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それぞれ

宜しくお願いします。

 「チヒロ、リョウさんは?」


「ガットさんに挨拶してくるって、先に帰っとけって言ってたから、帰ろうよ」


「あんな事を言われたらたまらんとか言ってたけど、楽しそうだったよねリョウさん」


声をかけながら歩き出す。観戦者が多かったから出入り口に向かう人の群れはかなりの数だ。


「そうかな? ヒロキに戦わせてばかりだから、私的には怒られて当然なんだけどね、、、て」


チヒロの視線の先には、綺麗な長い黒髪の女性と金髪の小さい子がいる。


「見てヒロキ!素敵だよね。リアル黒姫様だよ」


チヒロがハマってたゲームの主人公が黒姫。長い黒髪を靡かせて一騎当千の働きで亡国の王女とともに戦乱の世を駆けていく!とヒロキの知識はここまでで、これもチヒロがうるさいから覚えただけだが、ゲーム自体が知る人ぞ知るゲームだし、元々ヒロキはゲームはそんなにやらない。でもチヒロの部屋にポスターやらチヒロが一生懸命作ったフィギュアがあるので、ビジュアルは見た事がある。


「まあ、似てるよね。それに強い」


「そうなの、ランキング2位なんだよ、もうたまらない!」


そう言うチヒロを見て昔の事を思い出した。チヒロは学校ではかなりモテた。家とは違って猫どころか化け猫をかぶっていたチヒロは、クールな振る舞いで男からも女からもとにかくモテた。「何で女の子が私の事を好きになるんだろうね?」と告白される度にヒロキに聞いてきたなあと思い出したのだ。


「あっ、あっ、行っちゃう」


「声かけなくて良いの? ランキングの高い人は握手とかサインとかって普通だぞってリョウさんが言ってたから、してくれると思うけど」


「ルール違反。私は黒姫様と話したいし握手したいしサインだって欲しい。でもそれ以上に私の事を知って欲しいの。自分から名乗るんじゃなくてね」


「ちょっと、何言ってるかわからない」


「ヒロキもね、もう少し大人になったらわかるわよ」


「同い年だけどな」


「そうね。でも私がお姉さんだから」



ーーーーーー


 「ガット、忘れてそうな男は俺か?ガネーシャか?」


「どちらでもいいさ、リョウがそう思うならそうだし、全力を出してアレならガッカリだが仕方ない。何せ片腕無いしな」


ガットに片腕と言われても何も嫌味は感じない。当初はパーティメンバーでも無いのに、気持ち悪いくらいに心配してくれたのがガットだ。


「考えるのも戦いなんだよ、お前と違ってな」


「それがリュウの新しい戦い方ならいいさ。俺達には勝てないと思うが」


「いってろよ、引き立て役はそろそろアカデミーを卒業しろ」


「そうだな、少し真面目な話をすると俺達は卒業を考えている。だから尚更、今回の対抗戦では全力で行くぞ」


「今、卒業しときゃランキング一位で傷のない状態で卒業できたのにな、ご愁傷様」


「面白い、お前が本気になったとて、俺は勝つぞ」


「俺じゃねーよ」


ーーーーーー


「今日は何にする?」


「ファフはハンバーグがいい」


シロウが帰って来てからファフの機嫌はとても良い。帰ってくる前は休みも取らずにダンジョンに行こうとしたり、夜に1人でダンジョンに行ったりと、とにかくダンジョンポイントを貯める事が全てでピリピリしていた。


ファフが本来の姿になれば、ダンジョン制覇はもっと捗ったかもしれないが、シロウの行った時しかドラゴンに戻らないと言う約束は、ファフの中で絶対であった。約束を破れば帰ってこないと思ったのかもしれない。


 シロウは帰って来てからは、アカデミーに行かずリハビリをしている。クイナは再配置時は死んでしまった時のままだと言っていたが、実際は筋力が落ちてしまい、最初は歩く事が難しい状態だったのだ。それでも、ヨウコはシロウがいてくれれば良いし、シロウの世話をする事が嬉しいと思っていた。


 気になるのはシカさんとの約束の期限が過ぎてしまっている事だ。約束はただ単にシカさんとの決め事であると言うことではなく、エクスパンションした百道ダンジョンが関係している。


シカさんにどこまで話して良いかわからずに、いなくなったと連絡した時には「ふーん、帰って来たら連絡して」としか言われず、戻って来た時には「私は気が長い女と言われた事はない」とだけ言われた。

そんな言い方はひどいと思ったが、シロウが「待ってくれてる」と懸命にリハビリをしているので、ヨウコが言う事は何もない。2人の間にヨウコが入れない何かがあるような気がして嫌な思いがしたくらいだ。


そんな時に対抗戦開催の通知がきた。ランキング反映がある対抗戦は一位を狙うビッグチャンスだ。

シロウは本調子からは程遠くてもヨウコの風魔法で場外勝ちを狙える。


「ちゃんと戦える様になるから、ヨウコ1人で勝とうなんてしちゃ駄目だよ」


参加を相談した時のシロウは、笑いながらそう言った。






読んで頂きありがとうございます。

誤字や脱字、意味不明な文章に説明不足なところなどがあったら、是非教えて下さい!


また、評価を頂けると励みになります。宜しくお願いします。



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