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28話【同行任務2】

カラカラと回る車輪の音を聞きながら馬車に揺られる。

目的地のダンジョンはすぐ近くなんだけどドランの騎士特権とやらで無料で乗ることができたので、僕らはそれに乗り込んだ。

良いなあ騎士、僕も変態なんて職業じゃなくてじゃなくて騎士になりたかったな…。

そういえば目の前のこいつと初めてちゃんと会話したのも馬車だったなあ、なんて思い返してそっと僕はドランの足の上に靴を重ねた。

…幸いにも今日はここまで異世界人のカズトと接触はしなかった、いや…異世界人と言ってもSランク冒険者なわけだし結構忙しいのかもしれない。


「あー…そういえば、前ちょっと無理やりギルドに登録させようとして悪かったな」


唐突にドランが謝る。


「え、ど、どうして?」

「……リリスちゃんのステータス、見せたくなかったんだろ?」


僕とリリスの間に緊張が走った。

どういうことだ、それを謝るってことは……。

リリスがわずかに腰を浮かせいつでも動けるような体制を取ったので、僕もいつでも馬車から飛び降りる心の準備をしておく。

しかしなぜ?彼女のステータスウインドウ、種族欄を見せたくないと気づかせる様な事はなかったはず…。

…そんな僕らの警戒を杞憂に、ドランは想像外の言葉を吐いた。


「前科か何かあるんだろ?」

「「…え?」」

「…何か小さな犯罪でも起こせばステータスには前科が記載される。…騎士教会はそういうのを管理するための組織だしな、俺が気づけなかったのは鈍すぎた。だから悪いな」

「…………あ、あぁ…!なるほど」


どうやらこの世界では逮捕されると罪名か何かがステータスに記載されるらしい。

身分証や戸籍代わりになっているこれに、そういった機能まであるのは何というか、すごく合理的だ。

ギルドが僕のステータスの職業という欄に【変態ペットブリーダー】なる蔑称をつけることができた様に、国の偉い組織ならそう言ったこともできるみたいだ。

そして確かに、魔族のリリスがそのシステムを知らなかったのも不思議じゃない。ステータスをいじるなんて技術は人間くらいしかしないのだろう。

……ていうかリリスが僕のペットになっている事を認めたくないドランの逃避的解釈なのかもしれないが、今はその勘違いの推論に乗っかるのが賢明だろう。


「えっと、そう!、実は昔ちょっとした事で付いちゃって…」

「そ、そうそう!それでお兄ちゃんわたしのステータスいつも見せないようにするんだよねー!」

「…ふんっ、まあ俺はそんな事で差別の目で見たりはしない。気にするな」


いやお前性的な目で見てるだろ。とは流石に思ってても言わない。

単純に被害者当人の横でそれいうのデリカシーなさすぎるし。


「……ところでお前ら血は繋がってるのか?」

「え???」


なんだ……?今日はやけに質問が多いな。いつも解説役に回ってるドランにしては珍しいところだ。

ただ僕らの顔だとは確かに似ていないしその疑問も当然だろう。

すぐにバレる嘘を吐く訳にもいかないので最低限の情報を返す


「…いや、義兄妹だよ」

「ふーん、……やっぱそうか」

「…?」


てかこいつが最初に会った時勝手に僕らの関係を勘違いしなければ僕らは兄弟にすらならなかったんだけど…。

…しかし何を考えているのだろう今日のドランは。

だんだんと空気が重々しくなっていくのを感じる。


……しかしその後はいつもの調子に戻ったようでドランは美味しいご飯のお店や女性用の服などの街のおすすめをリリスに話していた。

一方のリリスも初めは多少警戒していたが、次第に打ち解けアウトレットの衣類や魔法の本が置いてあるお店について尋ねたりしてて、この世界の基本が知らない僕は少し仲間外れに馬車の外の景色をぼーっと眺める。

ガタガタと次第に揺れが強くなって、馬車が止まった。

御者が扉を開けて、僕らに目的地についたことを伝えるとそのままどこかへ散歩に行ってしまった。

僕は馬車から降りようとするとドランに手で静止される。


「リリスちゃん、先に行っててくれ。俺はちょっとお義兄さんと話があるから」

「え?う、うん…。わかった、待ってるねお兄ちゃん」


場所の中の僕らに手を振りながら、先に大きな岩か丘の前へとリリスがかけていく。

どうやらあの象程度の大きさの丘に付いた扉の先にダンジョンがあるようだ。

僕とドランも手を振り返した。

……………ていうか今こいつ僕のことなんていった?


「……なあ」


またさっきまでと違い僅かに緊張した様子でドランが口を開く。

「妹を俺にくれないか?」…とか言われたらどうしようか、なんとかしてあの丘に埋めて置いていこうかな…なんて僕は考えていた。

でも違った、こいつの興味の矛先は、今僕にあった。


「…正直に教えてくれ、優人。

お前は………異世界から来た人間なのか?」



警戒の意識の外、想定外の言葉が僕を貫いた。

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