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第百六話 「戦いは人知れず」

渡世薙

ランク:A

適性 :「身強」「硬体」


「硬体」は指定した体の部位(皮膚、筋肉、骨など)を大幅に強化することで打撃、爆撃などの強力な衝撃に耐えることができる。世薙はそれを「身強」と組み合わせることで、特殊部隊では異質な『素手』で戦う隊員になった。

世薙は積まれているコンテナの影を移動していた。

さっき姜椰に話しかけた時に、視界の端の方にこちらを伺う人影が見えたからだ。


(僕らを狙う人間か……それとも部隊から派遣された応援か……どちらにせよ確認しておいた方がいい)



「止まれ」

「あ……」

世薙はコンテナから一本の影が伸びていることに気がついた。

探していた姿と酷似している人影が世薙の前に現れた。


「そっちから……来てくれたの?」

「客を出迎えるのは俺らのマナーだからな」

刺客がコンテナから飛び降りると同時に世薙の足元に数本のナイフが刺さった。

これが彼らなりのマナーなのだろう。


世薙は地面に刺さったナイフから刺客へと視線を移した。

「君が『イカリ』……?それなら本当の客は……向こうにいるよ」

世薙が親指で自分の背後を指さす。

すると刺客は「フッ」と鼻で笑い、右手を開いてみせた。

「俺は『イカリ』の配下、名は終斗(しゅうと)。アイツらに渡す手土産が無かったから、それを探していたところだ」

「手土産……?このコンテナの中にでもあるの?」

「何言ってんだお前は。ちょうど目の前にあるじゃないか」

と、世薙を指さした。

「……僕のこと?」

世薙は何かを察した。これは自分を殺すという宣言なのだと。


「まあいいか……どうせ僕がいなくても向こうは勝てるだろうし……」

「何をブツブツと……死ぬんだから余計な心配しなくていいだろうが」

そう言い放つと終斗は懐に忍ばせていたナイフを世薙に向けて投げた。

「よっと」

世薙は横に避けると右腕がキラキラと光彩を放ち始めた。


「ん!!!」

力強く地面を殴ると終斗の足場含め、周囲の地面が大きくひび割れた。

「なんだこの馬鹿力はッ⁉」

終斗はあまりの衝撃によろめいた。

その時、真横から殺気を纏う拳が現れた。


「さよなら」

「ぐおッ!!!」

終斗がバランスを取り戻すより先に世薙が地面を蹴って拳を振り翳していたのだ。


ドゴォーーーーン!!!!!!!!!!!


世薙は勢い余って後ろにあったコンテナを数個吹き飛ばした。

空中に投げ出されたコンテナが、中の荷物を出しながら地面に落下した。

「うるさいな……」

ふと右腕に違和感がして見てみると終斗のナイフが一本突き刺さっていた。


「化け物が……うっ……!」

「!」

世薙が見たその先には左腕が血塗れになった終斗がいた。

「やっぱり生きてたんだ……当たる寸前に横からナイフが飛んできたから……まさかと思ったけど……」

「へッ、甘く見んなよ。なんせ俺の能力は……物体に自分のヴァリァスを流し込むことで一定時間、操作が可能になるんだからな。今お前の腕に刺さったナイフだって……!!」

世薙に刺さったナイフががくがくと動き始める。

「!」

「もう遅いッ!」

世薙はすぐにナイフを掴み、これ以上腕に食い込まないようにした。

しかしナイフの力はかなり強くなかなか引き抜くことができない。


「ナイフ一本にそれだけ苦戦しているようでは俺に触れるなんて到底無理だぞ!」

終斗が無数のナイフを飛ばした。

(勝ったな。最初からこうしておけばよかった)

彼はナイフを抜こうと奮闘している世薙を見てニヤリと笑った。


(まずい。これを全て弾くのはできるけど、そしたら腕にさらに深く刺さってしまう……!)


