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侵食世界「ヴァリァス」  作者: 弱十七
第二章 「四色の瞳」
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第五十四話 「水平投射」

「さあ……覚悟はいいか⁉」

若い隊員の死体を蹴とばすと、玲はじりじりと詰め寄ってきた。

「っ……」

「フン、我が力の前に骨をうずめるがいい!」

玲の右ストレートが俺に向かう。それを避けると玲の拳は山肌に激突し、大地震が起きたかのように地面が震えた。

殴られたところの土は消し飛び、生えていた木の根が露わになった。


(なんてパワーだ……ッ!直撃したら確実に即死、そうでなくとも重傷は免れない……)


なんとしてでも攻撃を食らうわけにはいかない。

必ず拳のリーチが届かないくらいの距離は置いて戦わないと人生が終わる。

「わしの右手一本相手に成す術も無いのかッ!」

止血された左腕の包帯は血で赤く染まり、玲自身もかなり苦しそうに見える。

だからといって時間をかけていては俺も相当消耗してしまう。


「やはり……お前はこの場で始末するッ!」

俺は回避から反撃に転じた。

加速を使用して拳を躱しつつ、玲の懐に入り込む。

「なッ⁉」

玲は一瞬の出来事に目を見開いた。

しかし、加速中の姜椰には玲の漏らした声は聞こえなかった。


(取ったッ!!!)


「ぐあぁぁぁぁぁッ!!!!!!!!」

俺の斬撃が玲の右目と胸を大きく切り裂く。

途端に大量に血が噴き出し、玲は崩れ落ちた。

「まだ……やるか?」

「はぁ……はぁ……」

そよ風が拭いた。わずかにかいた汗が乾くと同時に体に籠った熱が外に出ていった。

「まだだ……!わしはこんなところで終わらない……!」


(すでに赤月の機械で左半身が焼け、右目もたった今俺が潰した。つまり視界は遮られている。そしてそれだけの重傷を負っていながら、どうしてコイツはまだ立っていられるんだッ……⁉)


玲は苦しそうに立ち上がると、瞑った両目をこちらに向かせた。

「勝負とは……限界を迎えてから始まるものだッ!」

その瞬間、空間が歪んで見えた。


「ガハッ……!」

玲の右足が俺の脇腹に当たり、体に変な音が響き渡った。

吐いた血と俺の残像だけがその場に取り残され、衝撃音とともに俺は遠くまで吹っ飛ばされた。


(反射的に加速を使用したのにこれほどのパワーだとは……!)


俺は水平投射のように放物線を描きながら落ちていく。

落ちていく最中、耳を撫でる冷たい風がビュオーという音を奏でる。

「くっ……」

俺は痛みをこらえながら体を翻し、近づいてくる地面に顔を向けた。


(ちょうど真下に木々が生えているとは……不幸中の幸いと言ったところか……)


そのまま木々の枝を折りながら、ドサッと着地した。

「あぁ……」

口から血が垂れた。

体をほんの少し動かすだけで脇腹から全身にかけて激痛が走った。

「せめて……誰か応援を呼ばなくては……」

するとセイエイが口を開いた。

「敵が来たら僕に任せろ!」

「戦わなくていい……少なくとも今は……!」

俺はイモムシにも劣るほどの速さで体を引き摺った。

「……まずいぞ。何かがすごい速さで近づいてくる……」

「俺の足元に結晶を利用して穴を掘れないか……?」

「シェルターみたいな感じか?」

「そうだ。最低でも五メートルはあると助かる」

するとセイエイはすぐに作業を始め、瞬く間にシェルターが出来上がった。

「ふう……入るぞ」

「え⁉そんなことしても生き埋めにされて終わりだぞ!」

俺はゆっくりと穴の中に入った。

「静かに。次に穴を結晶で塞いで、できればその上を土で覆ってくれないか?」

「な……何考えてるんだ……」

地上では結晶が器用に穴を塞ぎ、適当に土を被せた。


ドォーーーーン!!!!!!!!


「アイツ(玲)が追ってきたようだな……」

俺とセイエイは死人のように息を潜めた。


一方地上では玲が傷を押さえながら姜椰の落下地点まで来ていた。

「ここら辺に落ちたはずだが……」

失明している玲は自分の勘と敵の気配を察するほか無かった。

周囲を足で探っていると一箇所だけ音が反響していることに気がついた。

「これは……あの小僧が作った避難所か……!」

早速破壊しようと足を上げた玲だったが、ピタリと動きを止めた。

「……この短時間で掘削機も持っていない人間が、こんなものを掘れるはずが無い。つまりこれは陽動か……何らかの罠か……?」

すると玲はすぐに奥に向かって走り去っていった。


「……行ったか」

姜椰はひょっこりと頭を出した。

「流石に危なすぎるぞ!僕ごと生き埋めにされたらどう責任を取るつもりだったんだ!」

「アイツは考えすぎた。ここに俺がいないことを念入りに確認してから、次の場所へ向かっても特に問題は無かったはず。それなのに功を焦って本命を逃してしまった……」

「本末転倒ってことか」

「はぁ……全ては俺の計算通りだったな」

「何言ってるんだ。どうせ後出しだろ、さっき電撃剣を抱きしめてぶるぶる震えてたの知ってるぞ」

「なんのことやら……」

俺は穴から出て如月さんの方へ向かった。

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