第八十一話 TAKE2
俺は意識だけになって黒い部屋の中に立っていた。俺の頭にはクズノハの耳、背には九郎の羽がまだある。ということは俺の目論見はうまくいったということだろう。
【永久成長】これは九郎の固有スキルだ。絶命時に死んだときより少し前の時へ戻ることができるというもので記憶や成長などは受け継がれる。ちなみに九郎の話では生き返る度に少しずつ強くなっていくのだという。
頭の中でテレンと電子音がなる。
固有スキル【神殺し】を習得しました
固有スキル【免許皆伝】を習得しました
【神殺し】神を殺した者に与えられるスキル。全ステータス100倍
【免許皆伝】自分のスキルを使いこなせると確信した者に与えられるスキル。スキルの効果を自在に操作することができるようになる
1つ目は分かるが免許皆伝の方はなぜ習得できたのか分からない。奈落の豪腕の反動ダメージが来る瞬間を予期できたような気がしたがそのおかげだろうか。このスキルがあれば今度は死なずに倒せそうだ。次こそハッピーエンドだ。
さぁ、戻ろう。
どうやら今は原罪を使った直後のようだ。
「さっきまでの俺とは一味違うぞ?」
「ふふっ、楽しみだねぇ。」
「グレートインパクト」
1000を超える衝撃波、それも一つ一つが隕石の倍以上の破壊力を持つ、が炸裂する。
あまりの衝撃にショッピングモールの外壁まで吹き飛ぶ。
敵も倒れたようなので手足に4本の剣を刺し拘束する。
「こんなもの一瞬で・・・。」
どこかで聞いたような言葉を吐く。だから同じ言葉で返そう。
「一瞬もあれば十分だ。」
「99%奈落の豪腕」
「転災」
やったぞ。今度こそハッピーエンドだ。
「えーっと、あれって何が起きたの?私たち完全に置いてきぼりだったんだけど。」
と、遥が言う。
「まずトドメに使った奈落の豪腕って技なんだけど、あれは敵の残りhpを全て削るダメージを与える代わりに自分も同じダメージを食らうってものだったんだ。そして九郎の固有スキルに永久成長っていうのがあってこれは死んだときにちょっと前の時間に復活できるっていうスキルだ。これは消滅した時間での話なんだけど1回奈落の豪腕で倒して俺も死んでたんだよね。そんで永久成長で復活してそのときに神殺しと免許皆伝って固有スキルを手に入れたんだ。神殺しは全ステータス100倍、免許皆伝はスキルの効果を自在に操作するって効果だ。」
「え!石田君1回死んだの!?」
「うん、どうせ永久成長で復活できると思ったからね。死んで復活するとステータスが上昇するらしいんだけど、死に続ければいつか勝てるくらい強くなれると思ったし。」
「アキは無茶するよなー。でもまぁこれで解決か?」
「神界はごたごたしそうだねー。あそこの後任を決めないといけなくなるし。いっそアキト君が神になってくれたら楽なのに・・・。」
「却下。めんどそうだよ。」
「だよねー。わかってたよ。そもそもアキト君は人間だから無理だしね。」
「じゃあ本部に戻って団長に報告してやるかー。」
「してやるってにぃなさん・・・。副団長なのに団長より偉そうですね。」
「いいんだよいいんだよ。今回はにゃんすけ君のお手柄だねー。さぁ帰ろう帰ろう。できれば宴もしたいねー。」
俺たちは帰路についた。