8.オールホークの町
すみません、光魔法に追加があります。
オールホークに着いた。
町の入り口では警備兵が契約を使用し、オルディス帝国の者でないかだけチェックされた。
帝国兵はチェックに引っかかっていたのでちゃんと機能が働いているのが見られた。
そのまま姫さん達と警備兵の詰め所に直行し、ジジイと帝国兵は王都まで転移で飛んで行くことになった。
戻ってくるのは数日後、それまでこの町にいて欲しいと伝えられた。
報酬貰ってさっさとオサラバしたかったんだが、それまでは残ってなきゃ行けなくなった。
とりあえずラーチェルが時々使っていた宿に行く事を伝え、何かあったらそこに連絡して欲しいと頼んだ。
ラーチェルは帝国兵がいなくなったらだいぶ落ち着いた。
オールホークは東へ行くとテュポン連合、北西に行くとデュガル国の中心部、南に行くとテルミス神聖国方面という立地の為、それなりに栄えていた。
通りには常に人が溢れ荷物を積んだ馬車が通る。
逆に北に行く人は見られない。
宿に行きとりあえず10日泊まる事を宿屋の女将に伝えた。
10日で金貨1枚の料金と言われたのでとりあえず払った。
金貨は100枚あるので、すぐに困ることはないがある程度稼いでおく必要がありそうだ。
ラーチェルに聞いたら銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、その上に金貨10枚で1枚になる晶貨というのがあるそうだがほとんど使われていないそうだ。
金を稼ぐ手段で思いつくのが付与魔法。
ラーチェルに付与魔法で金を稼げないか聞いた所、商業ギルドに言けば引く手数多だそうだ。
なんでも付与魔法を物に固定化するのはLV4必要でMPを馬鹿みたいに使用するため、付与魔法の使い手がいても1日に何度も使用できないそうだ。
スキルを付与しようとするとそもそも最大MPでも足りない人が多いため、物が出回らないらしい。
しかも付与を完全に永久化しようとするとミスリルやオリハルコン、アダマンドなど高い素材が必要になる。
だからアイテムボックスを付与した腕輪で驚いていたのか。
「でもMPって1時間で500くらい回復しないか?」
「そもそも最大MPは200程度が普通なの。MP回復のスキル持ってない人だと200回復するのに1日かかるわ。あなたの回復力は魔力が高くて魔法師適正とMP回復のスキル持ってるからでしょうね。
そういえば明日私は近くで薬草取ってくるね。薬の在庫なくなっちゃったし付与魔法のMP付与が使えるようになったからそれで作れる薬を作るわ。」
帝国兵殺すための毒薬じゃないだろうな?と思いつつ
「分かった。じゃあ俺は明日は商業ギルドに行って来る。」
「ミスリルやオリハルコンとかは高いのか?どうせなら自分で何個か付与魔法を使った物を在庫として持って置きたい。」
「付与に使うならペンダントみたいな少量でも大丈夫だから金貨1枚程度でミスリルは買えるわ。なら付与の仕方を今ここで教えておくわ。」
そして簡単なレクチャーを受けた。
魔法効果付与は光魔法の各種バッファーや土魔法の硬化などがかなり限定された魔法が対象で他には結界魔法の魔法結界や物理結界も可能だが攻撃を受けるたびにMPを消費すること。
スキル自体を付与したいならスキル付与を使う必要があり、一つのアイテムには属性付与もしくは魔法効果付与、MP付与、制限付与のうち一つとスキル付与がかけられて付与固定を別途かけられる事。
話をまとめると下のような感じか。
付与魔法
付与魔法強化 LV1~LV5
付与魔法の威力・範囲を強化する
属性付与 LV1
属性を付与する
魔法効果付与 LV2
魔法の効果を付与する
バッファーや硬化、魔法結界や物理結界などが対象で魔法の効果を付与する
MP付与 LV3
MPを付与する
付与されたMPは使用すると枯渇する
制限付与 LV3
制限を付与する
スキル付与 LV4
スキル自体をを付与する
