第百三十二話 「訃朗」
時は少し戻る___。
部下がある部屋の前までやってきた。
「想決様、報告に参りました」
「入って」
部下は静かに部屋の中へと入り、深々と頭を下げた。
「何の報告?僕が喜ぶようなもの?」
「いえ、あまり聞き心地はよろしくないかと」
「早く言って。どうせいつもみたいなものじゃないの?」
「では……昨夜、鹿張様が亡くなられました」
想決はピタリと動きが止まった。
「誰に……殺されたんだ?」
「おそらく神村姜椰というAランクの隊員と思われます」
「くっ……!!!!」
想決がシッシッと手を払う。
すると部下は無言で部屋を後にした。
「なんなんだアイツは……ッ⁉なんで鹿張が訓練もろくにしていないそこらの一般隊員にやられたんだ……!僕の駒が無くなってしまっては、隠蔽工作も何もできない……何よりあの計画の生贄が……!」
彼はしばらく悩んだ末、悪魔の思考に辿り着いた。
「そうだ……越津道彦がいるんだし……」
◇(現在___)
先程、姜椰の元に次の配属先が送られてきた。
「どこになったんだ?」
「封を開けるからそこをどけ」
封筒の上に乗っかるセイエイを持ち上げ、封を開けた。
「Sランク五番隊……おお、なかなかいいな」
「今川晴斗……あの弓使いか」
「俺は非常に嬉しい。これなら如月さんも誘えるかもしれないし」
姜椰はスマホを手に取り、履歴をスクロールし始めた。
「如月さん…如月さん……あ、あった。出てくれるといいんだが……」
五コールほど経った後、ようやく繋がった。
「あ、如月さん。今お時間いいですか?」
「いいよ。どうかしたの」
「俺、次の配属先が決まったんです。それで、もしよければ如月さんも一緒にと……」
彼女は何も言わず、そのまま三秒ほど時間が流れた。
「誰と組んだの?私が知ってる人でしょ?」
(俺が今川さんのところになったこと、もう知ってるのか……?)
「えっと……今川さんのところです……」
「ああ、よかった。じゃ、これからよろしく」
ピロン、と電話を切られた。
「如月に電話したのか。どうだった?」
セイエイが俺の顔を見て聞く。
「なんというか……すでに如月さんと今川さんが組んでるような言い方だった気がする」
「僕もカラスの友達から聞いたぞ。あの二人が最近仲がいいって」
「二十五と二十歳……意外とお似合いなんじゃないか。まあそこに置かれる俺としては気まずい限りなんだけどな」
「適当に仲良くやればいい。これから『互』の重要人物と戦うことになるかもしれないんだから余計な事は考えるなよ」
(相田智影……相田想決……越津道彦。いくら今川さん達がいるとはいえ、あの鹿張よりも強いやつを相手するのは心配だ)
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