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第百二十一話 「鹿張VS神村姜椰 その二」

「全員、東京湾の東方面にある倉庫を探せ!戦闘中の隊員を見つけ次第、状況を報告して加勢に入れ!」

玖維の無線での呼びかけに反応した隊員たちはすぐに準備に取り掛かった。


姜椰の通報から二分後、周辺から多くの隊員が向かい始めた。

弥生と小春は車に乗って猛スピードで道路を走っていた。信号さえも一切無視して途中で他の車や歩行者を轢き殺しそうになったが、そんなものは眼中に入ってなかった。


(お願い姜ちゃん……あと少しだけ待ってて……!)


今にも車から飛び降りたそうにそわそわしている弥生に小春が声をかけた。

「息が上がってるぞ。これから戦うというのにそんなに疲れてどうする」

「姜ちゃんは今も戦ってるんだ……一秒でも早く行かないとって思うと……」

「神村ならすぐにやられはしないはずだ。私は彼を信じてる」

「わ……わかった。私も姜ちゃんを信じる!」

弥生の目からはまだ不安が消え切れていなかったが、体だけは大人しくなった。


(神村……頼むからお前まで、彼女を泣かせないであげてくれ……)


小春もただ祈るばかりだった。


 ◇


「ハァ……ハァ……」

姜椰は鹿張の攻撃に翻弄され、『加速』の効果が目に見えるほど落ちてきていた。


「序盤に比べて明らかに速度が落ちてきましたね。フフ……あまり体力は無いようで」

「この俺が……何の策も無しに動き回ってたと思うか……?」

「と、言いますと?」

姜椰は剣を収めると、自分の隊服に付いた土汚れをはたいた。

「すでに……時間稼ぎは終わったんだ。」


ミシッ……ギシィ……


「さあ、地獄へ堕ちろ……!」

その瞬間、巨大な何かが倉庫の天井を突き破って落下した。



ドォーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!!!!!!



落下したもの、それはセイエイが作り出した大型の結晶。

直径百メートルはある隕石に模した結晶の塊を、地面から支えつつゆっくりと大きくしていった。

セイエイは姜椰の隊服では鹿張の攻撃を吸収し、結晶の塊の方では吸収したヴァリァスを注ぐ。こうして暗闇の中を行き来していたのだ。


「アイツが結晶を捻じり壊してなければいいんだが……」

破片がわずかに飛び散り、結晶は半分以上が地面にめり込んでいた。

「はぁ、疲れた」

「お疲れ。おかげで倒せ__」


ピキッ_____!!!!


「……た……かも……しれない……」

「え?今ので倒せなかったのか?」

結晶にピキピキと白いヒビが入っていく。卵の殻が割れるように、ヒビは徐々に大きくなり結晶の破片がさらに地面に転がった。

「まだ終わらないか……!」


パリン_____!!!


「なんですか……この技は……ッ!」

鹿張が結晶を破壊して中から出てきた。見たところ、角の先がわずかに欠けている。

あれだけの攻撃だけあって少しはダメージが入ったようだ。

「さっきの回避といい、どうやらあなたには誰かが助太刀しているようですね……でなければ、このような隕石のような巨大なものを作り出すことなどできないはず……」

「どうだろうな。お前の仲間に裏切者がいるのかも……?」

「ハハハッ、私の部下は一人たりともここにはいませんから。どうかご安心を」

「どういうことだ?さっきお前が殺したのはお前の部下じゃないのか」

すると鹿張は不敵な笑みを浮かべた。


「彼には最初からあなたを追跡するようにしか頼んでませんよ。もともとはあなたを集団でリンチにでもしようかと思っていたのですが、少々状況が変わりまして」

「なんだ?犠牲はお前だけで十分ってことか?」

俺が煽るような言い方をしても鹿張は笑顔を保ったままだった。


「あなた……いつのタイミングかはわかりませんが、ここに応援を呼んでしょう?」

「……」

「彼らはすでに近くまで来てますよ。ですから予定を変更して、僕の部下に彼らの相手をさせているのです。それにやはり……手柄は独り占めしたいですから」


ドォーーーーン!!!!!!!!


一瞬だけ体が浮くような衝撃が地を通り過ぎた。

「フフ……向こうも始まったようですね。さて、こちらも続けましょうか……もし不安でしたらお仲間の方へ行っても構いませんよ?」

「っ……」

「僕の角に傷をつけたあなたには、少しだけ本気を見せてあげますよ」


終曲天体(しゅうきょくてんたい)忠追(ちゅうつい)_____。


「こ、これは……!」

俺の胴体を包むように黒い円盤が纏わりついた。

「これは時限爆弾と同じ、敵の動きを自動で追跡して時間になれば勝手に発動します。助かりたくば、時間内に僕を倒すことですね!」

「はあ……もう終わりか」

俺は剣を持ったままその場に留まった。ただ呆気に取られている鹿張を見たまま。

「降参ですか?したところであなたを助けたりはしませんよ。上の命令ですから」

「別に……」


顔と声だけは冷静を保っていた。

心臓が命のカウントダウンをしている___どこかで聞いたフレーズだが、こういうことを言うのか。


左手を胸に当てた。

やはり心臓はバクバクしてる。鼓動が全身の骨にまで伝わってる気がする。


(加速の使い過ぎか……もうほぼ能力は使えないな。俺だって……もう少し戦えたらよかったのに……こんな格上相手でも勝てるように、ちょっとは練習しておけばよかった)




ゴシャッ________!!!!




視界が俺の血で埋まる。

目に浮かんでいた涙のせいでさらに視界がぼやけ、血の面積はもっと大きくなった。


(みんな……なんかごめん……)

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