第十話 神社での遭遇戦
あれ・・・俺が思ってたより歩いてるな・・・まさか神社ってあのでっかいところか!
「あとちょっとだね~。」
「ん?あぁ、そうだね。なんかここらへんモンスター少なくない?」
むしろ全くいないと言えるだろう。さすがにこれは変じゃないか。
「マップ見たけど神社のとこに人がたくさんとモンスターが一体いるね。」
まぁ敵を表す赤のマーカーは人にも適用されるのだが。
「うーん、強いモンスターがいるのかな。これだけ人がいて消えないなんて普通じゃないよね。」
「あっ、人の反応が1つ消えた。これって・・・。」
「あぁ、死んだんだろうね。急ごうか。」
「小鹿のマーチ」
「うーん、まぁ戦闘で使うから今使ってても問題ないけど。俺に掴まって。急ぐから。」
「うん。急ぐって?」
「こういうことだよ。」
そういって靴の裏からサンダーを発動させる。雷脚と俺が呼ぶ技術だ。
「ひゃぁっ、これすんごい速いですねっ!」
「久しぶりに松本さんの敬語聞いたなぁ。とばして行くよ!」
ちょっと調子に乗りすぎたか。まぁ早く着けてよかった。神社にいたモンスターは緑のドラゴンだった。
小柄ではあるがぎっしりと筋肉が詰まっていそうだと思った。
「松本さんはいつも通り補助をお願い。一気に落とす。」
そう言った瞬間ドラゴンと戦っていた人の1人がドラゴンの爪に切り裂かれそうになっていた。
「暗黒結界」
とりあえずその人を守りレイジサーベルでドラゴンを斬り付ける。10回以上斬ってもあまり効いてないように思える。
ただし注意を向ける効果は効いているようだ。何度も俺を爪で攻撃してくる。小鹿のマーチで強化された移動速度の前では無意味なんだけどなぁ。
「奇跡のアリア」
相変わらず綺麗な声だ。さて・・・ここからが本番だぜ。
「冥府の門・開」
紫色のオーラが俺にまとわりつく。
ドラゴンが頭突きを繰り出してくる。が、ギロチンブレードで弾き返す。あいにく武器の持ち替えは得意なんだ。
そこから攻撃を受けることも気にせずに攻撃を繰り出していく。受けたダメージは奇跡のアリアの効果で相殺される。
hpを3分の1ほど削ったところでドラゴンがブレスを吐いた。
「うわっ、あっつ・・・」
「大丈夫っ?!」
「・・・くないな。」
ブレスは魔法と同じ分類なのだろうか。ノーダメージだ。
「えっ、心配させないでよもうっ。」
今度は噛み付こうとしてくる。
「暗黒結界」
ドラゴンは思いっきり結界を噛んでしまった。結構痛がっている。そりゃドラゴンの攻撃力で噛んだら痛いだろう。
「ハートブレイクショット」
松本さんの弓スキルだ。ドラゴンの心臓の上でガラスが割れるようなエフェクトが現れる。次に受ける攻撃のダメージが増えるようだ。
「覚悟の円舞曲」
これは次の一撃のダメージを増加させるスキルだ。
「さぁ、行っちゃって!」
「闇の衣」
漆黒のオーラが俺の周りの空間を染め上げる。与ダメージが2倍になり被ダメージが5分の1になる効果を持つ。まさに大魔王の能力だ。
武器をレイジサーベルに持ち替え近付いて行き、ギロチンブレードに持ち替えてから・・・
「ホームランスイング」
敵を吹き飛ばす効果を持つ大剣のスキルだ。これを受けてなお死なないようだ。
「トドメはもらうよ。」
「サジタリウススコール」
松本さんが空に向けて矢を放つと空から光の矢が降り注ぐ。六条の光の矢が容赦なくドラゴンの命を削りとる。
どうやら倒すことができたらしい。周りからは拍手と歓声が贈られた。
「あんまり騒がれたくもないし帰ろうか。」
「そうだねっ。帰ったらちょっと豪華なご飯にしよっか。」
あまりのんびりとはできなかったが十分に楽しめたかな、なんて思って学校への道を歩いていく。