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侵食世界「ヴァリァス」  作者: 弱十七
第二章 「四色の瞳」
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第五十八話 「山、消滅す」

城城弥生

ランク:S

適性:「精密」


能力の効果:射撃をする上で対象との距離や大きさを考慮して命中精度を飛躍的に上げることができる。

遠距離武器を使用する隊員には必須と言われるほど重要。ちなみにあくまでも射撃の腕は本人の技術量がベースなので適性があれば誰でも彼女のようになれるわけではない。

人によっては適性が複数発現する場合もあり、弥生の場合は「身強」が僅かに目覚めている。


「銃とは面を壊すものではなく、点を穿つためにある__」

「姜ちゃん!ここで寝たら危険だって!」

俺は体をゆさゆさ揺らされて起こされた。

「……眠いんだ。頼むから寝かせてくれ」

「私の膝枕、そんなに寝心地いいか?w」

膝から見上げる弥生の顔はニヤニヤしながら俺を見下ろしていた。


俺が夜空を見るのに邪魔するものは何も無かった。

すると、弥生は静かに俺に銃口を突きつけた。

「小さくて悪かったな……!」

「……俺は別に気にしてないんだが」

そう弁解すると弥生はさらに強く銃口を突きつけた。

「否定しろよ……!!!!!」

「あ。そ、そんなことない……と思う」

「まあ……許す」


完全に眠気が吹き飛んだ俺はゆっくりと起き上がった。

「次の化け物を探しに行くか?」

「そうだな!」

もう夜明け前だというのに弥生はいつも通りのテンションを保っていた。

疲れを知らないのだろうか。


それから俺たちは視界に入った化け物を続々と倒していった。

少し負傷はしたものの、戦闘に支障は出ないほどで済んだ。


そして午前5時。

もう地平線の向こうから朝日が差し込み始めていた。

「任務でオールするとは思わなかった」

「姜ちゃん、仕事ってのは大変なんだよ……」

弥生は俺の肩に手を置いた。

疲労が溜まった俺の体ではその小さな手さえも重く感じられた。


その時、死角から異様な気配を感じた。

「……何か来たか?」

「これで最後か……私がやっとくよ」

「最後?どうしてそんなことがわかるんだ」

「長年の勘かな?コイツだけ殺気が段違いだし」


「アシャァァァァッ!!!!!!!!」


化け物は俺達正面に向かって威嚇するように咆哮を上げた。

「初対面でも挨拶を欠かさないとはね。礼儀正しい化け物だこと……」

生き残っている隊員は各々武器を構えて化け物を取り囲んだ。


隊員たちは一斉に襲い掛かり、化け物と乱闘になった。

その中に俺も入り向かってくる爪と尾を躱しながら戦った。

しかし化け物になかなか隙を見せずにいたため、徐々にこちらが劣勢になっていった。


化け物が棘の生えた尾を強く振り回して隊員の左足を吹き飛ばした。

「ぎゃあああああああ!!!!!」

絶叫して地面に倒れると、すぐさまヴァリァスに侵された。

その暗黒が彼の体を染め切るまでにそう時間は要らなかった。


「ハッ……!」

次の瞬間、自分の仲間が目の前で殺されていくのを見て腰を抜かした隊員も殺された。

悲鳴を上げる間もなく頭を一口でガブリと。

一瞬だけ見えた化け物の歯の隙間からは真っ赤な血が滴っていた。


「シャァァァァッ!!!!!」

化け物は続けて俺の方へ飛び掛かった。

その口を大きく開け、先程と同様に俺の頭を一口で食べようとしていた。

「ッ!!!!!」

振り下ろされた剣が化け物の鋭い爪と衝突した。

やはり体力的に不利な俺には化け物の攻撃を防ぎきる力は残っていず、剣を流す形で後退した。

「姜ちゃん、敵と戦う時は闇雲に狙うんじゃなくて弱点に致命傷を与えるようにするんだよ」

「アイツに弱点なんてあるのか?」

「まあ見てなよ」


弥生が歩み始めると対峙していた隊員たちは距離を置いた。

「シャァァァァッ!!!!!」

化け物が弥生に飛び掛かる。

弥生は最小限の動作で攻撃を躱し、大きく開かれた口に数発発砲した。

「これでどうかな?」


化け物が口を開くと中から発砲された銃弾が吐き出された。

「弥生の銃が効いてない……!」

「コイツは厄介だね……」

弥生は少し苦戦しているように見えた。

俺は加勢しようと剣に手をかける。

「待って姜ちゃん。ここは私に任せて」


弥生は左手に持っている銃をしまった。

そしてそれを両手で持って化け物に標準を合わせた。

「シャァァァァァァァッ!!!!!」

「弥生、来るぞッ!」


動揺することなく弥生は息を全て吐いた。

体を一切震わせずに銃口と鋭い目を向けていた。


「いい?銃とは面を壊すんじゃなく、点を穿つものなんだッ!!!!!!!!」


一発の弾丸が放たれる。

弥生が狙う先は化け物の「眼」だった。


「ア゛ジャアァァァァァァァァ!!!!!!!!」


片目を撃ち抜かれた化け物はのたうち回った。

血だまりの上で、まるで水遊びをする子供のように暴れ回った。

「どうやら、眼までは頑丈じゃないみたいだね……!」


「ウッシャァァァァァァッ…………!!!!!!」

痛みが落ち着いたのか、化け物は目から血を流しながら残った方の目で弥生を睨んだ。


パーン___ッ!!!!!!


「命中……かな?」

弥生は的確にもう片方の目も撃ち抜いた。

「化け物の体が……崩れていく……!」

俺達は化け物が消えるのを最後まで見届けた。


「さて……再化結晶を破壊して帰りますかぁ」

弥生は銃をしまうと大きく伸びをした。そして再化結晶に近づくと通信機を取り、誰かに連絡した。

「俺が壊そうか?」

「あーダメダメ。他の隊員たちに連絡しないでやると山が崩壊して怪我人が大勢出ちゃうから」

「侵食されていた部分が崩壊する……なら誰がどうやってコレを破壊するんだ?」

「もちろん私達だよ。今ヘリを呼んだから、誰かがロープにでも掴まって破壊するの。再化されると面倒だから早めに済ませるけど」


それから間もなくしてヘリの近づく音が聞こえてきた。

ロープがヴァリァスに触れないように慎重にヘリに乗り込んだ。

「私がここから撃つよ」

弥生が開いたドアから撃つと、水に入れた固形入浴剤のように山肌が蒸発し始めた。

「……何がともあれ、無事に攻略できてよかったな」

「今回は少し被害が大きかったな。もう少し救えた命があっただろうに」

弥生は両腕を脱力して目を閉じた。

そしてすぐ眠り、鼻ちょうちんを作った。


「眠すぎる……」

俺は消えていく山を眺めながら呟いた。

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