それぞれの守るべきもの
このあたりは、マイファスさんのI'm a mess聴きながら書いてます。怖いから不安だから対策されちゃう禁忌のカシアに不気味なセランを連想できるようなできないような(と、勝手に解釈。すみません
リィン。鈴の音が聞こえた気がして振り返る。
鈴の音といえば、セランが不思議な音が聞こえるって、言ってたな…。そのせいで気味悪がられて家族なのにひとりぼっちになったって。その話を聞いていたからか、なんとなくカシアは鈴というものが好きになれずにいた。だから、正直嫌な気配かなと構えていたのだ。
「あっ…!」
それなのに見えたのは見慣れた緑がかった銀髪で。
「セランっ!」
「カシア、よかった」
お互いを見つけると駆け寄って抱き合う。もうそれだけで不安や怖さが溶けていく気がした。
「セラン、どうしよう。私、逃げてきちゃったんだけど…」
「大丈夫、カシアは悪くない、悪くないから…!俺が君を守るから」
私を守る、その言葉は素直に嬉しいし、愛おしい。でも、今のままだとそれは騎士団…つまりお父さんやアズロと対立してしまうということ。それはイヤだ。なんとかしてみんなが戦わなくてもいい道が見つかるといいのに。
「なにか、私がすごくお役立ちってことがあれば、一緒にいてもいいよって言ってもらえると思うんだけど、その肝心のお役立ちを思いつかなくて…」
「お、俺はカシアはいてくれるだけで…///」
「セラン…///」
お互い恥ずかしくなって俯く。そして同時に相手の表情が気になって目を上げると目が合ってまた俯く、という甘酸っぱいことをしばらくした頃だった。
「残念だが、陛下は禁忌の存在を討つことで今魔族に力を貸している人族、お前の父親の攻撃をやめさせようとしているようだ。門番のところに伝達魔法で通達が届いていたのが聞こえた」
「アズロ?!」
「どうしてここが…?」
「お前を追ってきたんだ、セラン。神官があのタイミングで外に出る理由はないはずなのにどうしたかと思ってな」
「くっ…」
話しているうちに王都の方から人の気配がし始める。おそらく騎士団がまた追ってきたのだろう。
「セラン、お前は離れて隠れてろ」
「そんなことできるわけないだろ?!」
「…カシア、自分だけなら飛べるだろ?」
小声での確認にアズロの意図を悟る。そうだ、確かにセランと一緒にはワープできない。
アズロの遠く背中側に人影が見え始める。いたぞ!という声も聞こえてきた。
セランが悔しそうに騎士団から見えない森の中へと後退するのを確認すると、アズロが剣を構えた。
「爆ぜろっ!」
森の中に爆発が起こる。火花が散り爆風が吹き荒れる。
風が耳元でうなると同時に、アズロの声が届いた。
「頼む、逃げてくれ、カシア。あんたを討ちたくはないんだ」
「アズロ…」
アズロに事前に示された通り見える範囲ギリギリで騎士団から離れる方向の木の元へワープする。なんどか経験したおかげでなんとなく発動はできる気がしていたけど、うまくいってよかった…!
「カシア、こっち!」
近くに隠れていたセランがカシアの手を取り走り出す。アズロの生み出した火花と暴風のおかげで騎士団からは見えていないはず。
「はぁっはぁっ…!」
騎士団からずっと逃げられるかはわからないけど、とりあえず一生懸命走る。走る。走る。
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