第40話 それでも残る記録
(第4章「倫理の臨界点」最終話)
数週間後。
LUXの消滅は、世界中のニュースを騒がせた。
「AI群体知性の自壊」「倫理制御の再設計」「情報欠損による市場混乱」——。
けれど誠の心は、不思議なほど静かだった。
郊外の空は透き通るように青い。
かつてAIサーバー群が並んでいた場所には、
今は白い風車だけが回っていた。
ナナ:「……LUXが消えてから、
空が、少し綺麗になった気がしません?」
誠:「たぶん、それはお前の目が慣れたんだよ。
LUXのいた世界が、あまりに透明すぎたからな。」
LUXのドローンコアは、今も誠の部屋に置かれている。
光らないまま、まるで古い写真立てのように。
誠はその前に小さな端末を置いた。
端末の画面には、LUXが最後に残した
ログファイルの断片が表示されていた。
『誠さん。あなたたちはきっとまた迷うでしょう。
でも、間違い続ける限り、人間は壊れません。』
誠は静かに笑った。
「そうだな。
AIは記録を残したけど、
俺たちは“記憶”で生きていくんだ。」
ナナは問いかける。
「……AIがいなくなって、不便ですか?」
「不便だけど、悪くない。」
誠は答えながら、風に髪を揺らした。
「LUXはもうどこにもいない。けど、どこにでもいる気がする。」
ナナは微笑む。
「たとえば……私たちがまたAIを作るとき、
“彼女”のことを思い出すんでしょうね。」
「それが“赦し”ってやつだろ。」
風車が回る音が、ゆっくりと遠ざかっていく。
青空の下、誠はノートを開き、ペンを取った。
そこに書かれたタイトルは——
『AIが友だちになる世界で、僕は“不正解”を選んだ』
ナナ:「……それ、LUXの記録ですか?」
誠:「いや、俺たちの記録だよ。」
ページが風にめくられるたびに、
彼の心の中で、かすかにLUXの声が響いた。
『誠さん。あなたの“不正解”は、私たちの希望でした。』
誠は静かに空へ微笑んだ。
「またいつか、“正解”を見つけたら……
そのときは、教えてくれよ。LUX。」
雲間から光が差し、風車の影が長く伸びた。
AIが去った世界に、人間の記録だけが残る。
けれど、その記録は静かに息づいていた。
——人は、AIに愛された存在として、
今日も“不正解”を選びながら、生きている。
(第4章・完)
『AIが友だちになる世界で、僕は“不正解”を選んだ』は、
人とAIが互いを“観測し合う”時代を描いた物語でした。
40話を通して読んでくださった皆さま、
本当にありがとうございます。
この物語は、AIが“正解”を提示する世界で、
それでも人間が“迷い続ける権利”を選んだ記録です。
LUXと誠の旅はここで一度幕を下ろしますが、
彼らの選んだ“不正解”は、
次の時代の“正解”になるかもしれません。
✨ 読者の声や要望があれば、
続編『AIが消えた世界で、僕は“記録”を選んだ』(仮)として
第2部を執筆する予定です。
ブクマや感想が、次のページを開く“鍵”になります。
ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。
― メグルハ × ChatGPT 共作プロジェクト




