のhp全快魔法だ。その回復力をもってしても右手と左足が治ることはない。
「やはりそういう類のものはこの程度では治らないようですね。」
「肉体再生」
「これはhpではなく傷そのものを治すスキルです。もはや修復と言っていいものですね。」
その言葉通り俺の怪我はなくなっていた。
「じゃあ遥を探しに行くか。」
ちなみに暗黒結界に閉じ込めたやつらは気を失っているようだ。さっきのに操られていたんだろうか。
「そうだ九郎。さっきのやつ九郎なら勝てたか?」
「一応は勝てたでしょう。ですがあれが本来の力ではないように思われます。できれば関わらない方がいいですね。」
やっぱりそうなんだろうか。遥のクラスは2年3組だったと思う。
「ん、あそこだな。」
2年3組のドアを開ける。あれは誰だというような声が聞こえる。いきなり知らないやつが入ってきたら驚くだろう。
「お兄ちゃんっ!」
やたら元気な声とともに飛びついてきたのが俺の妹である石田遥だ。
「元気にしてたか?」
「まぁまぁね~。それにしても来るの早くない?もう解決しちゃってる?っていうかその服についてる血は何なの!」
「あー、これはさっき戦闘で付いたんだよ。まぁ大した怪我じゃなかったし今は治ってるから。」
大した怪我だったんだがいいんだよね。
「ちなみにあそこにいるのが九郎っていって巨大な烏のモンスターなんだよ。今は人間の姿してるけど。あいつにのってきたから早く着いたんだ。」
「お兄ちゃんってやっぱゲーマーだね。現段階でこんな移動手段持ってる人はかなり少ないと思うよ。」
神様いわくレアだしな。
「ゲーマー関係ないでしょ。まぁ少ないだろうってことは認める。」
「ところでさ、私はお兄ちゃんと行動したいんだけどやっぱり足手まといかな。」
「今のレベルは?」
「11だよ。お兄ちゃんにとっては低いよね。」
「俺が34だしな。初日で結構上がってたよ。ちなみに今学校を追放されてるんだよな。」
11でもメテオストームでレベリングすればすぐに30くらいにはなるだろう。
「追放ってどういうことなの。」
「ほら、俺って強いんだよ。それを恐ろしく思うやつだっているんだよね。そういう人が多いからこうなったってわけ。学校を出たから九郎を仲間にできたんだけど。」
「いや、それでも追い出すってどうなんだって思うわけよ。お兄ちゃん追い出すなんて許せない。」
松本さんも似たような反応してたなぁ。
「まぁ一緒に来るのは別にいいよ。九郎がめちゃくちゃ強いから死ぬことはないと思う。」
うん、あのレベルでの怪我をしてて生きてるんだから間違いない。
「ちょっと用があるから待ってて。」
「うん。」
そう言ってからさっき閉じ込めたやつらのもとへ向かう。結界を解除する。
「記憶はあるか?」
「いや、路地裏を歩いてたところから記憶がねぇな。お前は誰だ。」
1人がそう答える。他のも同じような答えだった。
「あんたらは変なやつに操られてこんなところにいるわけだができればすぐに出て行ってもらえるか?この学校の娘たちも不安だと思うんだ。」
「あぁ、そのくらいなら問題ないぜ。別にここにいる理由もないし。」
あっさりと出て行ってくれた。操られていたやつらの共通点といえば人の少ないところにいたという点だ。
なんとなくがらが悪いと思ったのは元々の人格のせいかもしれないな。あいつが何者だったのか知る手がかりになるかもしれない。それは無理でも操れるやつの条件くらいはわかるかも。
まぁ当分は関わりたくないよな。