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ファフ

宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。

宜しくお願いします。

「雷剣」


エルザが剣に雷を纏わせ、剣を持ったハイ・オーガと打ち合った。元々が怪力であるオーガ種とは、あまり剣を重ねたくない。雷波。一合目で打ち合わせた剣から雷を伝わせると、ハイ・オーガの動きが鈍った。続く横薙ぎの一撃でハイ・オーガの剣を持った右腕を斬り飛ばした。


横にいる斧を持ったハイ・オーガが学長を攻め立てている。あの学長が防戦一方なのだ、かなりの強個体と頭に警報がなる。しかも斧は金属部が少なく、雷波が効きにくい為に得意なパターンに持ち込む事は出来ない。


歯を食い縛る学長の顔。学長は本当はもっと強い。私を庇った時の傷のせいなのだ。お前らなんかに学長が負けるはずがない。


「飛雷」


雷を剣先に集めた三連突き。エルザの中でも最も攻撃力の高い技。斧オーガは最初の一撃目こそは受けたが、二撃・三撃目が肩と胸に刺さる。しかし、浅い。雷を纏わせた分でショックを与えてこそいるが、絶命に至る手応えでは全くなく、直ぐに回復するだろう。

学長もわかっているようで、後方にともに下がる。あと一体は二人で迎え撃つ。


「再生」


そう聞こえた気がする、後ろにいるハイ・オーガだ。モンスターの言葉なんてわからないが、先程やり合った二体が何事もなかった様に立ち上がって来た。


ーーーーーー


「リョウさん」


シロウは前を走るリョウに声をかける。目の前に学長とエルザ、そしてその向こうにハイ・オーガが三体見える。


「三体ともスキル持ちだ。俺はスキルがなんとなく視える。そいつの中に光の玉みたいなのが視えるだけだが、奴らは2、3個ずつ持ってやがる。しかも光が強い。中級下手したら上級スキルだ」


『身体強化B』『切断』『剣術B』『瞬歩』でスキルセット。


「ロイ」


リョウさんの声に、もう一人が炎の槍を二つ出しオーガに向けて放つ。


「エルザ、下がれ」


リョウさんが声をかけながら、エルザさんや学長に並ぶと、手を地面につけた。


「陥穽」


リョウさんの声とともにハイ・オーガ達の前に深く大きな穴が穿たれる。


「引くぞ、ロイは魔法続けろ」


「一体くるぞ」


学長の声とともに、穴を越え、剣を持ったハイ・オーガが突如現れた。現れると同時にリョウに向かい剣を振り下ろす。『瞬歩』シロウは一気に間合いを詰めるとその剣を受け止めた。重い一撃。ハイ・オーガは空いている手でシロウを掴もうと手を伸ばしてきた。


ーーーーー


 ヨウコはシロウが離れた事を感じた。振り返ればやはりいない、ファフもシロウを追って駆け出している。走り出すと直ぐにファフに追いついた。ファフは人間の姿であるために走る姿は辿々しい。

『変身』のスキルで人間になっているが、ドラゴンに戻れば凄い速さで動けるはずだ。ファフは「一緒にいるならこの姿でいるんだよ」とシロウに言われた事を守っているんだろう。

ヨウコは『支援』を使った。同じパーティならば効く。先程までの辿々しい走りのままではあるが、ファフの走る速度は上がっている。


「ありがと」


そう聞こえた。


「シロウを助けなきゃね」


そう答えた。


シロウの姿が見えた。ハイ・オーガの剣を受け止めている。

『熱烈支・・

ヨウコがスキル使おうとした時、ファフがドラゴンの姿になり、ハイ・オーガに突っ込んだ。



ーーーーーー



 起きる前に、覚えている事は何もない。ただ、ここに縛られている感覚があり、自由に動いちゃダメだって事は何となくわかった。ずっと寝ていようと思った。どうせ何も出来ないのだ。何の変化もないこの空間に閉じ込められている。


一度大きな音がして瞼越しに光が差した。起きてみようかと思ったが、直ぐに鳴り止んだ。寝ていても気配でわかる。自分を縛るこの空間が少し開いたのだ、しかし直ぐに閉まってしまった。


それが開いても出れる訳ではない。わかっている。同時にココから出たいという思いが強くあることに驚いた。



 おかしな気配。動いている。頭の上で気配が止まる。何かが始まると思った、ファフニールは生まれて初めて目を開けた。


背中が見えた。剣を振りかぶり、ファフニールを縛り付ける光を斬ろうとしている背中。この光は消してはならない、守らなくては消えてしまうぞと訴える何かも自分の中にある。しかし、守る気にはならなかった。この光が自分を縛っているのだ。


光が壊れた時、存在が不安定になった、身体の重みがなくなっていく、希薄になる意識の中で、ファフニールはこの背中が解放してくれたのだと思った。


視界が暗転し終わったと思った。しかし目を開ければ色鮮やかな世界が広がっていた。この背中はファフニールを暗く動けない世界から連れ去ってくれたのだ。


ーーーーーー


 シロが攻撃を受けている。それは許されない光景。ドラゴンに戻ってはいけない。そんな事はわかっている。一緒にいられなくなる。そんな事もわかってる。でもシロがいなくなる事は耐えられない。ファフはドラゴンに戻ると思いっきりハイ・オーガに突撃した。


ーーーーーーー


 突風が吹いた。攻撃を受け止めていた剣がフッと軽くなる。同時にシロウはハイ・オーガに服を掴まれ、リュウの開けた穴に落ちていった。


 身体に衝撃。幸いハイ・オーガの上に落ちた事で大した怪我はない。上からキュイッと声がするとファフが降りてきて、胸に飛び込んだ。


「ありがとうファフ。大丈夫だよ。助けに来てくれたんだね」


ファフはドラゴンの姿のままで、首や顔をシロウに押し付けてくる。


穴の上からシロウと呼ぶ声がする。


「大丈夫です。先に撤退して下さい」


大きな声で返事をする。さて何階層目までおちてしまったのか、上を見上げるが声をかけてきたリョウの姿は小さい。ファフが一緒なので、このまま制覇を目指すという手もあるが、先程の剣を合わせたオーガも相当に強かった。


一先ずスキルをセットしようとした時、ファフにスキルがついている事に気づいた『瞬歩』と『剣術B』。恐らく、今下敷きになっているこのオーガをファフが倒した時に得たのだろう。

 

『スキルを貰う事が出来るし、統合も出来るはずた』とNo.917は言っていた。シロウは試しに『剣術B』を自分に移してみる。ファフのスキル欄からクリックして移動するイメージ。開いているスペースに置いてもファフの所に戻ってしまう。ならばと移動した『剣術B』を自分の『剣術B』に重ねて置くと、スキルが『剣術A』に変わっている。同様に『瞬歩』も重ねると『光瞬』というスキルに変わった。



読んで頂きありがとうございます。

誤字や脱字、意味不明な文章に説明不足なところなどがあったら、是非教えて下さい!


また、評価を頂けると励みになります。宜しくお願いします。



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