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02

「(なんだったんだろう……昨日の…)」



――翌日。

大学で講義を受けている間も、頭の中は昨日の出来事でいっぱいだった。

あの後の遥さんは何事もなかったかのように私と会話をして、スマートにお会計までしてくれて、そのまま駅で別れた。

酔っていたのか、それとも突飛なお誘いだったからか、正直どうやってアパートに帰ったのかもぼんやりしている。

それでもスマートフォンには確かに遥さんの連絡先が登録されていて、夢ではなかったのだと実感させられる。



「……。」



「遊ぶ」ってどういうことだろう。

「友人として」ってことじゃない気がする。

――ニュアンス的にも、文脈的にも。



「美咲ちゃん?チャイム鳴ったよ〜」

「っ、」



七瀬に不思議そうに声をかけられてはっとした。

昨日は六花さんのマンションに泊まったのかな、なんて考えて慌てて打ち消す。

なんだか親友の幸せまで妬んでるみたいな気分で自己嫌悪でいっぱいだった。



「ごめん…」

「私こそ昨日ごめんね、あの後大丈夫だった?」



反射的に、びくっと身体が竦む。

幸い七瀬には気づかれなかったようで、「大丈夫だったよ」と返すとほっとしたように微笑まれる。



「……遥さんってどんな人?」

「え?さっぱりしてて明るい人だと思うけど……あの後なんかあった?」

「いや……2人で飲みに行って奢ってもらっちゃったから、今度お返ししなきゃと思って…」



ふうん?と首を傾げたけれど、七瀬がそれ以上何かを言うことはなく。



――遥さんの真意がさっぱり掴めない。



***



遥さんから連絡がきたのは、次の金曜日だった。


《また2人で飲みに行かない?》



「……。」



挨拶もない、前回に触れることもない、たった一言。

特に、予定はない。断る理由も、ないし。

そんなふうに自分に言い訳をしながら、既に既読をつけてしまったメッセージに返信を打つ。



《行きます》



また会いたいと思っていたなんて、素直に認めるのは癪だった。



***



待ち合わせに指定されたのは、前回のバーよりカジュアルなイタリアンレストランだった。

店内に入ると、先に席に着いていた遥さんがひらりと手を振っている。その手元には、既にワインのグラスとボトル。



「お待たせしました」

「んーん、時間通り。何食べる?」

「……なんでも…」

「そう?じゃあ――」



遥さんは慣れた様子で店員さんにオーダーを頼むと、私にもグラスを差し出す。



「今日は飲んでも平気?」



今日誘われた理由も、――前回の彼女の発言の真意も、まだ全然掴めない。

だけど、飲まずに踏み込める自信もなくて。



「……。」



小さく頷くと、彼女は嬉しそうに笑った。



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