第百十四話 「電撃剣__それは証」
「アマリ調子ニ乗ルナヨ……」
「威勢の大きさも中年って感じだね」
世薙が地面を強く踏み込み、周囲の物が割れた地面に沿ってわずかに傾く。
中年(世薙が名付けた)がよろけた間に世薙が距離を詰めて剣を振り翳した。
「悪いね、僕にはお前が勝つ未来が見えてないよ」
ジャバッ____!!!
電撃剣が中年の胴体を真っ二つに切り裂く。しかし体が液体のせいなのか、すぐに切断面が結合してしまった。
「ソノ程度ノ攻撃……効カナイゾ……」
「どうかな。この剣はただの剣じゃないよ?」
「ウッ⁉」
「液体ならさぞ電流も流れやすいんだろうね」
中年の体が少しだけ小さくなった。
「水の電気分解……もっと切ればもっと小さくなるの……かな?」
スッと剣先を中年に向ける。中年は自分の体が縮小したことに驚きを隠せなかった。
カシャン___。
「え?」
世薙は突然軽くなった電撃剣に目を向けた。
(剣が融け落ちてる……⁉まさかコイツの液体、触れたものを融かす能力があるのか!)
「ドウダ……流石ニ驚イタダロ……!」
「フフ……まあ少し賭けてみようか」
世薙は中年に近づき、あえて自分を攻撃させた。そのまま歩道まで誘導し、あるところまでやって来た。
「ドウシタ!モウ何モ出来ナイノカ!」
一方的に攻撃を避けるだけの世薙だったが、タイミングを見計らって飛び蹴りを食らわせた。
「うぐ……」
中年は地面に叩きつけられ、逆に世薙は隊服が溶けて足が爛れてしまった。
「そこ……何があるかわかる?」
中年の後ろのある赤いオブジェクト__それは消火水槽だ。
「フンッ!!!!」
ドゴォーーン!!!!!!!!!!!!
(配管もろとも破壊して真水を放出させる。そこに中年を移動させれば、もしかしたら体が水と混ざって戦闘不能にできるかもしれない。無理だったら……その時は大人しく応援を呼んで戻ろう)
「グオォォォ!!!!水ハヤメロォ!!!!!」
「ハハッ、それ言わなければよかったのに……」
世薙は半壊した姜椰の電撃剣で中年の体を押した。
放出された水がコンクリートの穴に流れてできた深めの水溜まりに落ちた中年は絶叫を上げてもがいた。
「ギャアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!」
「お前の命星……今尽きたよ」
世薙が次瞬きをした時には、水溜まりの色が白濁に変化してそこにはもう何もいなかった。
パチパチパチパチ___。
後ろから拍手の音が近づいてくる。
「見事な戦いぶりでした。少し疲れましたか?」
「……誰。応援ならもういらないよ」
「応援ですか……」
男は世薙が持っている電撃剣を見てニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「仲間の方々とは別行動をとりましたか。まあ僕にとって好都合なのですが……」
「さっきから気味が悪いね……もしかして互の差し金?」
「その前に自己紹介から……僕の名前は鹿張、互の幹部の一人ですよ」
「ッ!」
世薙が瞬時に後退する。
「逃がしませんよ」
鹿張が世薙の方に向かって手を伸ばすと、周囲の物体がふわりと宙に浮いた。
「神村姜椰……あなたには死んでもらいます」




