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7.南への街道2

 王族かどうかラーチェルにこっそり聞きたいのだが、暴走状態なので無理そうだ。


 むー、どうするか。

 王族ならこの帝国兵がここにいる理由に絡んでいるんだろうか?

 絡んでたらラーチェルがまた暴走しそうなので怖い。

 移動に関しても馬車とか使いそうなのに徒歩だし。


 正面から聞くにも帝国兵が邪魔だな

 持ってないのは鑑定眼で確認済みだが俺のように瞬間移動とか使ったらどうするんだ?

 自慢じゃないがこっち来てから近接戦なんて一回もやってねぇ。

 戦闘になったらまた魔法使って氷像作成する事になるぞ。

 そしたらまたラーチェルのドロップキックが炸裂するんだろうなぁ。


 今日はこのまま帰らずにここで夜営をする事になった。

 町までそんなに遠くないはずなんだがまあいい。

 他に結界魔法の使い手がいないので魔物避けの境界作成を行う

 寝ずの番になったらこのメンツなら俺と鎧になりそうなので負担は出来るだけ減らしておきたい。

 亡くなった帝国兵は持ち物を剥ぎ取ってジジイがアイテムボックスに入れていた。

 遺体はまとめて火魔法で焼却。

 アイテムボックスに入れないのか聞いたら嫌な顔をされた。

 当たり前か。

 

 帝国兵の尋問はジジイがしていた。

 内容は目的については確認程度で知りたいのは帝国兵がどれだけ来ているかだった。



 簡単な尋問が終わってジジイから話を聞くと、目的は神から神託がありこの辺りで黒きものが目覚め、もし味方にすると強力な力を得られると言う事。

 黒きものだから封印されていた魔物が封印から解かれて出てくるんじゃないかと帝国もデュガル国も当たりをつけていた。

 実際この辺りに昔魔物が封印されていたらしい。

 古すぎて正確な場所すら分からないが。

 その話を聞いてたまたま近くの町に来ていた姫さんが我慢できなくなってここまで来て先ほどの戦闘になったと。

 あっさり姫さんと白状したな。

 こっちは聞くかどうか悩んでいたのに。



 しかしどうするか。

 今の話は身に覚えがありすぎる。

 

 どう考えても俺のことだろう。

 

 どうごまかすか。

 

1.知らん振りをしてやり過ごす

 このままやり過ごせそうだが帝国兵は引くんだろうか?

 デュガル国もこのまま調査を続けるだろうし。

 これはそこだけが問題。

 

2.正直に名乗り出て味方になる報酬におっぱいちゃんを貰う

 なんだかいい作戦に思えてきた。

 でもなし。これはなし。鉄砲玉が親分の国家に雇われるのはリスキーすぎる。

 

3.おっぱいちゃんを人質にしつつそのまま攫って帝国に亡命

 前半分はいいけど帝国も鉄砲玉国家と大差ないように見える。

 どこの世界に他国に侵入してるのに揃いの鎧を着けるバカがいるんだ。

 ラーチェルが戦闘バカと言ってたがあれを見ると間違っていない。

 まぁラーチェルがいるので最初から帝国に行くのはない。

 

 

 冗談はともかく、第4の案でいくか。

 魔物がいました案。

 アイテムボックスにもちょうどいいのが入ってるし。

 鑑定眼で見る限り4人は鑑定眼は持っていないが念のため隠蔽のステータスをいじって空間魔法を5に、鑑定眼を表示しておく。

 

「その魔物ならもしかして熊のような魔物じゃないですか?」

 そう言ってアイテムボックスからこの世界に来てから一番最初に倒した巨大な熊の上半身を地面に出す。

 相変わらず凍ったままだった。

 アイテムボックスの中だと状態が固定されるのか。

 

「こ、これを倒したのか・・・」

 ジジイが驚いていた。

 あれ?火魔法5を持っているジジイが驚いている。

 何かミスったか?

