第二百十話 「天才的ヒラメキ」
今川達が戦闘音のする方向へ歩いていると、前から血だらけの隊員が猛スピードで吹っ飛んできた。
「え……?」
自分達を通り越したところでようやく止まった。ピクリとも動かない隊員に姜椰と他の隊員が駆け寄る。
「大丈夫ですか?」
「……」
返答が無かったため、姜椰は彼を仰向けに寝かせた。
「……脈が止まってます。心臓もです」
姜椰がそう言うと、他の隊員は悲しそうな顔をした。今川は如月に自分の隊を任せて一足先に向かった。
「晴斗が向かったから、私達はここで待機だって」
如月は全員にそう通達し、全員が返事した。しかし姜椰は亡くなった隊員の隊服についてある金色のバッジに目をつけた。
「三番隊のバッジ……⁉」
「どうかしたの?」
如月が姜椰の隣にしゃがんだ。
「如月さん、これ……」
姜椰が三番隊のバッジを指さすと、如月はすぐに立ち上がった。
「月海がやられないといいけど……さっきの音を聞く限り、向こうも苦戦してそうね」
◇
一方、月海は味方にも指示して時迷に攻撃していく。
「フッ!!!」
「あら、手加減してるのですか?」
時迷は月海の速さにも慣れてきていた。それより遅い他の隊員の相手など造作もなかった。
「セアッ!!」
「はうっ……!」
後ろから別の隊員が襲い掛かり、背中に切り傷を負わせた。
「……ッ!!」
その瞬間、月海は誰よりも早くある動作を行った。
カコン___ザシュッ!!!
「ぁ……⁉」
時迷の腹を月海の電撃剣が貫いていた。
「こんな偶然……!」
カコン___。
「これで……!」
「抜けてないじゃない。何助かった気になってるのかしら」
月海が腰に手を当てながら時迷を見つめる。
「なんで……どうやって……私に剣を……!」
「さっきの攻撃の時、地面に刺しておいたのよ。次の能力発動の時に一撃与えるために!」
時迷は砂時計のクールタイムによって能力の発動ができなくなっていた。
「そしてアタシの剣は当然無生物。時間を戻しても剣が抜けることは無いわよ」
「おかしい……この私が、自分の力に殺されるなんて……!」
月海が地面に突き刺した剣を引き抜き、時迷に近づいていく。
「自分への理解が足りないからよ」
「くっ……!」
スパァン___!!!
時迷の首が地面に転がる。同時に月海が時迷の腹に刺さっていた剣を引き抜いた。
「厄介な能力だわ。想決とやり合う前に倒せてよかったわ」
「大丈夫か?」
「……今川じゃない。たった今終わったところよ」
月海は乱れた髪を手櫛で整えた。
「怪我は?」
「アタシは無いわ。みんなはある?」
月海が確認すると、部下達は首を振った。
「なんで単独行動してるのかしら」
「こっちで戦闘の音がしたからね。僕だけ先に来たんだ」
すると月海は「フン……」と息を漏らした。
「よかったわ。全滅したわけじゃないようね」
今川と月海が話していると、後ろから如月と姜椰が追いついてきた。
「やっぱり三番隊だったのか」
「あら、生きてたのね。今川だけ先に来たから死んだものかと思ってたわ」
「お前よりは長生きしてやるよ」
姜椰が言い返すと、月海は優しく微笑んだ。
ドォォォォォン___。
突然かなり遠いところから轟音が聞こえてきた。
「どうしようかしら……アタシもう少し戦いたいから応援に行くわ」
月海は近くにあった仲間の死体を道路の端に寝かせると、部下を連れて轟音がした方向へ向かった。
するとポツポツと地面が濡れ始めた。
「……雨降ってきましたね」
「みんな滑らないように気をつけてくれ!」
(早く想決を倒さなくては……本格的に犠牲が出る前に……!)
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