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第三十七話 「真夏を凌駕する恋の熱さ」

「ここが学校か……」

校門をくぐると校舎の様子を見たセイエイがボソッと呟いた。

「あまり喋るなって言ってるだろ……」

「研究所みたいな感じかと思ったら意外と現代感ある建物じゃないか」

「はぁ……当たり前だろうが」


俺はいつも通りに教室の扉を開ける。

クラスの数人が一瞬だけ俺を見ると、すぐに自分たちの会話に戻った。


「おはよ」

自分の席に行くと、申奏が笑顔で挨拶してくれた。

「ああ、おはよう」


俺がスマホを見ていると、教室のドアが開いた。

「神村、ちょっといいか」


(担任……?俺に何の用だ?)


俺はおもむろに席を立ち、廊下に出た。

「どうかしましたか」

「お前、放課後時間あるか?」

「まあ……はい。あります」


その時、校内に朝のホームルームを始めるチャイムが鳴った。

「あぁ……一時間目なんだっけ」

俺は頭をかいて教室に戻った。


俺は普段なら授業が始まってすぐに眠りにつくのだが怪我の名残のせいで、座ったまま頭を寝かせると頭が痛くなるため、仕方なく起きていた。

「珍しいね、今日は寝ないの?」

先生が説明している中、申奏がこちらを見て言った。


俺は右手で頭を優しく押さえた。

「傷がまだ痛むんだ」

「十番隊は大変だね……姜椰もソロになればいいのに」

「一人で解決できるほどの実力がないからな……」

「あ……英訳のとこ見逃しちゃった」

申奏は慌てて板書を写していた。


「はい、それじゃ席くっつけて。で……隣の人と教科書の英文を丸読みしてください」

四十超えた女の先生が教室全体にそう指示を出した。

「教科書の六十七ページね」

「さんきゅ……」

俺と申奏は教科書を見ながら英文を読み合った。


「ふぅ……一時間目なのに疲れたね……」

「夏休みが短すぎる。もう少し長ければ十分に休めたにな……」

ぼんやりと教科書を見ていると、急に左肩に何かの重さが加わった。

「ん……?」


「……」

申奏が俺の肩で寝ている。彼女の束ねられた髪からほんのりと甘い香りが漂ってくる。

「普通に机で寝ればいいのに……」


数分後、二人は互いに体を預けて爆睡していた。

「じゃあ、今日は八月十五日なので引くと……七番の人かな……臣桜さんかな?」

申奏に白羽の矢が立つが、返事は返ってこなかった。


当然、俺たちは寝ているので誰かが起こしてくれるなんてことは無い。

「先生、臣桜さんはあそこです」

一人の生徒が指さした先では、申奏と俺が仲良く寝ていた。


すると他の生徒たちも振り返り、その光景を見てニヤけていた。

「あの二人、仲良さそうだね」

「申奏ちゃんって寝顔もかわいいね……!」

席が近い女子たちは口々にそう言った。


「神村って寝るんだな」

「アイツも生き物ってことだよ」

男子たちも言いたい放題だった。


先生は何を思ったのか、申奏を起こさなかった。

「青春ねぇ……それじゃ違う人にしようかしら。八と十五足して……二十三番の佐宮さんかな?」

その名を聞いた時、皆は静まり返った。


「佐宮は……死にましたよ」

シャーペンを握りながら相田がそう言った。教室内には「ああ、ついに言っちゃったよ……」みたいな重々しい雰囲気が漂っていた。

「そ、そうなの……それじゃ、また違う人に……」

先生は気まずそうに指名する人を切り替えた。


そうしているうちに授業が終わった__。

「ん……へ⁉」

申奏が目覚めた時、姜椰の頭が自分の頭に乗っかっていることに気づいた。

とっくに授業は終わり、皆が次の授業の準備をしながら談笑していた。

「ちょっ……起きてぇ!」

頭を外すと、姜椰の頭が太ももの上に乗っかってしまった。

「なんでそうなるの⁉」


「……あ?」

姜椰は太ももに乗っかった衝撃で目覚めたようだ。彼が頭を上げると、机の角に頭をぶつけた。

「いてっ……は⁉」

姜椰も自分が今どこにいるのか理解したようだ。


「早くどいて……!」

申奏は顔を真っ赤にして姜椰に言った。

「俺……ええ……⁉」

姜椰は寝ぼけながらも起き上がった。


「……すまなかった。いつの間にか寝てたみたいだ」

状況を理解したのか、姜椰は頭を下げた。

「あなたじゃなかったら発砲してたとこだからね……!」

申奏はそっぽ向いた。しかし彼女がロッカーに行った時に見えた横顔は満更でもなさそうだった。


そのとき、教室の後ろの扉のところに一連の様子を見ていた女がいた。

「やっぱり気に入らないわ。あの男……!」

彼女は教室の外から、授業の準備もしない姜椰をじっと見つめていた。


そして放課後、先生に呼び出され、事を終えた。

「電車の時間は……」


「ちょっと!」

スマホを見ながら誰もいない廊下を歩いていると、誰かが俺を呼び止めた。顔を上げると、青い髪の少女が立っている。


「危ないから歩きスマホはやめてくれる?」

お嬢様みたいな口調で彼女は俺を強く指さしている。突き付けられたその指は先端恐怖症の人間を気絶させられるほどビシッと俺に向けられていた。


(どこかで見たような……)


「誰だこの女」

「⁉」

セイエイが少女にも聞こえるくらいの声量で喋った。


「何か言った?文句があるならハッキリ言ってくれるかしら」

彼女はさらに顔をしかめて言った。


俺は素直にスマホをポケットにしまった。

「フンッ、次は無いわよ」

彼女は指を下ろし、腕を組んだ。


姜椰は壁に寄りかかってスマホを触り始めた。

「何してるの、早く行きなさいよ」

「歩きスマホはしてないだろ」

スマホの画面を操作しながら答えると、彼女は悔しそうに唇を嚙み締めた。


(感じ悪い女だな……コイツに時間取られたせいで丁度いい時間になったし、駅に向かうか)


俺はため息をつくと、彼女の横を通って昇降口の方に向かった。

「なんなのアイツ!あたしを見ても感動のカの字も無いなんて……!」

彼女はさらに機嫌を悪くしてその場を去った。


しかし姜椰は知らない。彼女がSランク三番隊隊長__月海津波であることを。

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