11.オールホークの町4
女性は長身でスレンダーな体形で短い鹿のような角があり、黒い髪を腰辺りまで伸ばしていた。
鹿の獣人?
そう思いつつ話しかけた。
「タロスってのは?」
「この隣のランドサウルスです」
どう見てもでかい陸亀だろと思いつつ
「分かった」
と答え、亀に近づき回復魔法LV5のフルヒールを使用した。
血が滴っていた前足の傷が塞がった。
鑑定眼で種族名を見たらランドトータスじゃなくて本当にランドサウルスだった。
爬虫類だからまぁいいのか・・・
女性のほうを見ると種族が獣人じゃなく、龍人ハーフだった。
(龍人だけどどこにも鱗ないよな・・・?)
【名前】:サティア
【スキルポイント】:31pt
【種族】:龍人ハーフ
【ステータス】
LV:25
HP:210
MP:201
STR:36
INT:32
VIT:47
DEX:21
LUK:19
【状態】
正常
【スキル】
火魔法3、回復魔法3、生活魔法3
剣術3、斧術1、槍術6、盾防御5、回避4
身体強化2、魔力強化1、魔力回復1、危機感知1
料理3
共通言語、共通文字、龍族言語、龍族文字
龍鱗硬化、スキル遺伝
ハーフだと鱗ないのか?と考えていると
「あの、足はやっぱり元に戻らないんですか?」
「ああ、傷は塞がるが足は元に戻らんぞ。」
「タロスの足を治すには何か手はありますか?」
と女性はさらに聞いてきた。
龍人ハーフか、面白そうだな。
そういやエリクサーが手元にあったなと思いつつ
「俺の知る限りは奇跡の手、加護の手、エリクサーだな。奴隷にでもなるんなら用立ててやるぞ。」
とこれで乗ってきたら儲け物だなと女性に言ってみた。
「本当ですか。タロスが治るならなんでもします。」
とあっさり乗ってきた。
一応考える時間を与えるのと頼まれごとの最中だったのを思い出して、
「気が変わらなかったら、夜になったら宿屋に来て」
と泊まっている宿屋の名前と場所、自分の名前を教えた。
教会に戻った。
教会に来る人は減らなかった。
ガブの町はこの町と同じくらいの規模の町と聞いたので避難民もすごい数になりそうだ。
回復魔法LV4のMP譲渡でMPの切れた僧侶にMPを何度か分け与えた。
夕方になり教会関係者以外は回復作業は終わりになった。
ラーチェルと一緒に宿屋に戻ると宿屋の入り口に先ほどの女性がいた。
女性に近づくと
「あの・・・お願いします。」
「本当にいいんだな?」
「はい。後悔しません。」
と答えた。
ラーチェルが
「誰ですか?この女性?」
と聞いてきたので
「怪我を治せるけど代わりに奴隷にするって言ったら納得してここに来た」
「怪我ってもしかしてあの亀?」
「そう。あの亀の足の怪我。」
「えっ?亀なら契約で縛れないから加護の手使えないじゃない」
やっぱり加護の手はダメなのか。
「他の方法があるから問題ない。」
と答えておいた。
とりあえず女性も納得したので俺は契約を使用した。
契約内容
サティアはノワケの奴隷となる
タロスの前足の欠損をノワケは修復する
サティアはノワケを殺害しようとしない
サティアはノワケのスキルについてノワケに不利になるような事を他者に公言しない
タロスを売却、放棄、殺害して故意にサティアと別れさせるような事はしない
契約期間はサティアが死ぬまでもしくはノワケが解放するまで
と決めたところ女性から、
「罰則規定はないんですか?」
と聞いてきた。
罰則規定?
とラーチェルの方を見ると目を逸らしている。
この女、なかなかに黒いな!
罰則規定として
サティアが契約を反故にした場合、タロスの全ての権利はノワケに譲渡される
タロスが逃亡した場合、サティアの全ての権利はノワケに譲渡される
またタロスの前足の欠損を契約日に修復しないとこの契約は解除される
とした。
光が消え契約が結ばるとラーチェルが
「加護の手が使えないのにどうやって治すの?」
と聞いてきた。
俺はアイテムボックスからアイテムを取り出して
「これを使う」
とエリクサーを見せた。
するとラーチェルが俺の手をがっちりホールドして
「エリクサーじゃない!なんでノワケさんが持ってるの?製造レシピは?たしか調合1だったはずなのになんで?どこかに作れる人がいるの?他にエリクサーは?もちろん分けてくれるわよね」
とまれーー!!この薬物中毒者め!
「もう1つあるからおちつけ。先に怪我を治してからだ」
と言っておいた。
サティアにエリクサーのビンを渡し、サティアはタロスに飲ませた。
すぐにタロスの足は修復された。
サティアは
「ありがとう。ありがとうございます」
とタロスの首を抱えながら喜んでいた。
タロスは宿屋の裏に止めておき、部屋に入った。
そして俺はエリクサーを取り出しラーチェルに渡した。
渡しておかないと夜中に何されるか分からん。
そして
「エリクサーの製造方法や作り手に関して俺は正直知らん。運よく手に入っただけだ。」
と言ったがラーチェルは信用してない目つきだ。
鳥がくれたって言っても信用しないだろ。どうしろって言うんだ。
だがエリクサーを受け取ったのでとりあえずは納得したようだ。
ずっとエリクサーを眺めてる。
サティアに生まれを聞いたら北東大陸の生まれで父親が龍人で母親が人族だと答えた。
故郷を出た後、タロスと一緒に旅をしてきたらガブの町で竜に襲われ建物の下敷きになって前足を失ったと。
襲ったのは地竜と飛竜で間違いなく、荷物も回収できずにこの町まで逃げて俺に会ったそうだ。
戦えそうな能力してるんだけどな。
使う武器は何か聞いたら長槍と盾と答えた。
盾なら在庫があったなと思い出し、アイテムボックスから出して見せたがもう少し細身でタロスに乗ってでも使えるのがいいと言った。
装備は明日ドルグ氏に頼もう。
ミスリルの欠片に瞬間移動、アイテムボックス、MP1000を付与してサティアに渡した。
出したついでに盾には全耐性を付与しておく。
その日の夜、サティアは初めての涙を流した。
次の日、昨日の装備の製造状況とサティアの装備の依頼にドルグ氏の元に向かった。
ドルグ氏はかなり忙しそうだったが製造状況を聞いたら既に防具は出来ていた。
追加でサティアの長槍と盾と防具を頼み、アダマンドをかなり多めについでに鉄も渡して置いた。
避難民が来て道具の作成依頼が多いのに材料がなかなか入ってこなかったので助かると言った。
教会に行くとおっぱい僧侶から領主の館に行って欲しいと頼まれた。
ジジイが帰ってきて、一緒に第5王子と直属の部隊が来て滞在していると。




