スタンピード②
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
スケルトンナイト8体、結構な数を倒したのだが装備ドロップがない。ダンジョンでは3体に1個はドロップがあったのに、まさかダンジョン外ではドロップしないのかも知れない、ただ働きかもしれない。
シロウは悪人ではないが、善人でもない。ボランティアとは無縁だ、お釣りの一円を募金するのは小銭をなおすのが面倒だからだ。
貧すれば、、ってヤツだな。普段であれば、スタンピードに対して貢献した事で自己満足しただろうに。
見渡す範囲に敵はいない。『瞬歩』と『陽炎』をセットしてダンジョンの入口に向かう。普段は検問設置された百道のダンジョンだが、今なら入れるだろう。
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「避難誘導は完了しました。トクマさんをはじめ数人の攻略者達はダンジョンの入り口まで近づいています」
「撃ち漏らしはないのだな」
「今はモンスターが東南に偏っています。特に南は多くですが、何とか攻略者が維持。東の攻略者は崩れましたが自衛隊が倒しています。【氷鳥】だと思います。」
「酉垣か、、普段は厄介だが心強いな」
トクマはイヤホンで会話しながらも、コンスタントに銃を放ち、モンスターを倒している。
「原因は不明なままか?」
「一種類のモンスターの爆発的な発生であれば、そろそろ出て来るかと思いますが、まだそんな感じはしないですね」
スタンピードはキングと呼ばれるモンスターの出現により発生したものが多い。キングが現れた種類のモンスターが爆発的に増加し、他のモンスターをダンジョンから押し出すのだ。押し出されたモンスターを倒すのも一苦労だが、キング率いるモンスター達が外に出てくる事もあり、そうなれば更に状況は難しくなる。
最後の手段として、トクマが単身でダンジョンに突撃する方法がある。キングを倒せば終わるはずだ。倒せるか倒せないかはわからないにしても、状況が悪くなればそうする。せめて増えたモンスターの種類を特定しなければ。
「トクマさん、南で攻略者がオークに包囲されています」
「行く、距離は?」
「少し遠いです、上に上がりますか?」
周囲を見渡すと、商業施設に塔の様なものが建っていて、大きなベルがついている。
「あのベルがついた塔に登る、ヘリをそこに頼む」
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ニーナの動きが遅くなった、剣を振るうたびに大きく肩で息をしている。『戦闘狂』は大幅に戦闘力を上げるが、その分、体力の消費も早くなってしまう。ベビーアントに続き、ゴブリン、今はオークと連戦になっている。休憩が必要だ。エリナは希少な『回復』を持っているが体力は戻せないし、切り札であるヨウコのスキルも体力には悪影響だ。
「どうにかしないと」
敵に飛び込んで行くニーナに引っ張られて、ヨウコ達は突出してしまったから、他の攻略者が来るまで持ち堪えるしかない。
「ヨウコ、バフをかけろ」
「今、やったらニーナの体力が切れる」
「違う俺にかけてくれ、バフがかかり次第で俺がニーナの元に走って回収してくる、それで一回下がるぞ」
「わかった、やる!」
ヨウコは固有スキルである『支援』を発動した、8時間に1回の回数制限があるが、言ってる場合ではない。ヨウコのスキルは自分以外の攻撃、防御、素早さの全てを引き上げる事が可能だ。
最後の力を振り絞ったのだろうか、ニーナの動きが一瞬速くなり、囲んでいた2体のオークを切り裂いたが、ニーナは膝をついてしまった。別のオークがニーナに襲い掛かる。
ヨウコは矢を放つ、矢はオークに刺ささりはするのだが、分厚い身体のオークには効いていない、膝をついたニーナにオークがハンマーを振り下ろそうとした時、タケルがオークの背中に飛び込みましたんで跳ね飛ばした。
「下がるぞ」
ニーナを抱き抱えたタケルがこちらを向いた。その時、槍がタケルのお腹から突き出した。
「エリナ回復!」
エリナの回復魔法が飛び、タケルの腹部が光っている。しかし、槍を抜かなければ回復のするはずがない。
「受け取れ!」
タケルがニーナをエリナに向かって投げる。小柄なニーナであっても普通は投げ飛ばすなんて事はできない、ヨウコの『支援』とタケルの意地なのだろう。
「逃げろ」
そう言うタケルの後ろで、黒いオークが斧を振りかぶった。
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タケルが見えた。タケルはオークにタックルするとニーナさんを抱き抱えて振り返った。
「危ない」
シロウは声にするがまだ遠い。振り返ったタケルの後ろから、黒いオークが投げた槍がタケルに刺さった。
『剣術B』を『風魔法B』に、『陽炎』を『増幅』に変更する。これでセットは『身体強化B』『風魔法B』『瞬歩』『増幅』
黒いオークがタケルに近づくとゆっくり斧を振りかぶる。シロウは「スラッシュ」を放つ。レベル1の風魔法だが発現が早く、着弾スピードも速い。
黒いオークが頭上から斧を振り下ろしたが、斧はシロウの風魔法で切られている。
「こっちだーー」と大きな声を上げシロウはオークに向かう。通常個体は肌色。黒い体皮は上位種の特徴だ。以前戦った黒鬼は半端でなく、勝ったのは運としか言えない。
「それでも、こっちを向けー」
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