 どうやって倒したかを聞かれたら空間切断を使ってと思ったがジジイの反応がおかしい。

 空間切断なら都市すら落ちそうなもんだが。

 火魔法5でも同じじゃないのか?

 ちょっと作戦変更。

 

「穴にはまっていたのでその時に魔法で攻撃して倒しました。」

 使った魔法をごまかしつつ偶然倒せたように言う。

 凍っているからフリーズランスを連射したと思うだろう。

 

「確かにこれは封印されていた魔物かも知れん。これほど巨大な魔物はここら辺には生息していないからな。これをどこで倒したかね?」

 

「デルイから東に行った山の中です。村の跡地みたいな所を見つけたんですが荒らされた跡のようなものがあり、それを追っていたらその魔物に出会いました。」

 荒らしたのはほんとは俺ですが。

 

「この魔物の下半身は無いのかね?」

 

 確か下半身は凍って無かったよな?

 突っ込まれそうだ。

「いえ、下半身は崖から落ちてしまって確保できませんでした。」

 

 ジジイはしばらく考え込み

「これを買い取りたいがいいかね?魔石もまだ残っているのでそれを含めて買い取りたい。報酬は町に帰ってから決めよう。」

 

「分かりました。このまま引き渡して大丈夫ですか?」

 マセキってなんですか?

 とりあえず了解しておく。

 あとでラーチェルに聞こう。

 そういやいまだに金貨の一枚も使っていない。

 

「ああ、問題ない。こちらのアイテムボックスに入れよう」

 

 とりあえず誤魔化せたようだ。

 町に帰ったらまた聞かれそうだけど、報酬貰ったらあとはできるだけ近づかないでいよう。

 もしかしてこれがほんとに封印されていた魔物か?

 

 あと、デルイの村が帝国兵に襲われて現在は北のフランクという町に避難している事を伝えた。

 それを聞いた姫さんがデルイに行こうとし出したが、鎧が必死に止めてた。

 

 

 

 夜警は結局俺と鎧がやる事になった。

 途中で交代ははなし。

 他のメンバーと町までの距離考えると問題はないだろう。

 

 鎧はさすがに今は脱いでる。

 鎧の中身は厳つい顔をしているが整った顔をしていた。

 パイナップル頭じゃなかったか。

 デュガル国の王宮はわりと自由で21番目の子供だというのあって、姫さんはしょっちゅう何人か供を連れて国内の町に出かけていて、今回はテルミス神聖国の国境の町まで来た帰りだったらしい。

 鎧は毎回姫さんに連れ回されていて今回もその供だとの事。

 移動するならその鎧は重いだろと聞いたら毎回姫さんがトラブルにぶち当たって何度か死に掛けた経験があるので重鎧を普段から身につけるようにした。鎧の重さにはもう慣れただと。

 勇者のお供は大変だな。今回も姫さんがトラブルの方に近寄った結果だし。

 

 しかし21番目の子ってラーチェルは初代国王が女好きって言ってたけど代々の国王が女好きじゃないのか?

 100年前建国なら今は6代目あたりか?

 代々20人くらい子供がいたらそりゃ局地的に勇者の数がおかしくなるわ。

 そのうち世界が勇者で溢れそうだ。

 戦いは数だよ兄貴といった人物がいたがそれを勇者でやるとは思わなかった。

 

 

 特に襲撃もなく朝になった。

 

 帝国兵は縛って鎧にロープで引っ張られている。

 特に抵抗もせずに歩いている。

 デュガル国内に入った帝国兵は8人で全部で、転移---過去に来た記憶がある場所に飛ぶ魔法---でデルイ村の近くに一気に来たと吐いていた。

 尋問の続きは南の町、オールホークについてからだが神託の件だけなら引き出せる事は多くなさそうだ。

 

 昼頃になって壁に囲まれた町、オールホークが見えてきた。

 こちらに来てから初めて人のいる町だ。



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