ドラゴンマスター
宜しくお願いします。以前書いていた話ですが、前の作者ページにログイン出来なくなってしまったので、推敲しながら再投稿。話が変わった部分もあります。
宜しくお願いします。
浮く様な感覚があり、視界が暗転した次の瞬間にはシロウは草原にいた。
「シロウ」
切迫したヨウコの声に振り返るとドラゴンがシロウの足元でうずくまっている。しかも、明るい所に来たせいか眼が開いている。
後ろに飛びドラゴンと間合いを取りながら『身体強化B』『剣術B』『剣客』『切断』をセット、剣を上段に構え、ヨウコに目配せする、ヨウコの『熱烈支援』が発動し、シロウは自身の力が大幅に強化されるのを感じた。
ドラゴンは首を左右に振ると、正面にいたシロウを見た。ハイオークの虚な眼とは違い、意志のある双眸。
ドラゴンが消えた様にいなくなった、同時に、身体に激しい衝撃。ただの体当たりだろうが、草原を派手に転がされた。ヨウコの『熱烈支援』が無ければやばかった。
シロウは立ち上がるとまた剣を上段に構える。目で見て斬れる速度ではない。ドラゴンが動く前に剣を振るしかない。転がったシロウの近くまでドラゴンはゆっくりと歩いて近付いてくる。
ドラゴンが直ぐに攻撃してくる気配はない。スキル構成に『瞬歩』を入れようとした時、自分の中にあるスキル欄の違和感に気づいた、固有スキル『スキルチェンジ』の下に『ドラゴンマスター』が増えており、ヨウコの名前の下にファフニールの文字が追加されている。『ドラゴンマスター』そしてファフニールという名前。
「ファフニール」
迷わず声をかけた。その声に反応したのか、ドラゴンはキュイっと鳴くと、正面から見てもわかるほど尻尾を振っている。その様はシロウが幼い頃に飼っていた柴犬を思い出させた。
「おいで」
ドラゴンは喜んだ様にキュイと鳴くと姿を消した。シロウは再び草原を転がされた。
ーーーーーーー
『おいっ、私の言葉がきこえているか?』
聞こえてるよ。あれっ違う声?
『私はダンジョンNo.1818だ。貴様、私の天使を奪ったな』
天使?
『そうだ、あの愛らしい姿。あまつさえ、憧れのキャッキャッウフフをするなど言語道断』
キャッキャッ?
『貴様、私を破壊したからと良い気になっておるな。胸に飛び込んくれた天使を受け止めきれもせん軟弱者が!』
あのドラゴンは龍ではなく天使なのか?
『そうだ! いや違うぞ。気高きドラゴンである。いや普通のドラゴンではなく、ファフニールたんは最強のドラゴンとなる星の基に生まれ、かつ最高に可愛いドラゴンなのだ」
『話が進まないから、少し静かにしてくれないかな』
『なんだと、こやつには言いたい事がたくさんあるのだ』
『静かにしてくれないなら、追い出しちゃうよ』
『それはダメだ。こやつ越しというのが屈辱ではあるが、ファフニールたんが見れなくなるではないかっ、初めてみたぞ、あの愛くるしい瞳!』
『じゃあ、静かにしてよね。次に声を出したら追い出すから。やあ、シロウ。久しぶりだね。No.917だよ。ダンジョン制覇のペースが落ちたと思ったら、やるじゃないか、2体も使役するなんて』
2体?使役?
『上手い言葉がなくてね。眷属化の方がいいいいかな? ヨウコとファフニール。特にファフニールはドラゴン種でも特殊個体だ。これは大きな前進だね』
それだけど、なんでコアを破壊してもドラゴンは消えなかったんだ。
『それはわからない。もしかして、あのドラゴンはコアを破壊する前にシロウを見て、シロウと繋がったのかもしれない。刷り込みっていうのかな、初めて見るものを親と思うってやつ』
そうなのか、それと固有スキルに『ドラゴンマスター』ってのが増えてたんだけど、
『今日はグイグイ質問するね』
意識が飛んでる間しか、話せないんだろう?
『まあそうだけど、なんか調子狂うな。そのスキルの原因はね、No.1818だよ。普通はコアを破壊されたら、私達はコアと一緒に消滅するんだけど、執念というか妄執というか、彼はシロウの中に入ってきた。それで彼のスキルが使えるんだ』
ドラゴンマスターって何が出来るの?
『それにはダンジョンポイントの説明が必要だね。細かい説明は飛ばすけど、私達はダンジョンを作ったり、スキルを得たり、モンスターを増やしたりを無限に出来る訳じゃない、ダンジョンポイントを消費して行うんだ。特に最初はある程度のダンジョンポイントがあるから、何に使うかがとても大切なんだ』
だから大きさや年数に関わらず、強いモンスターがいたりするんだ。
『当たり。最初はダンジョンを深くするとかよりも、強いモンスターを増やすのが有効な手段だね。そしてダンジョンポイントは日数経過や君達人間とかを撃退したりすると溜まるから、日が経ったダンジョン程、基本的に強いんだ』
そうだ、それとコアの色は関係あるの?
『その質問は説明が脱線するからちょっと待って。さっきの話の続きをするとね、ダンジョンポイントは色々な事に使えるんだ、スキルによっては、モンスターのステータスアップをする事も出来る。これはかなりレアなスキルでね。ゴブリンマスターなんてスキルを持ったら、最強のゴブリンを作る事も可能なのさ』
ドラゴンマスターのスキルを持っていればステータス強化が出来るのか、いやでも、ダンジョンポイントなんて見たこともないぞ。
『私が管理してるからね。そこでさっきのコアの色なんだけど、色はダンジョンポイントの溜まり具合を表してるのさ、緑から青、青から赤、赤から紫、そして金色とダンジョンポイントが貯まるに連れて光る』
さっきは、コアを破壊する寸前に無色になったけど
『No.1818は1,000ポイント以上貯めていたんだ、そしてシロウに斬られる間際にドラゴンにスキルを渡した。だからダンジョンポイントがゼロになって、無色になったの』
何のスキルだったの?
『それは起きた時に、じっくりと確認すれば良い』
そうする。もう一つ、今までは緑のコアを壊せばスキルスロットが増えて、赤や青だとスキルが貰えるって思ってたんだ。必ず貰えるわけでもないけど、色で貰えるものが決まっていると思っていたのだけど、
『シロウはコアからダンジョンポイントをとっているのさ、それを私がスキルにしたり、スキルスロットの増加に使ってたから、そう思ったんだよ。得るものが無いとやる気にならないでしょ』
そうなんだ。攻略者の中には、コアに触れる事でスキルを得る人もいるって聞いたけど、
『そうだね。人間はコアに触れても、ダンジョンポイントを得られる訳じゃないから、スキルやスロットが増えたりする。実は、空きスロットがないから使えないけど、強力なスキルを持っている。なんて人もいるんじゃないかな』
次は何のスキルを取るの?
『いや、実はさ。今ポイントが0なんだよね。シロウはダンジョンを創らないから、日数経過では溜まらないんだ。スキルを選んで、シロウの喜ぶ顔を見るのが、密かな楽しみだったけど、やりくりが難しくてね。それで言っちゃえーって思ったから、今話したのさ』
強くなる為には、ダンジョンを制覇しまくれと言う事か、
『そうだね。ランキングの為にもそれは頑張って欲しいな・・』
シロウは、消えいる様なその言葉で、意識が目覚めていくのがわかった。
読んで頂きありがとうございます。
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