付与されたスキルは身に付けた者が使用可能になる
付与固定 LV4
付与を固定化する
素材により完全固定できる物や時間が変わる
付与消去 LV5
付与を消去する
一つのアイテムにつき(属性付与or魔法効果付与orMP付与or制限付与)+スキル付与+付与固定
がかけられる。
普通だったら付与するスキルを使う人と付与魔法を使う人が別で2人でやる事が多いが、俺ならいろんなスキルが使えるため一人で出来るだろう。
商業ギルドでやる場合は隠しているスキルが多いため、2人でやる場合があると思うが。
「あと魔石ってなんだ?」
「魔石は魔物から取れる魔力の篭った石よ。そのままMPタンクとして使用できるし、武器や防具の材料としても使ったりするわ。」
ついでに魔法について説明して貰った。
ある程度の効果とどのレベルで覚えられるのかを教えてもらったのは大きい。
隠蔽時のスキルをそれを元に付与に特化した形である程度変更した。
光魔法4、水魔法4、付与魔法5、結界魔法3、空間魔法4、回復魔法4、生活魔法3
槍術3、回避3
魔力強化5、魔力回復3、体力回復1、魔力感知3、消費MP減少5、無詠唱
鑑定3、看破1、罠発見、罠解除、危機感知2、契約2
料理1、調合1
共通言語、共通文字
鑑定眼2
魔法の説明の後は昨日から徹夜だったので宿の1階で食事を取り今日は夕方頃には寝た。
朝になり教えてもらった商業ギルドの所に向かう。
装備は草刈丸から魔法媒体の指輪と短剣に変えてある。
短槍に近い形の杖は街中では居場所に困る。
そこにいる商業ギルドの長に付与魔法をかけて金を稼ぎたい事を伝え、ラーチェルからの紹介文を渡した。
「私がここの商業ギルドの長のギンドだ。紹介文に書いてある通り付与魔法はLV5だというのは本当かね?で、冒険者ギルドにも魔法ギルドにも入ってないんだよな?」
「ええ、本当です。知らない事ばかりなので色々と教えてください。」
返事を聞くと肩をつかみながら笑いながら
「いやー、付与固定を使える魔法使いは貴重でなぁ。付与魔法が得意なのはエルフで人族だとほとんどいない。この国だと王宮に持っていかれるしその王宮でも2人しかいない。すぐにギルドカードを発行しよう。」
と言って銅の色をしたカードを一枚持ってきた。
「このカードは身分証明のような物だ。ギルド付属の設備利用や情報の取得などのサービスが受けられる。ある程度信頼できるようになったらシルバーのカードを発行する。
犯罪等を犯したら国の法律に基づく刑のほかに一部財産没収などの罰則がある。絶対にやらんでくれよ。」
「わかりました。」
カードへの記載は契約スキルで行い、氏名、カード発行場所、公表するスキルを決めて登録を行った。
カードに登録したのは隠蔽時で公開しているスキルの中で
光魔法4、水魔法4、付与魔法5、結界魔法3、空間魔法4、回復魔法4、魔力強化5、魔力回復3、消費MP減少5、鑑定3、看破1、契約2
料理や調合などは外してある。
「こりゃすごいな。一人でなんでも付与できそうだ。」
「あ、あとこの町に来るまでに獣とかを少し狩ったのですが買取は行っているでしょうか?」
「買取ならもちろんやってるよ。見せてくれるかね?」
と言われたので森の中で狩った犬17匹をアイテムボックスから取り出した。
「17匹もか。アイテムボックスに入っているから状態はいいな。1匹銀貨2枚で買い取ろう」
という事は金貨3枚と銀貨4枚か
「ありがとうございます。」
商業ギルドが用意している貸出の露店に座り、付与魔法を受け付ける木版を立て待つとすぐさま人が来た。
「付与固定が出来るってほんとかね?あんたが付与できる魔法は何があるかね?」
と聞いてきた。
付与可能なのは魔法のLVが一つ落ちるので公開してる魔法だと
光魔法
発光 LV1
発光する
状態異常解除 LV2
状態異常を解除する
バッファー LV3
各種バッファーを行う
STR、INT、VIT、DEX、耐性、回避アップの効果
