第十七話 生徒総会
ついに投票の日がやってきた。生徒全員が体育館に集められた。別にどうでもいいんだが来いとのことだ。
「皆さんお集まりいただきありがとうございます。今日は我が校に存在するある問題について皆さんの意見を確かめるために集まっていただきました。司会進行はこの生徒会副会長佐々木正義が行います。」
「ある問題とは3年生の石田秋人先輩という存在が一部の生徒にとって恐怖になっているということです。石田先輩はこの学校においてずば抜けた強さを誇り先日の襲撃事件解決に尽力して下さったことでも有名です。しかし、その強さがゆえに恐怖を抱いている生徒が増えているということで石田先輩にはこの投票の結果によってはこの学校を出て行ってもらうことになっています。」
「これは先生方や石田先輩本人の同意を獲て行っていることです。皆さんには1人の人物の今後を変えてしまうことだと理解して投票していただきたい。石田先輩に対して誤解があるかもしれないので質疑応答や石田先輩のご友人に証言していただく時間も設けました。」
おーおー、しっかり司会やってるなぁ。
「ではまず石田先輩のご友人の花田先輩お願いします。」
「3-5の花田迅だ。俺の友人である石田秋人がこの学校から追い出されるとなっては黙っていられないのでこうして証言する。俺が話したいのは石田秋人という人物の人となりだ。」
「秋人は俺の学年では根暗であまり特徴のないやつだっていうイメージを持たれていると思う。だが実際は話してみると話しやすくて意外と明るいやつなんだ。オンラインゲームをやれば最強になってしまうくらいに何かに一生懸命になるような面もある。そして人を見る目もある。が、割と自分の恋愛には鈍感なところもあるんだ。」
恋愛?そんなの関係ないだろ。
「秋人は誰かを自分の思い通りに動かしたいなんていう野望は持ってない。そういうのがめんどいと思うんだろう。別に力で人を支配することを面白いとも思わない。俺とばか騒ぎしてるほうが絶対に楽しいって言うだろう。つまりだ、秋人がこの学校の生徒とっての恐怖であるはずがない。俺の最高の親友だと思ってる。」
他人からしたらそんなんで安心できるかっていう話だろうけど意外と迅の話っていうのは受け入れられやすいんだ。これはちょっとくらい佐々木を驚かせるかもな。
「花田先輩ありがとうございました。質疑応答に移りたいと思います。石田先輩前へどうぞ。」
俺は壇上に上がる。マイクが用意されている。
「では石田先輩に質問がある方は挙手を。」
2年生の女子が挙手した。
「こんな風になってから数日降っていた隕石は石田先輩によるものだというのは本当ですか。」
「事実だ。俺のスキルによるものだ。」
次は眼鏡をかけた1年生。
「石田先輩の職業は何でしょうか。」
「解答を拒否する。こういうのは親しい者以外には教えたくないんだ。」
次の質問は1年生の女子からだ。
「襲撃事件の犯人を殺したというのは事実ですか。また事実ならその死体はどうなっているのですか。」
「それは事実だ。」
この答えに体育館内がざわつく。当然といえば当然だな。
「殺す以外に調教された人々を助ける方法があの状況ではなかった。死体は残ってないな。魔法で完全に消滅させた。」
この答えにざわめきが増す。
「お静かにお願いします!他に質問がある方はいらっしゃいませんか。」
佐々木も慌ててるなぁ。こんなにあっさり語るとも思ってなかっただろう。
「なぜ犯人に調教を解除する方法を尋ねなかったんですか?」
「これもあまり言いたくはないんだが・・・俺がそのときに使用していた武器はレイジサーベルっていって敵の注意を自分に引き付ける効果がある。そのときは俺1人で戦っていたから効果はないと思っていたんだが俺に攻撃することのみに集中するようになってしまったようで普通なら動けないような状態になってもなお俺に襲いかかってきたんだ。そんな状態のやつを殺さずにどうにかするような強さは俺にはなかった。今もそうだ。だから殺した。」
これを言ったところでイメージが変わるでもないだろうがまぁ誤解されるのも気持ち悪いしな。
「その犯人は食人趣味を持っていた危険人物だったというのは事実でしょうか。」
松本さんの質問だ。何もしないでほしかったんだけどな。
「それも事実だ。狂ってると思った。」
「これ以上質問もないようですので投票に移りたいと思いますがその前に何か言いたいことはありますか?」
「うーん・・・そうだね、俺の強さを知らないことにはどれぐらい怖いかもよく分からないんじゃないかな。ということで、花田迅に俺と模擬戦をしてもらいたいと思うのだがどうだろうか。」
最後に迅と戦っておきたいってだけなんだけど。