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第百十五話 「超新星爆発」

「神村姜椰?それは僕じゃない。僕の名前は渡世薙だ」

「それはどうでしょうか。僕は彼が電撃剣を使うということしか聞かされてないので」

「新手か……」

世薙は爛れた足を見て呟いた。


「では、さようなら」

鹿張はニッコリ笑いながら周囲に浮いている物体を世薙に向けて発射した。


ドゴォーーーン!!!!!!!


二十メートルほどの粉塵とものすごい衝撃音が鳴る。

「抜け穴は完全に無くしたつもりでしたが……」

鹿張が攻撃したところの地面は街路樹ごと砕け散り、向こうには世薙の後ろ姿が小さく映っていた。

「ここで彼を取り逃がしては想決殿に小言を言われてしまいますし……やはり、逃がすわけにはいきませんね」


鹿張はまた道路に出て路肩に停めてあった車を乗っ取った。

「ん……施錠されてる……?フフッ、面倒な持ち主ですね」

彼がドアに触れると、ドアはぐっちゃぐちゃに捻じれて道路に転がった。


鹿張の能力___それは「ヴァリァスを捻じる能力」だ。ヴァリアスそのもの、或いはそれを含むものに触れることで物体を破壊することができる。生物に対して発動するには、手でちゃんと掴まなくてはならない。


「さて、狩りを始めましょうか」


 ◇


一方、姜椰ら三人が乗っている車はもうすぐ病院に着くところまで来ていた。

「二人とも、あと少しだけ頑張って!」

「俺は……少し良くなってきた……」

姜椰はふらふらしながら体勢を変えた。電撃剣の鞘を助手席に置き、服を緩めると、また横になった。

「はぁ……」


それから間もなく姜椰らは病院まで到着し、事の顛末を話した。

「姜ちゃんも一応検査してきた方がいいよ。世薙の方には私と増援が向かうから心配しないで」

「わかった。くれぐれも気をつけてな」

「もちろんだ!」

弥生が立ち去ろうとしたところを俺は引き留めた。

「な、なんだ?」

「……弥生、無いとは思うが、万が一現場に互の人間が来たらどうするつもりだ?」

「どうするって……戦うに決まってるだろ」

彼女が若干戸惑いながらも答えを捻り出す。

「わかった。それなら俺から簡単なまじないを掛けておくから」


(頼んだぞセイエイ。少しの間だけ弥生を守ってやってくれ)


姜椰は弥生の頭をポンポンと撫でた。その間にセイエイが弥生の隊服にもぐった。

「これがまじないなのか?」

「まあな。さ、早く行け。世薙が待ってる」


 ◇


(コイツは明らかに格上……とてもじゃないが僕一人で満足に戦えるような相手じゃない。チッ、増援はまだ来ないのか……!)

世薙の額には冷汗が流れ始めていた。

しかし、彼を焦らせていたのは鹿張だけではなかった。


(さっき電撃剣に映った自分の命星が弱っていた……あれほど弱っているのは今まで見たことが無い。まさか僕の命はここで終わるのか……?)


「おかえりなさい。待ってましたよ」

「追いつかれた……ッ⁉」

いつの間にか目の前に現れていた鹿張の姿に、世薙は思わず後ずさってしまった。


(まずい、本当にまずいッ!どうにかして命星の輝きを取り戻さなくては……!)


「あなたの名前、思い出しましたよ。神村姜椰じゃない……先日、碇候炉の護衛をしていた終斗を倒した……渡世薙……ですね」

「僕は最初からそう言ってた」

「別にあなたがどちらでも僕には関係ありませんよ。神村姜椰だろうが誰だろうが、特殊部隊の人間は減らしておいた方がいいですから」

「くっ……!」


鹿張が世薙に飛び掛かる。

二人は周囲の建物を盛大に破壊しながら戦闘を繰り広げた。

「連続で相手するのは疲れるでしょう。止まれば楽にしてあげますよ」

「余計なお世話だッ!」

世薙は地面を蹴って鹿張の懐に入り込む。

そしてガラ空きの胴に向かって思いっきり打撃を入れた。

「ゴフッ……いい威力です。ですが……少々僕とは相性が悪い戦い方ですね」


空間捻転____!!!!!!!!


鹿張が手を翳すと、黒い渦が世薙の胴体を包み込んだ。

「ッ!」

咄嗟に世薙が身を躱すと、渦は包み込んだ物体を削り取るようにして消えた。


(空間が……削り取られた……⁉あれを食らえば運が良くても即死……当たり所が悪ければ無駄に苦しんで死ぬことになる……)


世薙は隣の店の割れた窓ガラスを見た。未だ命星は弱り続けている、これはこのままでは世薙は高確率で死ぬことを暗示していた。

「もう終わりか……」

世薙は自分の死期を悟り、変えられぬ運命に少しやるせない気持ちを抱いた。

鹿張は今も平然とした顔でこちらを見ている。

「降参ですか」

「フハハッ、まさか……!」

その瞬間、世薙は拳を振りかぶりながら再度、鹿張へと間合いを詰めた。


(どうせ死ぬなら巨星のように華々しく散りたい。みんなには悪いけど、天命には逆らえないんだ……)


その時、世薙の命星が輝きを取り戻し始めた。

「うああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

世薙の拳が鹿張の右目を潰す。続けて彼が放った蹴りが鹿張の脇腹を直撃した。

「うっ……これは驚きました……!まさか私に無防備で突撃してくるとは……!」


(必ず倒す!天命の気まぐれが許してくれた時間を、決して無駄にはしない!)


世薙の全身全霊のパンチが繰り出される。

「バカな……!」

ポタポタと世薙の拳から血が流れる。彼の拳が鹿張の腹を貫通させていたのだ。

「油断したね……!」

「……いえいえ。これも計算のうちですよ」

その時、命星の輝きが消えた。


鹿張が世薙の頭を掴む。

「!」


グシャッ_____。


世薙の頭が雑巾のように捻じられ、頭の原型が消し飛ぶ。

彼はスプリンクラーのように血をまき散らすと、自身が作った血だまりに身を投げた。

「……ですが、あなたの根性は予想外でしたよ。私に捨て身で挑んだ度胸は認めましょう」


その時、こちらへ近づいてくる一台の車の姿が見えた。

明日も投稿します。

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