嫌な予感は当たる。いい予感は滅多にしないし当たらない。
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
ポケットのバイブ、嫌な予感、携帯を取り出し見れば、五十嶋不動産の表示。嫌な予感が当たってしまった。
「五十嶋不動産ですが、累様、今月もお家賃の引き落としが出来ていません。いつまでに振り込みを頂けますでしょうか?」
カレンダーを見れば、バイト代が入るまであと10日間。
「15日まで頂けないでしょうか?」
「15日ですね、畏まりました。お約束は出来ますが、もし振り込み頂けない場合は当不動産にお越しいただ来ます様にお願いします」
どうせ振り込めないんでしょっと言いたげな声色で、振り込めない時の案内までされてしまった。毎月滞納しているので、文句は言えない。
しかもバイト代は四万円、家賃は六万円だ。あと10日間で2万円稼がなければならない。攻略者用のアプリでモンスターのドロップ品の買取価格を調べる。手持ちのゴブリン装備で三千円。他に高いドロップ品もあるが、相応に強いモンスターのものだ。攻略者レベルが低い自分が持ち込むならば、ゴブリン位のものを持ち込むのが良いだろう。こんな事ならもっと拾っとくんだった。後悔先に立たず、スキルも大切だがお金も大切だ。
次にダンジョンを調べる、近場で良さそうなダンジョンが見当たらない。近場の目ぼしいダンジョンは制覇してしまっているのだ。距離的に近くにあるのは百道ダンジョン。福岡県で1番古いダンジョンで、1番大きいダンジョン。その為に規制があり2名以上のパーティでないと入る事が出来ない。
部屋の隅に立てかけたバットケースには、今使用している黒鬼と雷獅子からドロップした2本の剣が入っている。どちらも売れば高額になるであろうが、、。
気は進まないが、今後もこんなことになるかもしれない。万が一に備えて、この2本の見積もりを貰うか。
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福岡ギルドは大都市にあるギルドに相応しく、ビル一棟がまるまるギルドになっている。一階は攻略者に開放されており、ダンジョン情報を閲覧するパソコンやパーティ募集の掲示板などがある。パーティ募集はアプリで行われるのがほとんどだが、命を預けるのだから顔を見て決めたいという攻略者も多いのた
攻略者カードを通して中に入る。シロウは攻略者カードを作った時や半年に1回の講習の時など、最低限しか来ないから、なんか緊張してしまう。買取カウンターを探すが、窓口にはそれらしい表示がない。
買取の場所を探しているとエッと声を出したイケメンと目が合う。
「シロウだよな? 俺だよタケル。佐々木タケルだよ。」
シロウが知ってる佐々木は少し太めでメガネをかけてて、髪は無造作ヘアより無造作だったが、この佐々木は細マッチョで髪はお洒落なパーマをかけている。
「メガネしてないからか? 中高一緒の佐々木だよ。なに、不思議な顔してるんだよ。ここにいるってことは攻略者になったのか?」
不思議な顔になったのはそちら様だとは思うが、、。
「久しぶり、佐々木は福岡にいたんだな。ダン校に行ったから東京にいるもんだと思ってたよ」
「まだ在籍してるから、本拠は東京。今日は遠征がてら福岡に寄ったんだ。そうだ、パーティに紹介するぜ」
言うやいなや、佐々木が近くのテーブルに目を向けると、そこには綺麗に、可愛いに、カワイイの3人が座っている。
「こいつはシロウっていうやつで、中高一緒の学校だったんだ」
3人に向かい佐々木がシロウを紹介すると、カワイイが席から立ち上がり、「私はニーナです。宜しくお願いします」と元気に挨拶をすると、綺麗なヨウコさんと可愛いエリナさんが続いて挨拶をしてくれた。まさか性格も良いのだろうか?
シロウが改めて挨拶をしようとすると、館内に警報が鳴り響く
「百道のダンジョンにてスタンピード、攻略者は直ぐに向かわれたし、繰り返す、百道のダンジョンにて、、」
繰り返されるアナウンスの切迫した響きに、館内が緊張感に覆われる。
「いくぞ。シロウは行くか? 行くなら一緒に行こう」
佐々木は元々良いやつだ。イケメンになっても根は変わらないのだろう、声色から無理をするなよという気遣いを感じる。やめておくとシロウが言うと、俺の活躍を祈ってくれよと言いながら外に駆け出していった。
続々と外に駆け出していく攻略者達。シロウだけが残るわけにもいかないだろう。こんな時に買取相談なんかしたら、担当者の心証は最悪に違いなく、金額に影響するかもしれない。
諦めて外に出る。ビルの出口にはサイレンをつけたミニバンが列になり、次々と攻略者が乗り込んでいる。
シロウは列の最後尾に着いた。こんな時にあからさまに列から外れるのは勇気がいる。乗る寸前に電話のフリでもして、車には乗らないでおこう。
タイミングの良い事に、シロウの前でミニバンがいっぱいになった様だ、車のスライドドアがピピッと音をたてて、閉まり出した。
今だと思い、ズボンのポケットから携帯を取り出そうとすると、ドンっと押され、車に押し込まれた。
「すまんな、狭いがすぐに着くから、我慢して貰いたい」
シロウを車に押し込んだ男は、助手席に座ると同時に早く出せ!と運転手に向かって言った。
読んで頂きありがとうございます。
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