目覚め
リンリンと鳴る鈴の音。剣を地面に向けたままアズロを睨む国王。私と国王の間で水の防護膜を展開してくれたまま身動きを取れずにいるアズロ。上空に浮かんで腕を組んで様子を見てるノールさんと魔王さんらしき魔族。氷柱で脚を串刺しにされて動けない私と私を支えるセラン。隣に合流したパパ。みんな耳を澄ましているかのように口を閉ざす。
「おーさま怒ってる」
「じゃぁあの人やっつけちゃう?」
「おーさまを守るぞー!」
「「おぉー!」」
そんな中で響く声。鈴を転がすような可愛らしい声でなかなか物騒なこと言ってる。
「アズロは貴方を同族殺しの罪から守っただけですよ。何をしているかわかっているか問われるべきは、貴方ではないのですか?」
セランがいつもより少し低い声で問いかける。俯いているためその表情は見えない。
「…その姿、ヴァーダイトの次男だな。確か、セランと言ったか。セラン=ヴァーダイト、そちらこそ自分がなにを言っているかわかっているのか?そこの娘は人族ではないのだ。姿形はうまく擬態しているようだが、魔族なのだぞ」
その言葉にパパがキッと国王を睨む。
「お言葉ですが、陛下-」
パパの言葉は途中で途切れた。
ぶわりと馴染みのある魔力のような違うような、どこかいつものセランの魔力と違う魔力が広がる。途端にパラパラと氷柱が分解されていくかのように消えて、支えを失って倒れそうになる身体をセランが支えてくれた。
「…ほぅ」
上空にいる魔族組がなにやら感心したように話しているけどここからは声が聞こえない。
そちらを見ているうちに、セランから溢れる魔力が私の脚を包み込み、見る間に傷を塞いでいく。すごい。でも、セランってこんなに圧倒的な魔力量だったっけ…?
「…今一度問う。人族の国の王として、貴方はなにをしているのですか?」
セランが言い終わると同時に顔を上げて国王を見据える。いつもより深い空色の瞳が戸惑う国王を映し出す。
「…セラン?」
なんだかセランが知らない人になってしまう気がして呼びかける。こちらを向いた瞳はいつもより少し深い気もしたけど見慣れた空の色だった。二つの空色はふわりと微笑むと、私を支えるために抱き留めてくれていた腕を離した。
「カシア、待っていてね」
「え?」
待つって、なにをだろう?そう思っていると、不意にリンリン鈴の音がまた鳴り響き始めた。セランの魔力が膨れ上がると同時に空中に漂うなにかの姿が見え始める。小さいけれど人型をして、羽根を持つ…あれが精霊なのだろうか。神官長が驚いた表情で息を呑み、次の瞬間には地面にひれ伏していた。突然の行動に、周りの人達は神官長を見つめたまま動かない。そんなみんなの注目を浴びたまま口にした言葉は、更に周りを驚かせるものだった。
「…お帰りなさいませ、精霊王様」
ラストスパートです。
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