西9ダンジョン②
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
「次はガネーシャが退け」
ロバートは後ろで魔法を放っているガネーシャに指示を飛ばした。ロバートが来る前に一名が犠牲になった。これ以上、学生に手は出させない。ガネーシャの4名のパーティの中で、初めに救援を呼びに来た一名と怪我をしたもう一名を退かせた。ガネーシャも必ず守る。
ロバートのスキルは『身体強化A』『槍術B』『盾術B』『盾衛士』だ、バランスの良いスキルで前線で身体を張るのが仕事だ。
厄介な事に、このハイ・オーガ達はスキル持ちだろう。特に前に出ているハイ・オーガは『斧術』『斧闘士』を2つとも持っている可能性が高い。同系統の武器と職業系のスキルの組み合わせは、非常に強く、例え『斧術』がCであっても『斧闘士』を持っていれば、単独の『斧術A』と同等若しくはそれ以上の力を持つ。
ロバートの『盾衛士』と『盾術B』もかなり強いが、油断すれば押し込まれる。このオーガも同等のスキルがあると考えるべきだろう。
俺は元々、アタッカーじゃないからな、攻略者の頃から火力不足に悩まされた。『槍術B』だけでは強敵には通用しなくても、『身体強化A』と『盾衛士』『盾術B』の組み合わせは、例え格上相手でも負けない戦いは出来る。
「退け、ガネーシャ。俺が下がれねーだろうがっ」
「引きます」
「ハインツに撤収と伝えろ、一度出るぞ。仕切り直しだ」
問題は俺の下がり方だな。人が一人しか通れないここであればハイ・オーガ一体のみを相手どれば良いが、集合場所に戻る途中には広い通路がある。そこで三体が同時にくれば厳しい。
こういうのは久しぶりだな。俺はこういう時に燃える男のはずだ。ガネーシャが戻り、クランの引く時間を考えて、少しずつ時間をかけて下がる。そして広い通路の前で、相手と距離を取り一気に引く。
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「学長からです。一度出て、仕切り直しだと」
ガネーシャは、懸命に走って来り集合ポイントに着くとハインツに伝えた。
「撤収だ、上がれ」
「学長は?」
数人から声が上がる
「うるさい!下がれと言われたら、下がる。ガネーシャを退かせたんだ。足手纏いだからだ。そんな事を言わせるな!」
ハインツの声に、全員が撤退を始めた。
「シロウ、エルザがやばい。あいつ、やる気だ」
「学長の所に行くって事ですか?」
「多分な、あいつは学長に強い思い入れがある。弾除けになれと言われても行く。実力不足とかは頭に無い。もちろんエルザが動けば俺達パーティもだ。お前も来てくれねーか」
階段に差し掛かった集団から、エルザが駆け出した。リョウに言われてなければ気がつかない。エルザに続きリョウともう一人も動き出した。
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かなり退がった。徐々にではあるが道幅が広がっている。これ以上広がれば二体を相手取る事になるだろう。やるべき事は決まっている。『盾衛士』の技、シールドバッシュでオーガを押し飛ばして一気に引くのだ。タイミングが勝負。飛ばしたハイ・オーガを後ろの二体にぶつける事が必要だ。
ハイ・オーガが両手で振りかぶった斧を振り下ろしてきた。良い具合に三体が固まっている。盾に重い衝撃を受けるとともにシールドバッシュを使った。
盾が砕けた。盾破壊の技が『斧闘士』にあった事を思い出す。くそっ、こんな事を今更思い出すなんて、やはり俺は実践派だな。偉そうに学生に教えていても、何も活かせていない。
盾は壊れたが、シールドバッシュで少しオーガとは距離が出来た。盾のない自分ではまともに戦えない。
『身体強化A』は身体能力の全てを大きく底上げしているから、足も遅くはない。後ろに大きく飛び、後退を始めようとした時、後ろにいたハイ・オーガの姿がブレ、距離を一気に詰めてきた。
『鋭歩』いや『瞬歩』か、厄介なスキルを持ってやがる。剣を槍で防ぐが前に押し返す余裕はない、後ろに飛んだ分、通路が広がっている。これでは複数体を相手取らないといけない。剣を持ったハイ・オーガは斧のやつより強くない。槍で数合打ち合うが、やり込められる感じではない、それでも容易く勝てる相手ではない。
斧オーガが並んできた。盾が無ければこいつの猛攻を防ぐ手立てはないのだ。一緒に攻め立てられればやられる。
「学長」
後ろからエルザの声、何故という思いと同時に、助かったという正直な気持ちもある。共闘のイメージを作る。
「左だ、最初から全力で行け!」
剣オーガに向かわせる。エルザの固有スキルは『雷剣』他に剣のスキルもある。攻撃力は圧倒的にエルザの方が高い。先に剣オーガを落とす。斧オーガの攻撃も少しで有れば耐えられる。
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