第八十話 必殺の一撃
神の七つ道具の一つを完璧に防いだ俺は唯一目の前にいる敵を殺すに足る攻撃があったことに気付いた。
【奈落の豪腕】最終形態でのみ使える魔王の奥義でありその効果は文字通り一撃必殺。ただし俺自身もその直後に同じダメージを受けてしまう。つまりこれで倒したところでほぼ確実に俺は死ぬ。おそらくあいつのhpは桁が違う。
俺が死なないで済む方法は今のところ思い浮かばない。残りhpが俺より少なくなるようにダメージを与えるという方法があるのだがとても現実的とは言えない。俺の全力の攻撃で全然ダメージを食らっていないのだ。守備力を無視するクリティカルでも全く足りないだろう。
それに奈落の豪腕が避けられることだって考えられる。
「ねぇ君さ、俺があいつの兄だって分かってる?駄々漏れだよ?」
・・・しまった。すっかり失念していた。別に知られても当てればいいだけなんだが。
「原罪」
俺の腕が計6本になる。追加の4本には闇そのものを固めたような剣が握られている。こういう時に限って当たりが引けるからまだまだ俺も捨てたもんじゃないなと思う。さて、覚悟はできた。
まずはギロチンブレード零式を大きく振り衝撃波を飛ばす。これの目的は目眩ましだ。まぁ心を読める相手に目眩ましを使って意味があるのかと思うだろう。それに関しては秘策がある。
古典的な手だが、無心で突っ込めばいいだけの話だ!!
もちろん、攻撃が通用すればの話なんだが闘気武装の力は凄まじく5本の剣の同時攻撃でわずかながらダメージを与えることに成功した。
「死刑宣告」
「雷神の怒轟」
最近明らかになったことだが二刀流で同時に攻撃をするとそれが一撃だと判定されるのだ。
5本の剣から繰り出される雷神の怒轟全てが死刑宣告の効果を受ける。これならなんとか削れるんじゃなかろうか。
「ははっ。奈落の豪腕っての使うしかないみたいだねー。どう?僕と心中してみるかい?」
「ああ、残念ながらそれしかなさそうだよな。じゃあ、行くぞ。」
「漆黒障壁」
できるかぎりの魔力を使って拘束する。
「そんなことしても一瞬あれば解けるよ。」
一瞬?それだけあれば
「十分!!!!」
「奈落の豪腕」
俺の拳から黒い奔流が迸り正面にあるもの全てを呑み込む。そして次の瞬間、俺の意識は途切れた。
もう決着!ちょっとした種明かしと後日談書いて終わりです。最後あっさりしすぎかなとも思ったんですが大魔王は最強じゃないといけませんからね。
読者を裏切っていくスタイル