カスミ②
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
「とにかく多いね」
ヨウコがそう呟くほどモンスターは多い。グール、スケルトンの次はオークと一度に遭遇する敵はいずれも10体以上だ。
「姫路城は地下1階と地上6階だからな。そろそろ敵も強くなる、未制覇のダンジョンなんだ、数だけって事はありえねー」
次の階段を登る。これで地上3階に登ったはずだ。登った先には何もいない。
「他の攻略者の皆さんと会いませんね」
シロウは疑問だった。ランダムで登ったとしても、10組以上のパーティがいた。ダンジョン内で会う確率はかなり高いはずだが、まだ1組も見ていない。
「そうだな、そろそろ会うはずだ。大量のモンスターを見て撤退した奴等もいるだろうが、あれだけいたんだ。少しは骨のあるパーティもいるだろう。カスミは今日集まった中で、有名どころとか知らねーか?」
「少なくとも3組はCランクがいたけど」
「Cランクか、適当に倒して撤退したかもな。無謀をするよりはよっぽど優秀だ」
「偉そうに、リョウ達のパーティランクは何なの?」
「俺達は多分Bだな。アカデミー内のランキング上位者はBランクってのがよく言われてる。まあ正確にはわからんがね」
「Bって凄いじゃない。日本でも数えるくらいしかいないよ」
「だから目をつけられて、ココに呼ばれちまった」
「リョウさん、敵が来ます」
シロウは周囲に警戒を出した。『心眼』のおかげか感覚が鋭敏になった気がする。まだ見えていないがこの先に何かいる。そう感じた時、一体のスケルトンが飛び込んで来た。
先頭にいたエルザが剣を合わせる。
「エルザそいつはスキル持ちだ、油断するな」
「わかっている。皆は手出しは不要だ」
エルザさんの剣が合わせた敵の剣を絡めとる様に動くと、スケルトンが剣をとられまいと一歩引いた。エルザさんは更に踏み込み、胴を両断した。
「次はスキル持ちか」
ガチャガチャと前方から音がする。杖を持ったスケルトンが3体。
まだかなり遠いが三体が杖を掲げた。
シロウ達の間に壁がそそり立つ。壁は6人を分けるように間に立つ。シロウとっさに近くにいる人の手を引いた。横にいたのはカスミだ。
「全員壁から離れてろ」
リョウさんの声。
「ダメだ、土魔法じゃ貫けねぇ」
「ファフダメだ。斧でこの壁は破れない」
エルザさんの声、ファフが壁に斧を打ちつける姿が想像できる。
「ファフやめろ」
シロウも声を上げる。少しの間があり、エルザから大丈夫だと声がかかった。おそらく、エルザさんとファフ、リョウさんとヨウコ、そしてカスミさんとシロウの3組にわかれたのだろう。
いつの間にか後ろに道が出来ている。さっきまではなかったはずだ。
「シロウ、ファフ、後ろに道が出来てる。私とリョウさんは進むから、また後で会いましょう」
ヨウコが言っている。
「カスミさんと進みます。後で」
「シロウ、ヨウコ。ファフは私が責任持って、二人に会わせる」
シロウとエルザがそれに応えた。
ーーーーーー
カスミはダン校にいた時はそこそこ有名だったと思う。貴重な『回復』だけでなく『短剣B』のスキルを持っており、回復も戦闘も出来るとして、色んなパーティに誘われた。お試しで何回かパーティに参加したが、どのパーティに参加しても違和感を感じた。
時には回復、時には戦闘。いつも指示されるままだ、別に指揮を執りたいとかじゃないが、言われるがままやるのがは性に合わないらしい。
そんな時にリョウに会った。リョウは一匹狼、私は迷い猫。そんな感じ。何となく一人で入ったダンジョンで助けられたのだ。いつの間にか二人でいる事が増えた。何も言ってこないリョウの側が居心地が良かったんだと思う。
ある日、もう一人迷い犬が増えた。あんまり強くない女の子だった。その頃にはリョウとは男と女の関係という奴だったが、猫の私と違い。犬はリョウに懐いていた。私はそれがどんどん煩わしくなっていた、
ある日ダンジョンに3人で行った時に、その子に私は言ったのだ「自分で考えて戦ったら」って突き放す様な言い方だったと思う。そしてそのダンジョンでその子は命を落とした。
私のせいだと思った。それからダンジョンに潜らなくなり、リョウとも距離が出来た。リョウは変わった。社交的とは少し違うけど、ボス狼になり私は引きこもり猫になった。
ダン校卒業後にギルドの職員になれたのは、『回復』のスキルのおかげだ。少し明るくなったのはサトミのおかげだ。粘り強く話しかけてくれた。今は前の自分に戻れたと思う。
久しぶりにあったリョウは、更に変わっていた。明るいムードメーカーで人との関わりに積極的。リョウに声をかけられた時、驚きとともに期待があった。口では嫌々言いながらも変われる予感がしたのだ。
「カスミさんはリョウさんとダン校で同期だったんですね」
横にいるシロウは物腰が柔らかい。その口調に少し安心するし、不安も募る。リョウがいるなら兎も角、あんまり知らないシロウが指示を出しまくったら、私はきっとまた落ち込む。
「敵が来ます、カスミさんは自由にしてください」
前からきたオーク達にシロウが向かう。あの子もオークに突然向かっていったのだ。突然それがフラッシュバックし、カスミは気を失った
読んで頂きありがとうございます。
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