1度の魔法使用で1つづつしかかからない。
水魔法
水操作 LV1
水を生み出したり操作する
ウォーターボール LV1
水の塊を対象物にぶつける
アクアヒール LV2
HPを回復する
フリーズランス LV3
対象物を凍結させる
付与魔法
付与消去を除く全て
結界魔法
境界作成 LV1
獣や魔物から気づかれにくくする結界を作成する
魔法結界 LV2
魔法を防ぐ結界を張る
空間魔法
空間固定 LV1
空間を固定する
壁を張ったり上に乗る事が出来る
空間操作 LV1
物を移動させることが出来る
アイテムボックス LV2
アイテムを格納できる空間を呼び出す
生物は不可
瞬間移動 LV3
視界内の場所へ飛ぶ
回復魔法
ヒール LV1
対象単体のHPを回復する
解毒 LV1
毒を解除する
ラウンドヒール LV2
範囲内の生物のHPを回復する
パーティヒール LV3
味方のHPを回復する
と魔力強化4、魔力回復2、消費MP減少4である。
「アイテムボックスが可能なのか。いくらかね?」
と聞いてきたので相場と同じ
「金貨5枚です。」
と答えた。
「ならアイテムボックスとヒールと状態異常解除を頼みたい」
「大丈夫です。付与したい装備は用意していますか?」
と言って相手から物を受け取った。
付与固定にはMPが200かかる。他にスキル付与が50、そしてかけるスキルで一回につき300ちかいMPが減る事になる。
いくら最大MPが2000くらいあって、1時間に500回復しても始めて10分も経たないうちにMPを1000近く消費するとは思わなかった。
問題なく付与は終わって相手に装備を返した。
と思ったらすぐ次が来た。
「アイテムボックスとラウンドヒールとバッファーと瞬間移動を頼む」
いきなりMPが0近くなった。
この後休憩してさらに3つ付与してまた休憩を取っていると姫さんと鎧が露店を見て回ってるのが見えた。
「やあ、姫さんとアーダンじゃないですか。」
「アーダンって誰だよ?ロンドだ」
そういえばそういう名前だった。
この2人仲が良さそうだ。
「付与固定できる魔法使いが来ているって聞いたから来たんだがノワケだったのか。さっきそこで買ったペンダントに魔法を付与したいんだが頼めるか?」
と鎧が聞いてきたので
「今はMPがないので無理だがあとでいいならいいよ。ただし料金は金貨5枚だぞ」
と言うと
「金貨5枚って私の給料の1か月分だぞ。さすがにそれは厳しい」
金貨5枚って結構貰ってるな。元の世界なら30万から40万くらいの金額だと思うんだが。
「王宮の兵士なら王宮付きの付与魔法の使い手にかけてもらう事はできないのか?」
と聞いたら
「王宮の付与魔法の人は1日1回くらいでMP尽きてしまうんだ。だから私事は頼めない。あなたの回復力は初めてあった時も思ったがすごいな。」
ペンダントは姫さんへのプレゼントだろうなぁ。
「じゃあ後で近接格闘に対する訓練に付き合ってくれないか?こっちは遠距離での戦闘しかした事がないので訓練したいんで。」
と言うと
「分かった。助かる。じゃあ商売が終わったら詰め所に来てくれ。付与は瞬間移動を頼む」
「分かった。後で行く。」
そう言った後、2人は他の場所を見に離れた。
休憩終了後、5回ほど付与して店を閉める事にした。
結果
アイテムボックス:5回
ヒール:2回
状態異常解除:2回
ラウンドヒール:1回
バッファー:3回
瞬間移動:2回
を付与した。
収入が金貨75枚で場所代が銀貨2枚
貴重なのは分かるが儲かりすぎである。
商業ギルドで露店を構えてやってたせいか武器や防具への依頼は無かった。
鍛冶を行っている人から依頼があるかなと思ったんだが。
明日ギルド長に聞いてみよう。
詰め所に向かう前に小さなミスリルの塊を20個購入した。支払いは金貨20枚。
さて、詰め所に向かおう。
ラーチェルからの紹介文には
「この世界について教えてやってください」
と書かれていました。