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第五十二話 「パラサイト・アーミー」

神村姜椰

ランク:B

適性:「加速」


能力の発動中は周囲の時間経過が遅くなる。遅くなった時間の中では自分だけ通常の速さで動くことができる。理由は不明だが、ある程度の高所までは飛び降りても無傷でいられる。

デメリットして、加速倍率を極度まで上げたり、長時間使用していると体の麻痺などの反動を食らう。

また、発動中は仲間に声が届けられない。


「この力は孤独の証。だが俺は平気だ。孤独が日常だった今までに比べれば、思うことは何も無い」

「はぁ……はぁ……」

赤月は立ち上がって周囲を見ると、爆心地を中心にやや大きめのクレーターができていた。

「赤月、敵は倒せたか……?」

「それが……爆破したせいで、敵の死体が残らないほど損傷してしまったかもしれないです……」

「他の隊員に周囲を警戒するように伝えてくれ。その間に俺達はヤツの死体、或いは吹き飛んだ体の部位を捜そう」

早速俺たちは捜査を開始した。


(もうすぐ日も暮れる。そうすれば残骸の捜索も困難になり、そもそも触れたら一巻の終わりであるヴァリァスに侵食された山道を暗い夜に移動するのは危険だ……無いなら無いで早めに切り上げよう)


「そっちは見つかったか?」

「ここら一帯を見て回りましたが……」

赤月は残念そうに首を横に振った。

「……まあいいか。とりあえず敵は消えたんだ。俺達も如月さんの方へ向かおう」

「了解です!」


それから慎重に山道を進んでいくと別動隊が歩いていた。

「あれは……他の隊か」

俺達は情報を共有したいと思い、近づこうとすると全員が同時にこちらを振り返った。

しかも全員とも首が明らかに曲がってはいけない角度まで曲がっていた。


(なんか様子がおかしいな……)


「俺が様子を見に行ってくる。大丈夫であれば合図を送るからこっちに来てくれ」

姜椰はいつでも戦えるように剣に手を掛けた状態で隊員に近づく。

「ナニ……シニキタ?」


俺はすぐさま下がった。

「……やられたな」

よく見ると隊員の目つきが不自然で、額からは怪しげな角が生えていた。


(間違いない。コイツらは何かに寄生されてる……!)


「ココハ……キケンダ。イマスグ、オウエンヲ……!」

乗っ取られたはずの隊員の意識から必死の叫びが聞こえてくる。


彼らの後ろから別の隊員がやってきた。

「こんなところにいたのか。……って、どうしたんだよ!おい!」

若い隊員は目の前で様子のおかしい隊員と剣を構えている俺を交互に見た。


そしてゆっくりとこっちに来ると親指で彼らを指して言った。

「何が起きてるんだ……?」

「おそらく化け物に寄生されてます。まだ少しだけ自我が残っているようですが、体を乗っ取られているます」

「部隊とはぐれて誰かと合流できないかと歩いてたらこれかよ……」


ボヤく隊員をよそに、俺は赤月たちへ合図を送る。すると赤月だけ落ち着いた様子でやって来た。

「すまない。ここは俺がどうにかするから先に如月さんの方へ行ってくれ」

「え?でも場所が……」

「あそこに煙が出ている。彼女はあそこに向かったはずだ」

「わ……わかりました。神村さんも終わったら来てくださいよ」

「すぐ行く」

一時の別れを告げると赤月たちは如月さんの方へ走り去った。


残された二人は武器を構えて寄生隊員に立ち向かう。

「まさか旧友と戦うことになるとはな。そうだお前、俺と勝負しないか」

「何をですか?」

「倒した敵の数だ。コイツらを多く倒せた方の勝ち……どうだ?」

「ただ勝負するだけなら」

「勝負成立だな。よし行くぞッ!」

若い隊員はセリフを言い切る前に敵に斬りかかった。


「いきなりフライングですか……」

姜椰は若い隊員に続き、寄生隊員との戦いに混ざった。


「コロス……!!ニンゲン、コロス____ッ!!」

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