第十二話 「雨の中でも花火を上げたい」
臣桜申奏
ランク:S
適性 :「精密」
破壊力 :E
スピード:D
精密性 :S
持続力 :D
即死性 :A
成長性 :A
銃の天才。撃った球は絶対に当たる。外したことは人生に一度もない。しかし本人は射撃の技術以外は何も無いので素の戦闘力は皆無。
その鳴き声が聞こえた瞬間、俺の周囲だけ暗くなった。
「……上か!」
俺は影の部分から逃げた。きっとそこが化け物の着地地点になり、そこから距離を取れば攻撃も食らわずに済むと考えたからだ。雨が止んできたおかげで視界もだいぶ良くなってきた。
そして俺は今、化け物を目の前にして右手に剣、左手に信号機の支柱を握っている。
一体何が起こったのかというと___。
ーーーーーーーーーー
俺 「とりあえず影から離れよう。そうすれば化け物から……」
化け物「腕伸ばせば攻撃当たるやん」
俺 :剣で防ぐが、衝撃で宙に飛ばされる。
俺 :受け身を取るために信号機を掴む。
信号機「無理。折れる。ポキッ」
ーーーーーーーーーー
今に至るというわけだ。信号機を無理して掴んだせいで手が赤くヒリヒリといっていたが無視して戦闘を開始した。さっきの二体が融合した形態……おそらく、これを倒せば本当に勝負がつく。
「キィィィィィィィ!」
(『加速』を使ってないにせよ、さっきとは段違いの威力と速度だ。Sランク隊員でさえ苦戦を強いられたわけだからコイツは俺より格上の存在……な油断はできない)
「だが、加速倍率を上げてしまえばいくらでも見切れ、て……」
(まずい、能力の連発で……)
剣が手から落ちる。化け物はそこを逃さんとばかりに攻撃を繰り出した。もう一度、気合で発動できたりしないだろうか。
「……」
ドォォォン!!!!!!!!!
その頃、応援で到着した彼らは申奏と事のいきさつを話していた。
「それで、Dランクの隊員が戦っているんですか?」
「そう……私を、ここまで連れて来たのも彼だから……」
申奏は化け物が振り下ろした足を見つめていた。彼女は彼が潰されたのを見て自分のせいでまた誰かに迷惑をかけてしまったことに心が痛んだ。
しかし彼女は化け物の背後に姜椰の姿があるのが見えた。
「よかった……まだ生きてる!」
俺は剣を片手に化け物の背後に回っていた。
「実際にやってみて成功するとは思ってなかったな」
「キィィィィ……!」
化け物が俺の声を聞いて振り返る。そして再びその素早い足を何度も振り回した。
「おい、ヤバいぞ!化け物の速さが上がってる!」
「いや……違う!化け物の攻撃は何一つして当たってない!!アイツが殴っているのは彼の残像だ!!」
応援に来た隊員たちもBランクのフィールドボスと姜椰との戦いを見守る。
「その動き、今川さんに比べればカタツムリ同然だ」
「キィィィィーーーーッ!!!」
ドォンドォンドォンドォンドォォォォォン!!!!!!!!!!!!!!
地面がバッキバキになるくらい強烈な一撃が繰り出されるが、何一つとして俺には当たらない。
「『加速』を攻撃を避ける一瞬だけ能力を使えば体への負担は減らせる。そして倍率も上げられる」
「周りに何か無いか……?」
化け物を視界から外さないように周囲に目を向けると、あるものが目に留まった。
「あ、いいのがあるじゃないか」
「ほら、かかってこい」
「……キィィィィィィィィィィィィ!!!!!」
化け物は自分が挑発されたとわかったのか、聞いたことないほどの高音で鳴いて突撃してくる。俺が避けると化け物は後ろに駐車されていたトラックに激突した。
「今お前が突っ込んだところ……何かわかるか?そう、ガスボンベが積まれたトラックだッ!」
俺は化け物がトラックとぶつかる寸前、剣でガスボンベを切り、着火するように仕向けておいた。
「派手に散れ。じゃあな」
「キィィィ……!!!」
ドゴォォォォン!!!!!!!!!!!!!
化け物は爆発して四散し、それらも燃え尽きて灰になった。そして二度と再生することはなかった。
「さて……任務終了っと」
俺は水溜まりに反射する太陽光を隠しながら家に帰った。
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