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侵食世界「ヴァリァス」  作者: 弱十七
第三章 「先天奴隷」
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第七十一話 「彼女は見ていた」

俺は月海に客間まで案内された。

床には照明が反射し、部屋全体は花のいい香りで満たされていた。

「じゃあ、適当なとこに座って待ってて。荷物は隣の椅子にでも置いてくれればいいから」

「ん……あぁ……」


よくお金持ちの家にある極端な長方形の机があった。

パッと見ただけで椅子の数は二十近くあり、真ん中にはピンク色の花が飾られていた。

(こんな机、本当にあるんだな……)

一番端の席に腰かけ、お菓子たちは隣の椅子に置いた。

そして彼女が来るまで机に添えられた花を見つめていた。


「お待たせ。今からシェフが料理を運んでくるからあと少しだけ待ってて」

「……さっきも聞いたが、どんな風の吹き回しだ。いきなり人の袋を覗いて車に連れ込んでこんなとこまで連れてきて」

「それは……」


彼女が何か言いかけた時、料理が続々と運ばれてきた。

「……豪華だな」

「まだまだ序の口よ。これからもっと運ばれてくると思うわ」

「いつもこんな食事なのか?」

「普段はこれより少しだけ少ないわ。客人が来てるからアタシの分も増えたんじゃないかしら」

「そうなのか……」


お互いに箸を進めていき、腹が膨れ始めたところで彼女が話し始めた。

何かを察したのか使用人たちは部屋を出て行った。

「実はアタシがアンタを招いた理由はまともな食事をさせてあげるためじゃないわ」

「そんなのわかってる」

「黄月輝……知ってるでしょう?」

「あの人が何かしたのか」

「これからのアンタの学校生活の護衛をお願いされたの」

「……なるほどな。仕事が早い」

「でもアンタを護衛する理由を説明されていないの。だから後で本人に聞こうと思ったんだけど……偶然会ったから連れてきたってわけ」


彼女は先に食べ終え、箸を置いた。

そして顔の前で手を組んでこちらを見た。

「で、早く教えてくれる?」

「相田想決だ」

「な、何が……?護衛される理由がアイツなの……⁉」

彼女は体が前のめりになった。俺は急いで食事を終わらせて箸を置いた。

「ごちそうさまでした」

「ごちそうさまとか後ででいいから!アイツの名前を出した理由を教えて!」

「……黄月さんが言うには、想決が俺の身を狙っているらしい。心当たりもいくつかある」

すると彼女は前傾姿勢を戻し、少しニヤけて天井を見上げた。


「……腐女子大歓迎ね」

「”狙っている”の意味が違うだろ」

「フン……まあ、アイツ(想決)の相手でアタシを任せるのも納得かな。養成高校で張り合えるのってアタシくらいでしょうし」

「俺もお前に護衛される話は聞かされてなかったんだが、とりあえずよろしく頼んだ」

「まあいいわ。面白そうだしやってあげる」

「助かる」


「そういえばアンタのことは何て呼べばいいの?」

「……アンタでいいんじゃないか?」

「名前に決まってるでしょ!」

「……神村でいい」

「そ、そう……神村ね……!」

彼女はなぜか頬を赤らめた。


(なんだコイツ……俗にいう変人か?)


 ◇


帰り際に玄関で彼女は言った。

「神村さ、想決に喧嘩でも仕掛けたの?」

「そんなわけないだろ。でもアイツのせいで殺されそうになったことは何度もある」

「クラスが離れてると隙だらけだし、アタシも六組に移籍するわ」

「席が空いてない」

「佐宮って人が相田に殺されたはずよ。その人のところに行けば大丈夫じゃないかしら?」

「……なんで相田に殺されたって知ってる。誰もそんなことを言ってなかったはずだ」

「知りたい?」

「ああ。もしかしたらこの場で敵が一人増えるかもしれないからな」

「アンタじゃアタシは倒せないわ。努力も実力も雲泥の差があるから」

何も言わない俺を見て、月海は「フッ」と鼻で笑った。


「どうしても気になるようね。焦らすのも面倒だから教えてあげるわ」

彼女は肩にかかった髪を後ろにどかした。

「佐宮って人が殺されるところを見たのよ」

「……は?」

「相田が剣を使って佐宮って人を刺してる場面を一部始終見てた。それだけよ」

「無理だ。もっと詳しく教えてくれ」

「ここじゃ人が多すぎるわ。詳細はあとでラインにでも送っておく」


こうして俺は中途半端なところで帰らされた。

(月海津波……ただの面倒なヤツだと思っていたが、今の俺には必要不可欠な人物だな。佐宮が殺される瞬間を目撃していた人間は彼女以外いないはず)


月海家の車で里弦駅まで送ってくれた。

俺は運転手に頭を下げると、向こうも浅く頭を下げて走り去っていった。

線路の向こう側に渡るために駅に入り、ロータリーに出た。


見慣れた光景にはコンビニがあった。

そういえば夜飯の準備を一切していなかった。

「腹空いたな……」

俺はお腹に手を添えて息を吐いた。


「……まだ残ってるといいんだが」

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