第十九話 投票
「では、これより投票を行います。1年生から順に前の投票箱に投票してください。」
うちの学校は平均約35人で5クラスだ。全校生徒は528人だったはず。
投票が終わるのを待っている間に迅からチャットがきた。
「さっきなんで俺はメテオストームでやられたんだ?」
俺の精神値を奪って∞になっていたはずなのになぜ魔法を無効化できなかったのかということだろう。
「メテオストームは土属性魔法じゃなくて召喚魔法なんだよ。」
「あ、物理ってわけね。」
「一応ダメージキャンセラーが使えないように暗黒結界で妨害してたし。」
「うわぁ、えげつねぇ。俺が油断してダメージキャンセラーを使わないとは思わなかったのか。」
「思ってた。でも舐めきってると負けそうだったからな。」
「投票おわったなー。」
「結果分かりきってて面白くない。」
お、結果発表するみたいだ。ちょっと動揺してるように見えるな。
「そ、それでは結果発表をします。賛成273名、反対255名。これにより石田先輩にはこの学校から出ていただくこととなります。」
ほう・・・なかなかいいんじゃないか?俺は佐々木の耳元に囁く。
「さすがにこれは想定外だっただろ?」
「確かに想定外でしたが結局はあなたはこの学校を出ることになる。この程度で揺さぶりをかけたつもりですか?」
「ふふっ、まさかな。ただお前ごときじゃこの程度が限界だって教えてやっただけだ。あの程度でここまで流されるんだ。お前はここをそんなに掌握できてねーんだよ。」
「あなたがいなくなったあとに掌握しますよ。」
「力でお前を制することができるやつがいることはわかっただろ?」
実際はそれを教えたいんじゃなくて戦いたかっただけだ。
「負けそうになったのはわざとですね。」
「は?はずれだよ。普通にあいつが強いんだって。」
「まぁ、お前がこの学校をまとめあげれるなんて思ったら大間違いだ。それだけは覚えておけ。」
「では司会に戻りますので。」
「皆さん今日は本当にありがとうございました。石田先輩がこの学校を出ていくのは明日となります。」
さーて、投票も終わったしやることやっちまうか。
教室に戻りいつものメンバーで集合。
「さて、では今からアキト君の送別会をしようか。」
「あ、あれ?そういう流れなのか?」
「うんっ!みんなでちゃんと餞別も用意したんだよ!」
元気だな・・・。
「まずは俺からな。お望みのものは用意できなかったけど。ほれ、ギロチンブレード零式。」
「わぉ。これは攻撃力上がってるねー。移動速度40%って何なんだと。」
「じゃあ次は僕からねー。」
「テレン♪」
「ん、これはどういう・・・?」
フレンドリストに見慣れない名前が・・・ってより読めん。」
「僕のフレンドになる権利だよ~。正確には僕を強引にフレンドシステムに組み込んだんだけどね。」
「なんだそれは・・・。」
「元々もってた念話能力をベースに文字でのチャット形式に改変したんだよ。ついでに僕からの一方通行じゃなくて君からもチャットできるように。完全にフレンドシステムだろ?」
「うわー、すげぇ餞別。」
「神様のフレンドに比べたら見劣りするけど・・・。これどうぞっ!」
「ん?これって指輪?」
銀の指輪だった。こういうアクセサリー類って防具ガチャの中でもかなりレアだったと思う。
「そうだよー。攻撃力とhpが増えるんだよ。」
「いいね、hpが増える装備なんて持ってなかったし。」
「さて!俺からもプレゼントがあるんだよね~。」
「僕にもあるよね?ね!」
「悪い。用意してないわ。」
「がーん。」
「まず迅にはこれね。」
そう言って取り出したのは剣の柄の部分のみ。
「光魔剣シャイニングスライサー。とどのつまりはビー●サーベルか。攻撃力が高いのと光属性攻撃以外の特徴はないな。ありがたくもらっておくよ。」
「じゃあ松本さんにはこれね。ハンドバリスタ。」
「えっ、お前俺に用意させようとしてたのかよ。」
「わぁ・・・これすごい強いやつだよね?こんなのもらっちゃっていいのかな。」
「まだあるんだけどね。ほら、松本さんがくれたやつとデザイン似てるけど。」
追加で渡したのは金色の指輪。全力でガチャぶんまわしてなんとか入手できた。ちなみにハンドバリスタはもとから持っていた。自分用に欲しかったんだけどな~。
「お、ペアリングってやつだね?」
「示し合わせずにこうなってるあたりがすごいよね~。」
この後俺たちは神の宴セットで大いに楽しんだ。