集まる
しばらく一方的な攻撃を続けた頃、キキッ、とコウモリの一匹が声をあげた。それを聞いてノールがギベオンと頷きあうと王城から外へと飛び立った。
「カシアが見つかったのか?」
「そのようだな」
そのことが気づかれても何ら問題はないというようにギベオンは隠すそぶりもなく肯定した。
「娘は無事か?」
「今のところは無傷のようだ。エルム殿が我らに協力してくれているからな」
しっかり釘を刺された。つまり、協力をやめれば娘は無事ではなくなる、と。だが、逆に言うと協力を引き出すために魔族はカシアには手出しができないということ。なんとか隙を見て、カシアと2人逃げることさえできれば…。そう思っていたのに、眼下の動きは予想を裏切るものだった。
「…禁忌の存在がいる限り、あの不可思議な攻撃は止まらないようだな」
エルムの物理攻撃とギベオンの魔法攻撃の波状攻撃に耐えながら国王が静かな声でルクレに告げた。
「神官長、回復を頼む」
指示に従い神官長がルクレを優先して回復する。
「聞けば、禁忌の存在はまだ幼い少女だそうだな」
「は。魔法学園の生徒のようです」
「…そうか…」
鎮痛な面持ちでしばし口を閉ざしてから、国王は顔を上げるとはっきりとした口調で周りの高官たちに告げた。
「禁忌の存在を討つ。だが、幼子処刑の重荷は討つと決めた私が負おう」
周囲からは戸惑うようなざわめきが起こる。禁忌の存在がまだ少女と呼べる年齢だとそもそも今まで知らなかった者、知っていたが故になんとか処刑を回避できないかと思っていたのにそれが叶わないと知った者、王自身が戦闘地区へ出向くことへの不安などなど。
「ルクレ、そのものの元まで援護を頼めるか?」
「御意」
「神官長、支援が欲しい、ついてきてくれるか?」
「かしこまりました」
手短に答えると飛び立ったノールを追うように王城を出て行こうとする。残された高官たちが壁となるように王たちが玉座の間から出るのを守るように立ち並ぶ。
「カシア…っ!」
王達が飛び出すのを見て慌てるが、今の足場は空飛ぶコウモリ達であるため動くに動けない。下手して下に落ちれば今は魔族側と見做されている以上攻撃対象になる可能性の方が高い。
「案ずるな、エルム殿。ノールがあの者達に引けを取るはずもない。だが、貴殿が気もそぞろになるのも具合が悪いな。…ふむ、我らもその娘の元へ行くか」
「いいのか?」
「なに、どうせ国王もそこに行くなら手っ取り早く王を下して人間界をいただくことにしよう」
もうここの者達は我らと交戦する意思は残ってなさそうだしな、と呟きながら、ギベオンは眼下に立ち並ぶものの攻撃するそぶりを見せない高官たちを一瞥してコウモリたちと共に外へと飛び出した。
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