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第百二十四話 「互の手掛かり」

後日の取り調べでわかったことがいくつかあったそうだ。

俺が関係者から聞かされたものをまとめたい。


まず一つ目がもう一人の幹部だ。

鹿張に殺された刺客が言いかけていた「エツヅ??」とかいう人物の名前が判明した。


越津道彦(えつづみちひこ)__現存する『互』の最後の幹部。


『互』には相田智影派と相田想決派という派閥にわかれているらしく、この二つの勢力が協力して様々な悪事をはたらいているらしいのだ。

両者は目標こそ違えど、特殊部隊に恨みがあるのは同じなため特に仲違いが起きることは無いようだ。


俺が倒した鹿張は相田想決の右腕、対してこの越津という人物は相田智影の右腕らしい。

そこで拘束された部下はこう言ったらしい。「無能には無能しか付かず、有能は同じ者同士つるむ」と。


そこに隠された意味は「相田想決には鹿張が。その鹿張には自分がついている。ほら見てみろ、無能には無能しかついていないだろ?逆に相田智影派にいる越津道彦は……」だ。


 ◇


二つ目は相田智影の目的だ。


これは総隊長でさえ把握してなかった最大の謎だ。

それも取り調べでやんわりと、その輪郭だけは見えてきた。


それは「ヴァリァスの力を支配して世界をも支配すること」だと言うのだ。


まず前提知識として『互』のメンバーは全員人じゃない。厳密に言えば、だが。

というのも、連中はバックにいる組織に依頼して肉体改造をしたがゆえに、ヴァリァスに対して極めて高い適性を持ちそれを駆使した戦いができるようになったとのこと。


そして肉体改造した者の中の一部が、鹿張のように『能力』に目覚める。

だから能力を使えるのは『互』のメンバーのごく一部だけ。他は一般の隊員となんら変わらないらしい。


しかし能力に目覚めた者は再生能力や身体能力、体の突然変異などを起こす。

鹿張に生えていた角もおそらくこれの一環だろう。


話を戻すと、相田智影は特殊部隊を完全に滅ぼした後、自分の能力を使って対抗策が無くなった世界を征服するというものらしい。


 ◇


三つ目、それは相田想決の目的。


そもそも相田想決はついこの間まで生身の人間だった。

それがなぜ急に向こう側に寝返ったのか。

聞いた時は少し驚いたが、それは字面だけ見れば素晴らしいものだった。


「ヴァリァスで誰も死なない世界をつくりたい」


これは取り調べを受けた部下が、想決本人から聞いたらしい。

組織に入ってわずかな彼が『二つ目の勢力』といわれるほど手下を増やせたのは、彼の思いに心打たれた愚か者が以外にも多かったからとのこと。


この部下自身も、そんな想決を見て傘下に入ったようだが、その計画を知らされることは無く、参加する前にここに連れて来られてしまったらしい。

しかし風の噂ではその計画の一部露呈しており、その部下もその噂を聞いていたらしいが、それを言おうとしたら体が崩れ始め、塵になって消えてしまったと言われた。


 ◇(姜椰宅にて___)


「___とまあ、俺が言われたことはこれで全部だ」

「なるほどな……どうしようかな……」

セイエイは何かに迷い始めた。ぴょこぴょこと机の上を行ったり来たりしているのが、「そこまで言うか迷うことか」と気になってしまった。


「……相棒さ、忘れてるかもだけど、僕が博士の研究データを全て記憶しているってのは覚えてるよな」

「ああ……一応…な?」

「忘れてたんだな」

「まあ……忙しかったし……」

ボソッと呟くと、セイエイは呆れたようにため息をつき、ゆっくりと立ち止まった。


そして青空を眺めながら彼は言った。

「たった今、全て思い出したんだ。僕の正体も……どうやって生まれてきたのかも……」

「ッ___!」

俺は思わず椅子に「ガタッ」と言わせてしまった。


(今までセイエイが何者かなんて気にも留めてなかった。だが、もし得体の知れないコイツが全ての情報を思い出したのなら……ヴァリァスの核心に迫るものがあるのなら、互の連中の計画を防ぐのに使えるかもしれない!)


セイエイは振り返り、俺を見上げて言った。

「相棒、僕の全てを……知りたいか?」

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