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第百二十話 「鹿張VS神村姜椰 その一」

鹿張かばり


抗ヴァリァス特殊部隊:『互』の幹部の一人。


ヴァリァス操作式:『捻転』を使う。物体に触れることで、それに流れているヴァリァスを捻じるように動かすことで物体の硬度を無視して破壊することができる。これは生物にも同様。

ただ物体限定で、自分のヴァリァスを直接流すことで、多少は離れていても触れずして能力を発動することができる。


「お前が世薙を殺したヤツか……!!!」

電撃剣を強く握りしめるあまり、右手がぷるぷると震えてる。

俺を震わせるのは恐怖か?それとも勇気か?


答えは両方だ。


俺も世薙みたいにここで死体となって見つかるかもしれない。

だがそれでも構わない。俺達を守ってくれた世薙、アイツがいなかったら俺や小春もやられていたかもしれない。その敵討ちなら望むところだ。


「僕の部下がお世話になっていましたので参上したまでですよ。あなたを殺すのは”ついで”です」

「そうか。俺はお前を殺すのが本命なんだ」

「そうですか……僕で相手が務まるか心配です」


(加速ッ!)


「空間捻転」

鹿張が呟くと、黒い円盤のようなものが俺の体を包むように広がった。

咄嗟に身を引き自分の体の調子を確かめた。


(今のが世薙を殺した技……あの渦に巻き込まれたら体がぐちゃぐちゃになるってことか。だがなんで今の攻撃ではどこも怪我してないんだ?)


「やはり当たりませんか……」

「っ……!」

「ふふ、この攻撃はヴァリァスの消費量も非常に小さく威力も申し分ないのですが、いかんせん発動場所がわかってしまう上に時間もかかってしまいます。あなたのように素早い方には通用しませんね」

「……尺稼ぎは終わったか?」

「ええ。続きをどうぞ」


俺は鹿張の動きを見つつ、全力で剣を振るった。


(もっとだ!もっと加速すればコイツにかすり傷くらいは与えられる!俺の『加速』なら自分の速さを二十倍くらいまで上げられる。その油断しているところに本気の一撃を食らわせてやるッ!)


自分が反撃されないように何度も剣を振るう。しかし鹿張には当たるどころか、俺の剣筋をじっと見つめては躱すだけだった。

「この程度の実力に、あの方は怯えていたとは……少し興ざめです」

「くっ……!」


(目を瞑ったぞッ!今だ、そのガラ空きの胴体を真っ二つに斬ってやるッ!!!!!)


姜椰は急激に速さを上げ、鹿張の間合いに入った。

「食らえ、鹿張ィ!!!!!」


(加速・最高倍率ッ!!!!!!)


その瞬間、鹿張の目がカッと開いた。

「空間捻転……すでにあなたの足元に____発動してますよ」

「⁉」

足元に視線を落とす。すでに黒い円盤が二つ、俺の足首より下を包み込んでいた。

「ぐおッ⁉」

俺は突然バランスを崩して後ろに転んだ。

「なんですか、今のは……」

円盤が地面を抉り取りながら消えていった。鹿張は俺が不自然な転び方をしたことに驚いているようだ。


(セイエイが足元に結晶を作って俺を押し上げてくれたのか。フフ、相変わらず優秀な相棒だ)


「ここまで生きて来れたのはその強運のおかげ……といったところですか」

「うっ……運も実力のうちって言うだろ?」

若干痛む背中を伸ばし、再び戦闘態勢に入る。


「そうですか……では、僕も少し本気を出してあげましょう」

鹿張の顔から笑顔が消える。それと同時に両手にあの黒い円盤が現れた。


終曲天体(しゅうきょくてんたい)ッ!!!」

鹿張の掌から黒い円盤が飛んでくる。


ズオォォーーーーン!!!!!!!!


「飛ばせるのか……ッ!」

俺は死に物狂いで円盤を躱し、一旦倉庫の外まで逃げた。

「あのまま接近したら間違いなく負ける……あれは俺一人で倒せる相手じゃない……!」

俺は鹿張の攻撃の様子を伺いながら本部に通報を入れた。


「こちら特殊部隊ほん……」

「こちら九番隊、神村姜椰!互の幹部と戦闘中!すぐに助っ人を頼む!早く!頼む!急げ!」

俺は応援欲しさに一語分を連発した。


(応援が来るまでの間だけでも、俺はこいつをここに留めつつ、自分も死なないようにしなくてはならない。一番は弥生とか遠距離戦闘を得意とする隊員が来てくれるといいんだが……)

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