第二十二話 救出
九郎を仲間にした翌日。珍しく俺の携帯にメールがきていた。差出人は俺の妹石田遥だ。
「お兄ちゃん、今変な奴らに学校が占領されてるの。みんな携帯はとられたんだけど私は2個もってたからこうやってメール送れてるの。お願いだから助けに来て!」
確か遥の行っている学校は私立聖華女学院という女子校で中高一貫だったと思う。遥は中学2年生だ。
そもそも聖華女学院に行くには県を一つ丸ごとこえなけえばならない。普通ならすぐに助けに行くなんて無理だ。だが、今の俺にはそれができる。
「わかった、すぐに助けに行くよ。」
簡潔な内容のメールを送信する。
「九郎、早速で悪いがちょっと飛んでもらうことになる。頼めるか。」
「もちろんです。では行きましょう。」
途中で方向を指定しつつ飛んでもらい3時間程度で聖華女学院が見えてきた。途中で休憩をはさんでこれなのだからかなり早い。飛んできたんだから当然だが。
「じゃあ人間の姿になってもらえるか。目立たずに行こう。」
特に見張りもいなかったので正門から入る。校舎に入るとさすがに人がいた。
「おい、なんだお前は。」
弱そう。九郎が一瞬で気絶させていた。
階段を登って行くとがらの悪い連中が大量にいた。だいたい20人よりちょっと多いってとこだろう。
これ全部ぶったぎるとかもはや殺人鬼なので襲いかかってきた奴らを剣の側面で叩くだけにしておく。
全員かためて暗黒結界に閉じ込める。
「おっ、君が石田秋人君だねー?君がくるのを楽しみにしていたよ。」
なんだこいつは・・・全く気配に気付けなかった。栗色の長髪の青年が立っていた。
「君の妹さんがここにいると知ってね。そこのがらの悪いやつらを使って君をここに誘き寄せたんだ。」
まんまとひっかかったというわけか。俺のことを知ってるやつがいるなんて思わなくて当然だが。
「なんで俺のことを知ってる。」
「俺はなんでも知ってるんだよ。君と戦ってみたいと思ってね。もちろん加減はしてあげるよ。」
なんなんだこいつ。前に神様が言っていた魔族ってやつだろうか。
いきなり火の玉が飛んできた。もちろん俺には効かない。
「うん、やっぱりこれは効かないかぁ。じゃあ次行くよー。」
今度は巨大な火の玉が飛んできた。これによるダメージもなかった・・・が、いきなり苦しくなった。
精神値は魔法ダメージ以外に状態異常にも関わってくる。俺は状態異常なんて食らうわけがない。じゃあ原因は何だ。
「あれ?まさかどんな魔法を食らっても平気だと思ってたのかな。だったら買い被りすぎていたのかな。」
「原因ならわかってる。酸欠だろ。炎の燃焼に酸素を使ったから俺周りに酸素がなかったんだ。」
そう言い終わる前に走り出して斬りかかる。しかし紙一重で避けられて右腕を手刀で切り落とされる。
「うーん・・・殺しちゃうのかなぁ。結構加減してたのにこの程度だなんて期待外れもいいとこだ。」
「サンダー」
「俺にも魔法はあんまり効かないからね。」
「冥府の門・開、闇の衣」
そのまま左手で殴りに行く。移動に雷脚も使い動きを読みにくくする。
「うんうん、それがいいんだよ。さっきみたいなのよりよっぽどいい。」
そう言いつつも俺の体を攻撃し続ける。俺の攻撃もそれなりに入っているがダメージを食らっている様子はない。
いつの間にか俺の左脚の膝から下が消えていた。だがそこから俺の攻撃がさらにヒットするようになる。
「あれ・・・もう終わりかい。この体ともお別れかぁ。次会うときにはもっと強くなっててね。じゃあまたいつか。」
そう言ってそいつは糸が切れたかのように倒れこんだ。