第八十二話 元の世界へ
今日は筆が進む(ような気がする)
本部に戻って団長に報告を済ませた俺たちはこれからのことについて神に聞いていた。
「で、あれを倒したら全部解決ってことでいいのか?」
「うん、一応説明をしておこうか。始まりは我が兄がなんかよくわかんない理由でこっちの世界とあいつの世界を融合させようとしたことだ。それであいつはあっちの世界の偉いやつら、魔王とその幹部たちをそそのかして2つの世界を接着する魔法を使わせた。その魔力を負担していたのは魔物どもだ。それから僕がどうにかしなきゃと思って君たちに祝福を与えたんだ。直接僕が手を下すにはあいつみたいに誰かの体を使わなきゃいけなかったからね。そんなことをしたくはなかったんだ。全員のために死ぬ誰かを選ぶなんて嫌だろ。」
「意外と甘いんだな。魔物を8割だっけ?そんくらい倒すのにお前が何人犠牲にしなきゃいけなかったのかはよくわかんないんだけどさ、それでも絶対に実際世界がこうなって死んだ人数と比べたら少ないんじゃないか?」
「そうだね。僕の変なこだわりのために犠牲になった人たちには本当に申し訳ないと思ってる。さて、説明に戻ろうか。祝福を与えられた君たちはぐんぐんと強くなっていった。それでもしかしたら魔法の維持ができなくなるかもしれないと思ったんだろう。あいつは魔法の維持を自分1人ですることにした。ついでに辻斬りなんてこともやってたみたいだけどあれは体に慣れるためだったのか少しでも敵を減らそうと思ったのかそれはもう分からない。」
「とにかくこれで今まで通りの生活に戻れるってことですよね。そういえばこのステータスとかどうなるんですか?」
松本さんが尋ねる。
「うーん、全部そのままにしとくのはまずいし、でも君たちの努力を残しておきたいよね。と、いうことでステータスを基準としてちょっと身体能力を上げさせてもらうよ。あと固有スキルの名残みたいなの残しておいてあげよう。」
「ん、ということは俺には能力開花と神殺しと免許皆伝が・・・あっれ、神殺し以外役に立たないんじゃなかろうか。」
「確かにね~。能力開花はもう使えないしね。神殺しはやばいからかなり弱体化するけどその分免許皆伝を便利にしとくよ。何かしらの能力を一時的に下げて他の能力を上昇させることができるとか。」
「それならありがたいわ。」
「ほら、ごらん。世界があるべき姿に戻りつつあるよ。」
モンスターやダンジョンが光に包まれていく。そしてぼろぼろと崩れ出す。もちろん九郎やクズノハも。
「そうか、そういえば九郎たちはあっちの住人だったな。これから寂しくなるな・・・。」
「大丈夫ですよ。秋人様にはご友人がいらっしゃるではないですか。それとあちらに戻ったら今の魔王たちを粛清いたしましょう。」
「九郎がやってくれるんだったら安心だな。今までありがとう。あっちに行っても元気でな。」
「ええ、秋人様たちと過ごした日々を忘れずに暮らしていきます。」
「クズノハも。この手触りを楽しめるのは今日が最後かぁ。ありがとうな。」
「きゅぅっ!」
別れの言葉を交わし、世界は俺たちのよく知っている姿に戻った。