「待った……この能力ってもしや……!」

世薙が体の向きを変えると、ナイフは向こうの方へ飛んで行ってしまった。

「なるほどね……力の向きは変えれないのか」

「バレたか。まあ今更バレたところで……!」

すでにナイフは世薙のすぐそこまで迫っていた。


「フンッ!!!!」

世薙は地面を踏み鳴らし、周囲にある物体を浮かせた。

「僕じゃこの数の攻撃は捌き切れない……でも地面から割れたコンクリートやコンテナの破片があれば……」

ナイフは瓦礫にあたり、わずかに軌道が変更される。そしてそのわずかな時間を利用することで攻撃から逃げられる。


「……いてっ」

左腕に一本、右足首に一本、ナイフが命中していた。

走りながらナイフを抜き捨て、終斗への攻撃方法を考えた。


(またあんな攻撃をされたら面倒だし……あれしかないな)


 ◇


結局俺と弥生の二人で『イカリ』とやらを待つ羽目になってしまった。

さっきから向こうで激しい戦闘音が聞こえるし、いつになったらヤツは来るんだろうか。


ドォーン!!!!


「っ……」

コンテナに手をついてバランスを取った。


(またあの衝撃だ。近くで誰かが戦ってるのか?)


その時、現場の方から複数の足音が聞こえてきた。

物陰からふと覗くと『イカリ』と思われる男とその部下が歩いてきていた。

「イカリさん、さきほどの衝撃音でしたが、どうやら終斗が特殊部隊の人間と戦っているものだそうです」


(あの男が『イカリ』か。そしてさっきの衝撃音はやはり世薙が戦っている音だったか……今すぐ加勢に行きたいところではあるが、弥生の合図を待たなくては……)


俺が弥生の方を見ると、弥生はすでに銃を構えていた。

「セイエイ、そろそろ出撃だ。いつも通り援護頼むぞ」

電撃剣を抜き、コンテナの裏側からヤツらの真横に移動した。こうすれば弥生からの流れ弾を食らうこともないはず。


(敵は『イカリ』含めて六人。『加速』で俺ができるだけ数を減らしておけば、弥生と小春がどうにかしてくれる。というか上司として、それくらいしてくれないと困る)


「そこに誰かいる」

「⁉」

その直後、俺の目の前にあったコンテナが真っ二つになってしまった。


(最悪だ。なんで近くに潜んでいる弥生じゃなくてコンテナの後ろなんかに隠れている俺に気づけるんだ⁉完璧に気配を消しているつもりだったのに……!!)


コンテナが倒れ、彼らと完全に目が合ってしまった。

「誰だ貴様はッ!さてはお前、特殊部隊の人間だろう!一人だけではないと思っていたが……!」

部下の一人が殴りかかる。

それに続いてもう一人がメリケンサックをつけながらこちらへ走ってきた。


(なんだ。意外と反応できる速さだな)


俺は襲い掛かってきた部下二人を斬り殺し、イカリの方を睨みつけた。

ヤツは三十代後半の見た目しており、スーツを着ていてもわかるほどのガタイの良さだった。

「こんな若者を殺められるほど私は酷になれない。後は頼んだ」

「はい、しょうちッ……」

部下が返事したその時、銃声と同時に部下は頭から血を流して倒れた。


ドタッ__。


「あ?」

イカリはぶっ倒れた部下を見るなり、「はぁ」とため息をついた。

そして彼が振り返ると同時に弥生がまた発砲した。発射された銃弾はイカリの耳を撃ち抜いた。

「城城弥生……まさかお前直々に来るとはな」

弥生は鋭く銃口を向けた。

「前にお前のところに来た部下が遺体になって帰ってきたって聞いたからな。今日はその敵討ちも兼ねてだよッ!!」

「くだらん」


弥生が引き金を引く。

「鉛玉より私の方が速い」

銃弾が飛び出るよりも先にイカリは弥生の銃を斬撃で破壊した。

「ッ⁉」

弥生の右手にも斬撃が入り、血がポタポタと零れた。


「お前も死体にして帰してやろう」

「無理だよ。私しか目に入ってないようじゃ」

「!」

イカリが振り返った先には剣を振りかぶった姜椰がいた。

咄嗟に避けるも、右肩がわずかに焼き斬れた。


「いつの間に……私の部下は……ッ⁉」

「ん?ん……」

姜椰が剣で指す方には部下が大きな血だまりを作っていた。

死体の中には腕や首が離れている者など、成す術無く一方的に殺されているようだった。

「若者の割には中々やるようだな」

「さあ……かなり弱かったけどな」


弥生はその間に包帯で右手を覆い、姜椰と共闘するべく立ち上がった。

「行くよ。姜ちゃん」

「ああ」

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