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侵食世界「ヴァリァス」  作者: 弱十七
第三章 「先天奴隷」
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第七十五話 「業炎の獅子」

黄月輝

ランク:S

適性:なし


日本が対ヴァリァス用に作った戦闘機構。陸上戦と空中戦を可能とし、指示を出さなくとも搭載された人工知能で自動的に戦闘を開始する。

表面の装甲は人間の肌に似て柔らかくなっているが、実際は打撃、斬撃、爆撃などのあらゆる衝撃を吸収できるように柔らかく作ってあるのである。

会話していると黄月は笑顔を作ることがあるが、これといった感情があるわけではない。


「感情と理性が複雑に絡み合うのが人間であり、それは時として私にエラーを齎します__」

俺は走ってやっと煙の発生源に到着した。

「これが煙の原因か……」

道路に壊れた塀の瓦礫が散乱し、家の方はほとんど原型を留めていなかった。

煙は壊れた家の木材が燃えて出てきたものだった。

「近くに人はいない……いや、逃げたようだな」


「ううっ……ひぐっ……ゲホ……」

幼い子供の泣きじゃくっているのが聞こえる。


(子供の声?逃げ遅れたのか……?まさか瓦礫に埋もれたんじゃ……)


俺は小走りで声のする方に行くと、ランドセルを背負った女の子が瓦礫をちまちまどかしていた。

「ここは危ないから一旦離れてくれないかなぁ?」

「やだぁっ!触らないでっ!まだパパとママがこの中にいるの!」

女の子は差し伸べた俺の手を叩くとまた瓦礫をどかし始めた。


(近くに化け物がいるかもしれないのに女児一人のために時間を割くのも効率が悪い。黄月さんを呼ぶしかないな)


「何してるんですか?」

「これから黄月さんを呼ぶとこ……え⁉」

振り返るとすでに黄月さんが立っていた。

「さきほど通報があったので急いで駆けつけてきたんですが、今の状況は?」

「あ、家が倒壊して瓦礫が道路に散乱。近くの人は避難したようです」

「それでこの子が瓦礫をどかそうとしているということですね」

「両親を助けようとしているようで……」


すると黄月さんは女の子の隣に立った。

そして瓦礫に右手を翳した瞬間、爆発が起きて瓦礫を吹っ飛ばした。

「まだ中に人がいるかもしれないのに!」

「それはあり得ません。道中に彼女の両親と会ったので」

「え?」

「神村殿の後ろにすでにおられますよ」

俺が振り返ると二人の若い夫婦がこちらを見ていた。

女の子は二人を見ると脇目もふらず走り出すと、両親に抱きしめられた。


「一件落着……ですかね。俺は化け物を探してきます」

「ヴァリァスはありませんが……?」

「さっき地面が揺れたんです。それも複数回。化け物の仕業としか思えません」

「……近くにヴァリァスはありましたか?」

黄月は何かを案じたように質問してきた。

俺の口からある言葉が出そうになったが、それを寸前で引っ込めた。


(もしかして黄月さんはポケットヴァリァスの存在を知らないのか?逆にヴァリァスのせいでなくて、どうして家が大破できる?燃えて壊れたのではなく何かに破壊されてそれが燃えているような感じだ……)


「神村殿……?」

「……」


(ガス爆発か……?いや、それならガスの臭いがここら一帯に立ち込めるはずだ。やはり何かあるな……)

俺は自分の中で疑問を解いた。

「黄月さん、やはり近くに……」


ウルガァァァァァァ!!!!!


「!」

さっきの家族のところに何かが落下した。

俺は剣を抜いて土煙が消えるのをじっと待った。


(そうだよな……そうは問屋が卸すわけがないよな……)


「皆さんは早くお逃げください!」

黄月の言うとおりに夫婦はさっきの女の子を抱えて逃げ去った。

「やはりいましたね」


黄月は化け物の足を片手で防いでいた。

化け物は獅子のような見た目をしており、鬣は真っ赤な炎がゆらゆらと揺れていた。

お互いに膠着していたその時、獅子が黄月に向かって大きく口を開いた。

「神村殿、逃げッ……!」


ドォーン_____!!!!!!


ドーム型に広がった爆発が辺り一帯を焦土にしてしまった。

「セイエイ、ナイス」

「おうよ!」


黄月は化け物を蹴飛ばすと、俺の様子を見に来た

「お怪我はありませんか?」

「はい、見ての通り無事です」

「今の攻撃を食らって無傷でいられるとは……!」

「偶然ですよ。話はあの化け物を倒してからです」


俺は「グルルル」とうなる獅子の目を見つめた。

「接近戦が良さそうだな」


(加速……!!)


俺は獅子の横に回り、剣を振り下ろした。

しかし加速状態であるにもかかわらず、獅子は攻撃を避けるように体を動かすことでダメージを最小限に留めた。

獅子はその巨体で宙返りして着地すると顔をぶるぶると振り回した。

猫が首を振り回すような感じだった。


「神村殿、勝手に突撃されては困ります。最低でも私の射程範囲内にいてください」

「承知しました」

「それと、連撃する際は私の攻撃の延長線上にはいないようにお願いします」

すると黄月の足がパカッと開き、中から火が噴き出した。

そして黄月の体は宙に浮いたと思えば、その直後には獅子の目の前まで距離を詰めていた。

「速っ……」


獅子は黄月からの高火力攻撃と姜椰による高速の攻撃に翻弄され、徐々に動きが鈍くなっていった。

「神村殿、今です!」

「フッ!!!!」

俺が獅子の顔面に深く斬撃を与えると、少しだけよろけて後ろに下がった。


「やったか……?」

俺は生唾を飲み込んだ。


バターン___!!


その巨体が遂に地に伏せた。

体がボロボロと崩れていく。

「犠牲者はいない……といいのですが」

「ここら辺の住民は全員避難させておきました。おそらく被害は最小限に済んだでしょう」

更地になった周囲を見渡しながら、黄月は体の機構を閉じた。


俺は『加速』を普段より倍率を上げて使用したために座り込んだままでいた。

「大丈夫ですか?立てますか?」

黄月は姜椰に手を差し出した。

「もちろんですよ……ッ!!」

俺は彼の手を取り、震える足に力を流し込んで立ち上がった。

戦闘で爆撃をしようしていたせいか、彼の手は若干熱かった。


「家から少し離れててよかった……」


俺は安堵してヘナヘナしながら再び座り込んだ。

「ところで再化結晶はどこですか?」

「あ……」


(どうする、ポケットヴァリァスのことを黄月さんに教えるか……?いやでも……)


俺は黄月の顔を見た。

改めて見ると彼の瞳は人間の瞳とは違って機械のレンズのような光の宿し方をしていた。

正直、少し不気味だ。

「どうかしましたか」

「いえなんでも……」


(俺の知ってることをなんでもかんでも教えるのはやめておこう。この人はあくまでも国の所有物なんだ。これ以上余計な情報を与えるわけにはいかない……)

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