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第二百七話 「黒い雨が降りしきる夜に」

空間が捻じ曲がると、神楽坂はバタリと倒れてしまった。

想決が発動していた操作式も全て終了し、周囲は破壊痕だらけになった。


「終わったかな」

不敵な笑みを浮かべながら神楽坂に近寄るも、すぐにその違和感に気づいた。

「……!」


神楽坂の体は一切損壊しておらず、あろうことか出血すらしていなかった。普通に立ち上がる神楽坂を見て、想決は混乱した。

「なんで……⁉人間の体じゃ、『空間捻転』に当たれば即死なのに……!!」

「ああ、確かに私は”攻撃自体”は当たったはずだ。だが……その効果は無効化させてもらった」

「無効化……⁉どうやって……」

想決は怪しく光る神楽坂の鎌に目を付けた。そして彼の中で合点がいったのか、途端に鼻で笑った。


「それか……その鎌か!前々から変わった鎌だと思ってたんだけど……それ現代の武器じゃないね。君の『適性』によって生み出されたものだ。合ってる?」

「さあな。お前に答える義理は無い」

神楽坂は想決へ距離を詰めると、下から地面を抉るような軌道で鎌を振るった。


「よっと」

想決は鎌の刃の上に乗ると、そのまま上空に飛び上がった。


操作式:『天墜(てんつい)』___!!!


夜空から大量の黒棒を降る。たちまち地面を串刺しにしていくが、神楽坂は鎌で正確に弾いた。

すると想決が神楽坂に弾かれた黒棒を見つめながら言った。

「そういうことだったのか……!」


想決は急降下しながら神楽坂へと襲い掛かった。

「はぁぁぁぁ!!!!!」

全力の一撃を鎌で受け止める。

「ッ……!」

「ヌアッ!!!!」

想決の圧倒的パワーに押し負けた神楽坂は態勢を整えた。


「人間なんて、遠くから攻撃されたら何もできないんだよ!!!!」

神楽坂の鎌の謎に気づいた想決は、極度の興奮状態により頭のネジが外れていた。

「ああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

想決はこれでもかという量の黒棒を生成し、絶頂にも近いような叫び声を上げながら全速力で発射した。


「物量で押し切る気か」

神楽坂はとてつもない量の黒棒を弾きながら高速で移動し始める。


「ハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!!」

想決の叫び声が響く中、神楽坂は攻撃を躱しつつ、射線を切るために建物の間を掻い潜っていく。


「やはり私一人では無理だったか……」

ようやく想決からの追撃が止み、神楽坂は一息ついた。勝機が全くと言っていいほど見えなかった死闘を中断し、今初めて想決の戦闘能力の高さに気づけた。

「……まずは今川あたりと合流し」


ボゴォーーーーーーーン!!!!!!!!!!


一瞬街灯が何かによって遮られた直後、黒棒が神楽坂の体を貫いた。

黒棒は広範囲で彼を捉え、そして絶対に避けられないように超高速超硬度になっていた。


遠くで舞い上がった粉塵を見ると、想決はニヤリと笑った。

「まずは一人……君さえいなければ安心だよ」


その場を去ろうとすると、雨が降り始めた。想決はヴァリァスで使って簡易的な傘を作って雨を凌いだ。


一方、神楽坂は黒棒に押し潰されるようにして倒れていた。

やがて黒棒が霧のように消え去ると、神楽坂の鎌も霧のように消えていった。

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