第十三話 サブ職業
一昨日の宴を開きさらに昨日はだらだらごろごろした。一転して今日は朝から昼まで学校周辺のモンスターを狩っていた。ここらへんの雑魚では経験値も増えないんだが警備のためだし仕方ない。
「石田く~ん、サブ職業メイドにしちゃったー。」
ここは教室。とりあえずショップで昼食を購入して食べていたのだ。
「え、本当にメイドにしたの?」
「うん、やっぱり家事一般もできるって魅力だよねー。魔法使い以外で唯一洗浄魔法使えるらしいし。」
メイドは料理人より料理の技能では劣るが家事一般ができてなおかつ汚れを落とす洗浄魔法が使える。ちなみに光属性の浄化魔法と間違えられるがあれは呪いの解除をする魔法だ。
「あぁ、そうなんだ。てっきり迅が言ったからかなぁって思ってさ。」
「まさかぁ。石田君が喜ぶってのを信じてメイドになるわけないよー。・・・・・・うん、そんなはずはない・・・ないはず。」
「洗浄魔法便利そうだよねー。返り血とか汗とかやっぱり落としたいもんね。」
「そうそう。やっぱり気になっちゃうよ。話は変わるけどクッキー作ってみたんだ。」
「おぉ、そうなんだ。レベル1でもクッキー作れるの?」
「もともと作れたからね~。これでも女子なんだよ!」
なるほどねー。もともとできることができなくなるわけないか。
「女子ってクッキー作ったりするんだね。料理も作ったりしてた?」
「うん、たまにしてた。あんまり凝ったのは無理だけどね。」
「ほー、わざわざショップで料理買わなくてよくなるねー。」
「そういえば石田君はサブ職業どうしたの?」
「それがねー、生産系にしたかったけど適正がなかったんだよね。」
俺には生産系のサブ職業に対する適正がなかったのだ。
「大魔王だもんねー。」
「やっぱり職業で変わるのかな。」
「石田君はロール系のサブ職業にしたの?」
ロール系は生産系とは違い戦闘などに使える便利スキルを覚えるサブ職業だ。ちなみにメイドもロール系だ。珍しく生産スキルを持っている特殊なものではあるんだが。
「そうそう。でもこっちでも適正がないのが何個かあったんだ。」
例えば執事とか吸血鬼とか。
「大魔王って意外と不便なんだね。」
「うん、王って付くから雑務っぽい職業とか平民がやってそうなのとか軒並みなれなかったね。結局は歩く災厄ってやつにしといたよ。レアっぽいし。」
「そんなサブ職業あるの?職業によって違うことがあるのは知ってたけど・・・。どんな能力?」
「状態異常の成功率アップとか。状態異常に特化した職業だね。」
「状態異常の効果があるスキル持ってたっけ?」
「今は一切ないね。1個だけスキルの秘伝書はもってるけどさ。」
秘伝書っていうのはアイテムガチャで出てくるアイテムでスキルを習得することができる。取引可能なので適正さえなければ人と交換するというのもありだ。ショップに売ってもいいが。
「何か凄いスキルなんだろうなとは思うけど効果聞いてもいいかな。」
「なんですごいって思ったんだろう。まぁすごいんだけど。死神の吐息っていって前方扇状にダメージとともに呪いと毒の状態異常をばらまくんだって。ブレスっていうからには口から発動なのか・・・?それなら嫌だな。」
「だとしたらあんまり使いたくないよね。呪いと毒の効果があるのに口からはないはずだよ。死神の息みたいに恐ろしいってことじゃない?呪いを使えるのは神官だけで成功率もめちゃくちゃ低かったと思うんだけど。」
神官は僧侶の2次職だ。数はやはり少ないらしい。傭兵のようなことをやってるやつらだけがレベル30をオーバーしているようだからな。
「ガチャで出るってことは誰でも手に入れることはできるんだよ。」
「適正があるかどうかは別として、ね。」
「あぁ、そう言われるとそうだな。スキル名からして剣士とか武闘派とか無理だろうなぁ。多分魔法系じゃないと無理だね。」
「大魔王は魔法系なの?」
「魔王系です。」
お後がよろしいようで。