第九十八話 「万霊を祓う者」
神楽坂紫影
ランク:S
適性 :「身強」「絶狩」
神楽坂紫影にのみ発現した適性__「絶狩」は相手の弱点を一点だけ見出し、そこに持ち前の鎌で攻撃することで相手を確実に絶命させることができる。これは動植物関係無く発動する。
攻撃を食らった者は必ず死ぬので、ヴァリァスの化け物に行った場合はオーバーブレイクすること無く消滅する。
「私は常に狩る側の者。お前にもその身を以て……命の軽さを教えてやろう___」
「俺の作品を壊しておいて……よくもまあ知らぬ顔して出て来れたなぁ……⁉」
騎渦は頭を掻きむしり、地団駄を踏んだ。
「許さない……許さない……ああああぁぁぁ!!!ぶっ殺してやるわボケがぁぁぁぁぁ!!!!!!」
彼は見えないなにかに向かってシャドーパンチをかまし始めた。殺気を剥き出しにして目を血走らせ、頭に血管が浮き出てきた。
「コイツ……頭がイカれてる……!想決とは違う路線のイカれ方だ……!」
「ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!キィエェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!」
今度はカンフーのポーズをとり、また見えないなにかと戦い始めた。
「アチョォ!ホアチョォ!キョエェェッ!」
姜椰も神楽坂も唖然としていた。
騎渦はカンフーのポーズ(?)を保ったまま垂直飛びして横に回り始めた。
カオスすぎる空気に固まっているとこちらに背を向けて止まった。
(何か来るのか……?)
俺は剣を構えた。
すると騎渦はブリッジの体勢になり、両手を地面から離した。
そしてこちらを指さしてニヤリと笑った。
「あ~~~~~っ!パパとママが歩いてるぅ!バブバブ~~~~~~!!!!!!」
その時、騎渦の化け物が一斉にこちらへ向かってきた。
騎渦自身もブリッジのままこちらへ向かってくる。
「終始気色の悪いヤツだった」
神楽坂は化け物の集団へ駆け出した。
そして化け物が彼に襲い掛かった瞬間、彼は先頭を走っていた化け物の頭頂部を鎌の先で小突いた。
「えっ……」
騎渦は正常に戻り、普通に立ち上がった。
なぜなら小突かれた化け物は血を吐き、白目を向いて死んでいたからだ。
「な、何をした貴様!」
騎渦は冷たい目で周囲の化け物を蹴散らしていった。
すると騎渦は劣勢になったと思ったのか、背を向けて逃げ始めた。
「こっちに来るな、怪物!お前らかかれ!」
「軽い……軽すぎる……」
神楽坂が鎌を高速で振り回すと攻撃が当たった化け物は一体残らず死に絶えた。
その爽快な光景に見惚れていた俺はハッと我に返った。俺も行かなくては。
(加速!)
俺は全力で走って神楽坂より前に出ると、地面を蹴って化け物の頭上に踊り出た。
足元にいる化け物はセイエイの結晶が片付け、その死骸を踏み台にして騎渦へ斬りかかった。
「ギャオオオオオオ!!!!!!!!!!!」
なんと騎渦は再び奇声を上げて己の士気を高め、俺に飛び掛かってきた。
「なんだコイツ!」
「アァッ!ヌオォ!フアッ!」
騎渦はひたすら殴る蹴る(もちろん当たらない)。さっきカンフーのポーズを取っていたのにカンフーはできないのかよ。
俺は相手にするのが馬鹿らしくなり、騎渦の右腕を斬った。
「うぐっ!」
よほど痛かったのか、騎渦はぴょんぴょん跳ねまわった。
「しつこいぞ、このゴミがぁぁぁぁぁ!」
騎渦は化け物を大量に召喚して俺に襲わせた。
「うっ!」
あまりの数に押され、俺と騎渦の距離は離されてしまった。
俺が剣で応戦していると目の前にいた化け物が一瞬にして倒れた。
「追うぞ。来い」
神楽坂は俺の顔を見向きもせずに騎渦を追った。
俺もその後に続き走った。
騎渦は当ても無く逃げながら化け物だけを置いていった。
召喚された化け物は俺達を見るなり襲い掛かって来る。
「フッ!」
神楽坂の一振りで彼らは星になった。
そんな調子で化け物を薙ぎ払っているのに中々騎渦との距離が詰められない。
すると神楽坂は痺れを切らしたのか、その大きな鎌をぶん投げた。
「神村、私を守れ」
「え⁉あ、はい!」
俺は無防備になった神楽坂に寄り、襲い掛かって来る化け物から全力で防ぎ切った。
神楽坂が投げた鎌は経路上の化け物を切り裂きながら進んでいく。
「ぎゃあああああああああ!!!!!!」
騎渦の断末魔が廊下に響き渡る。その直後に化け物が爆散し、騎渦が倒れる音がした。
神楽坂は騎渦のとこへ鎌を取りに行き、姜椰のもとまで戻ってきた。
「この後の指示は何だ」
「俺は聞いていませんが……」
「そうか」
すると神楽坂は鎌を一振りして血を落とした。
「私はこれから制御室へ向かい、相田想決を迎え撃つ。お前は建物内に生存者が残っていないか探せ」
「俺一人で、ですか?」
「この建物内には相田想決以外に敵はいないはず。ならばお前一人でも問題無い」
「も、もし俺が想決と出くわした場合は……?」
俺は最悪のケースをおそるおそる尋ねた。
すると神楽坂は「フン」と鼻で嗤って俺に背を向けた。
「お前の命は軽くない。ヤツと遭遇しても死にはしないはずだ」
次の瞬間、神楽坂は俺の視界から消えた。
◇(大広間で殺戮をし終えた後の想決……)
想決は制御室へと足を進めていた。
階段を上がり、制御室が見えてくると想決は足を速めた。
「警備か……」
制御室の近くまで来ると警備に当たっていた人に見つかった。彼らは想決を見るやいなや体を震わせながら機関銃をぶっ放した。
「君らも邪魔するのか……」
想決は銃弾を躱しながら距離を詰めていく。
徐々に警備員の顔には強張り始め、弾切れしたと同時に逃げ出した。
「逃がさないよ」
「ぐわぁ!」
「がはッ!」
警備員たちは想決に斬られ、その場で事切れた。
二人の死体を見下ろしながら想決は呟いた。
「命知らずが多いね……はぁ」
溜息を吐きつつも、警備員の体を漁ってカードを取り出し、それをかざして制御室の扉を開けた。
「後でここに特殊部隊の連中が差し向けられるに違いない。あまり痕跡は残さないようにしなくては」
想決は部屋に入ると、テキパキと作業をこなした。
「この端末を操作して……フフッ、これでいい。後は適当にここをうろついてる部隊を潰して帰るとしよう……騎渦はどうせ死ぬだろうし」
想決は元通りに扉を閉めた。
「しまった……死体を片付けないといけないのか。いや、片づけたら見張りがいないことで勘づかれ……」
打開策が思い付かず焦り始めた想決だったが、懐にあるものを思い出してニヤリと笑った。
しかし彼の笑みはすぐに消えた。
「もう来たの?仕事が早いね、君らは……」
「ちょうど間に合ったようですね。もう少し早く来れれば二人も救えたのですが……」
(コイツ……まだ僕が制御システムを弄ってないと思っているのか。これは好都合だ……)
「それで、制御システムを守りに来たの?それとも……」
想決は戦闘態勢に入った。
彼はその身をヴァリァスに委ね、強大な力を手にしていた。
「___僕を殺しに来たの?」
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