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30話【ドラン2】

「何で断ってんだよバカか!?」


せっかく妹を生き返らせるチャンスをなんかムカつくからの理由で無碍にしたドランに、僕は当然の疑問をぶつけた。


「いやだってもうほとんど村が壊滅した後でやってきて今更何言ってんだって思うだろ!?…てか生き返られられるんなら今やれとかもさあ!」

「ま、まあ確かに……」

「しかもあいつが本物の異世界人だとしても命を返す呪文が使えるかも怪しいだろ?」


怪しいだろ?って言われても………けど確かに以前リリスが生命の蘇生だけはどんな凄い魔法使いにもできない、とか言ってたっけ。

………でも何らかのそれに付随したチートスキルを持っていれば不可能でもないような気がする、何でもありなのが異世界人だし。


「言っておくけど僕の方が異世界人を探してるくらいなんだよ!?」

「だよなあ、前話した時もお前何にも知らなそうだったし…」


詰まるところドランは、一年前断った話を今更異世界人見つけたぜ…ってことでその女性に取引を持ちかけたい様だ。

……うーんまあ人の命がかかってる以上僕も協力はしたいけど……カズト一人にすら翻弄されてる訳だし…。


「…ねえお兄ちゃん、それならドランさんにも異世界人のカズト探しを手伝って貰ったら?」

「ああ、確かに!」


あいつならもしかするとその女性の異世界人のことを知っているかもしれない、とリリスの案に僕が同意しリリス!!??

いつのまにか馬車の扉の前に彼女が立っていた。


「ご、ごめん、お兄ちゃん。ちょっと心配で…」


どうやら少し前から話を聞いていたらしい。

まあそりゃ10分近く話してたら心配もされるか…。


「カズトって誰だ?」

「わたし達が見つけた異世界人…実はサニーのおじさんを殺したのもその人なの」

「……は?」


リリスの言葉に驚くドラン。


「い、いや、サニーの死は間違いなく自殺だったはずだ…それに異世界人様がそんなこと…」


そういえば基本的にこの世界での異世界人は人間を救う英雄としての立ち位置だったな、…そう考えると余計にドランが提案を断ったのがアホみたいだけど確かに僕もリリスが死んだ後でいきなりそんなこと言われたら錯乱するのかも。


「それがカズトのチートスキルらしいんだ、多分人間を声で操るスキル」

「人間を声だけで…?いやいくら何でもありのスキルだからってまさか……いや、待てよ…」


どうやら何か心当たりがある様だ。

指を眉間に当て何かを思い出そうとしている。


「…確かに自殺する理由や場所を考えると不自然…。それに昨日薬草採集に行った奴らが急に失踪した事件もそう考えると……」


薬草採集した人が失踪…?

ま、まさか今日納品されていた大量の薬草っていうのはカズトが集めたものでなく、他のE級冒険者の手柄を横取りしたもの…?

そして証拠を消すためにカズトのスキルで消える様に命令したとすれば……。


「い、いや待て!…いくら何でもこの世界を守る異世界人がそんなことする訳ないだろ!」


やはりそう簡単には信じてくれない。

世界の英雄がそんなことをする意味とかを考えているのだろう。


……なら僕はこいつに与える。

ドランが異世界人を探すだけのもっともな理由を。


「ちなみにカズトはリリスを狙って「許せねえなああああ!?」


反応が早すぎるだろ。


「お、お兄ちゃんやっぱりわたしこの人苦手かも…」

「大丈夫僕も苦手だから」


…効果抜群すぎる。仮にこの後リリスがそのドランの妹に似てるからこんな溺愛してる、みたいな設定が出てきても普通にまだちょっとキモいが勝つぞ…。


「…よし、わかった!俺もお前らとカズトって異世界人を探すのを手伝う。アルゲニブのどっかにいるんだろ!?」

「う、うん…ただあまり刺激しないで慎重に探してほしいんだ。向こうのスキルはかなり強力だし時間をかけてでも…」

「任せろ、全力をかけてすぐ見つけてやる」

「話聞いてたか!?」


もう目が正気じゃねえや!!!

狂騎士となったドランを落ち着かせつつ、そういえば何か忘れてるようなとふと思い出す。

何だっけ…僕の正体の話も終わったしリリスのことも隠せたし他に大事なことって…。


「………お兄ちゃん、ドランさん、話終わったならそろそろ救助任務行かない?」

「「……あ」」


やっべそういえば僕達は今仕事中だったのだ。

慌てて馬車を飛び降り、僕らは無事に救助任務を終えた。


幸いにも依頼人は脚を少し怪我していただけでなんとか家に送り届けることができました、まる。

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