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侵食世界「ヴァリァス」  作者: 弱十七
第一章 「枝分かれする運命」
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第十二話 「雨で冷えたから暖を取りたかった」

その鳴き声が聞こえた瞬間、俺の周囲だけ暗くなった。

(確かに化け物は倒した。だがヴァリァスは依然として消滅していない。ってことは……)


敵はまだ死んでない!


「……上か!」

俺は影の部分から逃げた。きっとそこが化け物の着地地点になり、そこから距離を取れば攻撃も食らわずに済むと考えたからだ。雨が止んできたおかげで視界もだいぶ良くなってきた。


そして俺は今、化け物を目の前にして右手に剣、左手に信号機の支柱を握っている。

一体何が起こったのかというと、

ーーーーーーーーーーーーー

俺  「とりあえず影から離れよう。そうすれば化け物から……」

化け物「腕伸ばせば攻撃が当たるやん」

俺  :剣で防いだものの、衝撃で地面に叩きつけられそうになる。

俺  :受け身を取るために信号機を掴む。

信号機「無理。折れる。ポキッ」

ーーーーーーーーーーーーー

今に至るというわけだ。信号機を無理して掴んだせいで手が赤くヒリヒリといっていたが無視して戦闘を開始した。さっきの二体が融合した形態……おそらく、これを倒せば本当に勝負がつく。

「キィィィィィィィ!」

(速い。「加速」を使ってないにせよ、さっきとは段違いの威力と速度だ。Sランク隊員で苦戦を強いられたわけだからコイツは俺より格上の存在だ、油断はできない)

「だが、加速倍率を上げてしまえばいくらでも見切れ、て……」


(まずい、能力の連発で……)

剣が手から落ち、水溜まりにぶつかる。化け物はそこを逃さんとばかりに攻撃を繰り出した。

もう一度、気合で発動できたりしないだろうか。

「……」

化け物の足が俺に振り下ろされた。俺の姿は消えて失くなり、民衆は心の中で絶望の声をあげていた。


その頃、応援が到着した彼らは申奏と事のいきさつを話していた。

「それで、Dランクの隊員が戦っているんですか?」

「そう……私を、ここまで連れて来たのも彼だから……」

「お怪我の方は?」

「私は大丈夫。ただ……彼が今、ゲホッ……」

申奏は化け物が振り下ろした足を見つめていた。彼女は彼が潰されたのを見て自分のせいでまた誰かに迷惑をかけてしまったことに心が痛んだ。

しかし彼女は化け物の背後に姜椰の姿があるのが見えた。

「よかった……まだ生きてる……!」


「実際にやってみて成功するとは思ってなかったが、コツさえ掴めば最強の能力だ」

「キィィィィ……」

「どうだ?踏んだはずの敵が後ろにいたとわかった気持ちは」


化け物が俺の声を聞いて振り返る。そして再びその素早い足を何度も振り回した。

しかし何一つとして俺に掠ることはなかった。周囲の人々は化け物と俺が残像を残しながら戦っているのを見て呆然としていた。

応援に来た隊員たちもBランクのフィールドボスと姜椰との戦いを見守っていた。


「その動き、今川さんに比べればカタツムリ同然だ」

「キィーーーーーー!!!!」

(でも、どうやって倒そうか。極限下で回避してるせいで倍率を上げたままでは攻撃する時間ほどの長さを持続できない……)

俺が今やっていることは「加速」の倍率をやや高めにして敵の攻撃を避ける瞬間だけ能力を発動させることで体への負担を減らしている。こうすれば無駄な時間は発動しなくていいし、敵の攻撃も見切りやすい。だとしても何か打開策を練らないと……。


(「部隊に入ってるなら周りの状況ぐらい把握しておかないと命に関わるよ?」)

不意に彼女の声が響いてきた。思えば、どうして俺が部隊に入ってるとわかったんだろうか。

そんなことは後で聞けばいい。今はとりあえず状況を確認しないと。


「周りか……」

化け物を視界から外さないように周囲に目を向けると、あるものが目に留まった。

(ふん、いいのがあるじゃないか)


「ほら、かかってこいよ」

「……キィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

化け物は自分が挑発されたとわかったのか、聞いたことないほどの高音で鳴いて突っ込んだ。

それが俺の手のひらで踊るという行為であるとも知らずに。

ヤツは俺の思惑通り、後ろの方に駐車されていたトラックに激突し、トラックの荷台が大破した。


そう、ガスボンベが積まれているトラックに。


俺は化け物がトラックとぶつかる寸前、電撃剣でガスボンベの一部を切り、着火させるように仕向けたのだ。

するとガスボンベに無事、引火したのか化け物はたちまち火だるまになった。しかしヤツはごく僅かに降っている雨で火を収めようとしたのだ。雨が降っている中、火で倒そうとしたのは完全に俺の誤算だった。化け物はトラックの上に立ち、降っている雨を体を広げて浴びていた。徐々にその炎は消えていく。


俺は大破したトラックを見つめて、静かに剣を抜いた。もちろん、電圧を最大にして。

「体をそこまで大っぴらにするとは……殺してくれと言ってるようなものだ!」


そして剝き出しになった石油タンクに電撃剣を投げた。

「軽トラは、石油タンクが右側の後輪に備え付けてある。つまり、そこに電気を流せば!」

トラックは大爆発を起こして、再び化け物は火だるまになった。


「お前も、周りを見ないと命に関わるぞ。ああ、もう聞こえないのか」

化け物は燃え尽きて灰になった。そして二度と再生することはなかった。

(さて……オーバーブレイクしたから地面が抉られることは無かったが、トラックが丸焼けになってしまったな)


大人なら弁償するなり、なんなりとできるが俺は高校生だからそんな大金は無い。おまけにガス代もあるし。生活費に給料の大半を持っていかれて、娯楽に金を使う(←???)せいで一文無しだしな……。


(とりあえず、報告だけしておくか)

俺はインカムに話しかけた。

「こちら神村。Bランクヴァリァス、攻略完了しました」

【そうか、それで状況は?】

「はい、トラック一台が廃車になりました」

【わかった。現場は他の者に任せる。ご苦労だった】


俺は水溜まりに反射する太陽光を隠しながら家に帰った。そしてやけに軽い鞘を手に取り、さっきトラックを爆破させた時に電撃剣もぶっ壊してしまったことに気づいた。

(明日にでも申告すればいいか。どうせ功績の都合で五月までは任務が来ないだろうし)



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